2016年05月29日23時31分掲載  無料記事
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文化

パリの「立ち上がる夜」 フランス現代哲学と政治の関係を参加しているパリ大学准教授(哲学)に聞く Patrice Maniglier

  パリの共和国広場で3月31日に始まり、現在も続いている「立ち上がる夜」(Nuitdebout)と呼ばれる討論会。その議論に運動が始まった当初から参加しているパリ大学在籍の哲学者がいます。パトリス・マニグリエ准教授です。マニグリエ氏はいったいどんな哲学を大学で研究していて、哲学と運動との関係はどのようなものなのでしょうか?マニグリエ氏に聞きました。 
 
I interviewed Professor Patrice Maniglier, moderator of the general assambly of Nuitdebout. He teaches philosophy at Paris university. I wonder what is the relation between his philosophy and Nuitdebout movement. 
 
Patrice Maniglier's answer. 
  ' Nuit Debout matches my conception of philospohy perfectly. Philosophy for me is the encoutner with something that forces you to reconsider what you think is problematic. This is a Deleuzian conception of philosophy. With Nuit Debout this is what happened to me. The ready-made categories (like horiztonality/verticality, reform/revolution, reflection/action, particularity/universality, etc.) are not relevant there. You need to reinvent the very formulation of the problem. This is why I say that Nuit Debout is for me a "thought-experiment" in the highest sense of the term. 
 
 パトリス・マニグリエ 
「『立ち上がる夜』の取り組みは私にとっては哲学という概念とぴったり合致するものです。私にとって哲学とは自分にとって反省を強いる何かとの出会いを意味します。つまり、私の考えに足らないところがあることを気づかせてくれる、そんな何かとの遭遇なのです。これはドゥルーズが考えた哲学のあり方です。私にとって、『立ち上がる夜』はまさにそれなのです。 
  共和国広場においてはレデイメードな二分法は全然重要ではありません。たとえば水平か、垂直か。改革か、革命か。熟慮か、行動か、特殊性か、普遍性かといった区分の仕方のことですが。そうではなくて、参加者はまず問題が何なのかということから、問題を一から明らかにしていかなければならないのです。そういうわけで私にとってこの運動は哲学におけるもっとも高度な意味合いにおいて、『思考上の実験』ということになるのです。 
 
Besides, Nuit Debout is the attempt at creating something new in a context where traditional ways of mobilizing and enrolling people are not wokring very well (parties, unions, etc.). As a consequence, it presents the characteristic of a sort of live experiment for the creation of a political force. This is simply philosophically fascinating. 
 
  さらに、付け加えるなら、『立ち上がる夜』は新しい運動の形を示すものです。というのはこれまで労働組合や政党が中心になって取りまとめてきた民衆の動員が機能しなくなっているからです。そのため、『立ち上がる夜』は新しい形の政治の力を生み出そうとする一種の実験と言えます。これは哲学的に見て非常に面白い試みと言えます。 
 
At last I must say that the kind of philosophy I teach, French philosophy from the 60s 70s (Foucault, Deleuze, Structuralism), is deeply linked to May 68 (even before and after). The very conception of thought those people had, and I inherited it from them, is a conception of thought as a form of struggle, as a way of fighting. It is linked to rebellion. It is an attempt at objecting to all forms of power. Thinking is resisting, by nature - that is something I deeply believe. I have waited all my life for such an event, an event similar to May 68 in the sense that it is political (and not only social and vindicative) and radical, an collective expression of the refusal to obey. This is enough of a reason for me to get involved in Nuit Debout. I hope this helps you understanding why I am there. 
 
  最後に、私が大学で教えている哲学は1960年代から70年代のフランス現代哲学です。フーコーやドゥルーズ、構造主義などです。これらは1968年の五月革命に深くコミットしています。私がこれらの哲学者たちから受け継いだ考え方はものを考えるということは一種の闘争であり、闘う方法に他ならないということです。これはつまり造反につながる思想です。どのような形態であろうと権力にノーをつきつけることです。考えることは本質的に立ち向かうことである・・・私はそう深く信じています。私はずっと1968年五月と同様の出来事〜政治的かつラディカルな〜が起こるのを待っていたと言えます。みんなが隷従することにノーを突き付けることです。私が『立ち上がる夜』にコミットした理由はこれで十分と言えるでしょう。私がなぜ広場に来るのか、これでわかっていただけけたのではないかと思います。」 
' 
Patrice Maniglier 
パトリス・マニグリエ(1973〜) 
パリ大学 ナンテール校 准教授 
哲学者 
 
 
■「レ・タン・モデルヌ誌」(Les Temps Modernes) サルトル、ボ―ヴォワール、メルロー・ポンティらが創刊 今も時代のテーマを取り上げる パトリス・マニグリエ(Patrice Maniglier パリ大学教授・哲学者) 
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201606241454415 
 
■フランスの現地ルポ 「立ち上がる夜 <フランス左翼>探検記」(社会評論社)  村上良太 
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201807202152055 


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