2016年03月13日04時07分掲載  無料記事
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文化

パリの画家イザベル・コシェローさん グラフィックデザイナーから画家への転身 Isabelle Cochereau

  パリのモンパルナスに近い14区のコリーヌ・ボネ画廊で行われた共同展示会の場で画家イザベル・コシェロー (Isabelle Cochereau )さんの絵に出会いました。人物画を描いていますが、顔にモザイクのようなものがあり、それは女性の顔にポルノグラフィックなイメージがかけられたものだと気づきました。今まで見たことがない独特の人物画であり、画家のどのような探究のプロセスからこうした世界が生まれるのか、知りたく思いました。 
 
1) Vous habitez a Paris? Que pensez-vous de Paris? 
 
Je suis banlieusarde, j'ai toujours vecu en banlieue Est de Paris.Ce qui fait que j'ai un rapport tres agreable a Paris, je suis toujours enchantee de m'y promener, toujours eblouie et curieuse, un peu touriste. 
 
Q パリに住んでいるのですか? パリについてどう思いますか? 
 
A  私はパリの郊外に住んでいます。ずっとパリの東部で暮らしてきました。郊外に暮らしているがゆえにパリとよい関係が保てますし、パリをいささか一人の旅人みたいな感覚で、いつもわくわくしながら、好奇心にあふれて散歩することができるのです。 
 
2) Comment et quand avez-vous trouve votre style ? 
 
J'ai un amour profond pour la peinture, mais avec mon travail de graphiste, c'est avec un ordinateur que je cree.  En 2008, alors que je travaillais depuis longtemps l'illustration sur Photoshop, je commence une serie d'Autoportraits, une vingtaine d'images - comme un exercice de style - autour de mes influences picturales. 
 
Q 自分の表現のスタイルはどうやって築いたのですか? 
 
A 私は絵画に強い愛を感じていますが、私はプロのグラフィックデザイナーであり、パソコンを使って作画しているのです。長い間、フォトショップというソフトを使ってイラストを作ってきましたが、2008年から自画像を20点ほどシリーズで作り始めました。そこで私は絵画の技法を使う試みを行ってみました。 
 
  Je collecte des photographies, emprunte des fragments d’images, de matieres. J'ancre mon travail "dans un systeme de references, de traces, de reminiscences ". 
Je poursuis les annees suivantes mes recherches a travers des series "L'amour et tout autre Chose"( 2010), "Le Temps" (2011), "Die Figuren" (2011-2012) , Les Ecoeures (2012) 
 
  私は写真を収集し、写真の断片を素材として使い、また、そこからテーマを見つけています。私は画家としての自分の仕事を「参照事項、心に刻まれた印象、おぼろげな記憶などの体系」を作り出すものだと思い至りました。そこで私は自画像シリーズを作ったのちにその後の数年は「愛とそのほかのこと」(2010)、「時間」(2011)、「人々」(2011〜2012)、「嫌悪」(2012)などの作品群を作りました。 
 
  Avec les series "Etres Seuls" (2013), Refuge(s)" (2014), "Psyches" (2015) ce qui etait "collage numerique" est devenu peinture, les morceaux ont disparu, restent la composition, les couleurs et la matiere… 
 
  さらにまた「一人であること」(2013)、「避難所」(2014)、「心」(2015)などのシリーズも続けて作りました。「心」は様々な人間群像を描いたものです。コラージュされた写真の断片の代わりに、構図と色彩とテーマだけが絵画として残ったものです。 
 
3) Quand vous etiez etudiant , quels tableaux avez - vous cres? Comment avez-vous se developee comme artiste? 
 
Je fais mes etudes aux Arts Appliques Duperre a Paris, section expression visuelle.  A l'epoque, sans ordinateur, je ne voulais pas en entendre parler, je faisais tout a la peinture, aux crayons et aux pastels. 
Je debute mon activite de graphiste independante en 1996, essentiellement dans le milieu culturel et associatif, dans l'edition et tres rarement dans la publicite. 
Mes veritables recherches artistiques viennent plus tard, sans doute nees d'une frustration liee a mon metier que je ne trouvais plus assez creatif. 
 
Q 学生時代はどんな絵を描いていましたか?芸術家としてはどう発展してきたのでしょうか? 
 
A  私はパリにあるデュプレ応用芸術学校でビジュアルアートを専攻しました。当時はパソコンもなく、講義を聞きたくもなくて、鉛筆とパステルを使って絵を描いていました。 
  私がグラフィックデザイナーとして活動を始めたのは1996年のことでした。基本的には文化関連の仕事がメインで、その関係で出版関係の仕事もあり、稀にではありますが広告の仕事も請け負っていました。私にとって重要な芸術家としての探究はもっと後になって始まりました。というのはこれらの仕事では創作欲が十分に満たされなかったからなのです。 
 
4) Que pensez-vous sur les attentas contre Charlie Hebdo? 
 
 Cabu et Wolinski ont berce mon enfance, les autres victimes faisaient partie de mon univers d'adultes.Le jour de l'attentat, un mercredi, je faisais mes ateliers d'arts plastiques avec des enfants, a l'annonce de la nouvelle, j'ai senti mon monde s'ecrouler. 
 
Q シャーリー・エブド襲撃事件はどう感じました? 
 
A  殺された漫画家のカビュやウォリンスキーは少女時代の私を作ってくれた人々です。他の被害者の人びとは大人になってからの私の世界の一部となっていた人々です。Charie Hebdo が襲撃されたのは水曜日でしたが、その時、私は自分のアトリエに子供たちといました。ニュースを知ったとき、自分の世界が崩れていく気がしました。 
 
5) Pourriez-vous ecrire sur vous en quelques lignes? 
 
Je suis mere, artiste et femme ce qui est un combat... 
 
Q ご自分を短く表現するとしたら? 
 
A  私は母であり、芸術家であり、女でもあり、つまり戦いの真っ只中にあります。 
 
6) Pourrize-vous ecrire sur les livres et les films que vous aimez ? 
 
J'aime beaucoup le cinema, en ce moment je replonge dans les films francais des annees 1960-70 avec Gabin, Trintignant, Romy Schneider, Lino Ventura. Il ne se passe presque rien, c'est lent, delicat avec un vrai portrait de la societe de l'epoque. J'ai quelques films favoris comme "Le Cuisinier, le voleur, sa femme et son amant" de Peter Greeneway qui est hommage absolu a la peinture. 
En ce moment mes livres de chevets sont des BD, Joann Sfar, Riad Sattouff, Luz…ce n'est surement pas un hasard. 
 
Q 映画や本でどんなものがお好きですか? 
 
A  私は映画が大好きでして、目下、1960年代から70年代のフランス映画に再びのめりこんでいます。ジャン・ギャバン、ジャン=ルイ・トランティニャン、ロミー・シュナイダー、リノ・ベンチュラといった俳優たちが出る映画です。それらの映画ではあまり大きな出来事が起きるわけではなく、テンポも遅いのですが、繊細さを持っていて、当時のフランス社会の真の姿を映し出していると思うのです。 
  他にも好きな映画がありますが、たとえばピーター・グリーナウェイ監督の「コックと泥棒とその妻と愛人」です。この映画には絵画に対する絶対的な称賛の思いが込められていますね。 
  また、目下私の愛読書はJoann SfarやRiad Sattouf、Luzなどの漫画です。これらを好きになったのは決して偶然ではないと思います。 
 
Isabelle Cochereau 
 
イザベル・コシェローさんのホームページ 
http://www.isabellecochereau.fr/ 
 
 
■画廊主コリーヌ・ボネ氏 Corinne Bonnet(la galerie Corinne Bonnet) 芸術家と今の世界 Artists and the world 
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201602231840342 
 
■フィリップ・ラゴートリエールの世界 どこか懐かしい漫画的なキャラクター満載 Philippe Lagautriere 
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201602051955445 
 
■パリの画家/漫画家のオリビア・クラベルさんにインタビュー Interview Olivia Clavel 
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201603151831552 
 
■パリの芸術家   トリスタン・バスティ 
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201310040846205 
 
■パリの芸術家 パタフィジシャンの画家、ゴルゴ・パタゲイ(Gorgo Patagei)氏に聞く 
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201602092258222 
 
■パリの散歩道  〜モノと人と言葉〜Guenole Azerthiope 
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201309111222443 


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