2016年03月13日20時58分掲載  無料記事
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TPP/脱グローバリゼーション

前のめりは日本政府だけ、大丈夫かTPP? 山あり谷ありのTPP魑魅魍魎

 昨年10月5日の“大筋合意”を境に日本政府はググッと前のめりになり、TPP対策の大合唱を始めた。通常国会が始まると“ウソつかない、TPP断固反対の自民党”と共に、6月1日通常国会閉会までにTPP承認案と関連11法改正を通すべく選挙対策まで始めている。自民党では、党議拘束が怖くて声を潜めている、内心TPP反対の220余名の“「TPP参加の即時撤回を求める会」改め「国益を守り抜く会」”の議員まで各選挙区で農協・農家を集めて今迄の対策に色を付けただけのTPP対策を説明し、「今でないとこんな対策費は付かない」と脅迫に暇が無い。新聞報道、世論の雰囲気も“TPPは終わった”かのようだ。(近藤康男) 
 
 2月4日の合意署名の際、国内手続きの目途を明言した国は12ヶ国中、豪州、NZ,メキシコ、マレ−シア、ベトナム、シンガポ−ル(日本は明言の有無不明)と半数、しかも大半は年後半、ベトナムにいたっては2年以内に、だ。では肝心の米国は?? 
 
 議会と業界からの突き上げが厳しく年内審議開始はかなり厳しい米国。米国議会は業界の突き上げで、TPA法での“通商交渉での目的”にそぐわなければ反対(≒賛成)、大統領選挙後でなければ議会審議は始めるべきではない、(あるいは)しない、との発言が上院財政委員長ハッチ(共和)、上院院内総務マコネル(共和)、レビン(民主)など重鎮から相次いでいる。業界団体も、TPP支持は自分たちの要求を認めさせることが前提、と明言している。大統領選候補者もほぼ同様である。そして既に下院では反対派が多数となっている。 
 
 共通する要求は、生物製剤新薬の治験デ−タ保護期間の8年を12年に延長、実効性ある通貨操作対策、電子商取引の情報を保管するサ−バ−の当該相手国内設置義務禁止に金融分野も含めよ(どこでも自由な場所で管理できるよう)、自動車部品の原産地比率を厳しく、等々、最近は全米養豚生産者協会の「日本のTPP牛・豚対策経営安定特別対策事業が、生産促進的、米国生産者の輸出機会を妨害する、TPP違反」と息巻いて67名の議員も公開書簡に署名している。 
 
(最大限日程を消費した場合の米国議会の審議の流れ) 
 
 2月4日署名⇒105日以内に(=5月18日)国際貿易委員会による影響評価報告の議会提出。同時にTPP実施法案と大統領報告(各国ともTPP発効のための準備態勢が整う)の議会提出 
⇒下院で審議開始:歳入委員会で45日以内に採決⇒下院本会議で15日以内に採決 
⇒上院財政委員会で15日以内に採決⇒上院本会議で15日以内に採決 
しかし5月18日以降、年内の会期日数は下院で54日、上院は70日しかない。 
 
 日本の前のめりは、身動きとれない米国に代わって露払いをしているかのようだ。しかし、参院選前の争点化次第で日本もどうなるか分からない。反対運動も1月以降4月中旬までは国会内外でもう目白押し。次は3月30日14時半国会議員会館前座りこみ⇒憲政記念館集会⇒キャンドルデモに集まろう。 
 
こんどう・やすお 
「TPPに反対する人々の運動」世話人 


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