2016年06月22日04時58分掲載  無料記事
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文化

作家ピーエル・パシェの「眠る力」について  セブリーヌ・ダンフルー(著述家) Severine Danflous 

作家でエッセイストのピエール・パシェが亡くなった。パシェが亡くなったので私は再び彼の作品を手に取ってみた。「眠る力」というタイトルの素晴らしいエッセイだ。このエッセイの中で、パシェは作家のフランツ・カフカと夜について次のように言及している。 
 
  「カフカは驚くほど物音に過敏であり、物音に煩わされていた。向かいの窓のきしむ音、隣家の子供たちの遊ぶ音や叫び声などだ。こういった物音のためにカフカはものを書くことを妨げられると同時に、眠ることもできなかった(・・・)夜は音がすべての領域を占めている。夜の沈黙の中では1つ1つの物音がそれぞれの名前を語るのであり、自分を主張するのである。そしてまたそれらの物音はカフカ自身の中に潜んでいる多くの声を制限なく語らせるものでもあった・・・カフカは婚約者だったフェリーツェにこう書き送っている。『ものを書くときに十分な静謐が得られることは絶対にありえない。夜ですら、あまりにも夜の静謐というものから程遠いものなんだ』」 
 
セブリーヌ・ダンフルー(Severine Danflous) 
著述家・高校教師 
 
 フランスの中西部に位置するシャラント県アングレーム在住で、高校の国語の教師をしながら本を書いている。著書に「飢餓を書く〜フランツ・カフカ、ポール・オースター、プリモ・レヴィ〜」(Severine Danflous ''Ecrire la faim 〜Franz Kafka, Primo Levi, Paul Auster〜''). 
 
(元のテキスト) 
 
 ’Pierre Pachet est mort et cela donne a relire son oeuvre et ses merveilleux essais comme ''La Force de dormir ''dans lequel, il evoque le rapport de Kafka a la nuit : Kafka se sent terriblement persecute par le bruit : une scie en face de l'une de ses fenetres, des enfants qui jouent et crient devant celles de la piece voisine et ce bruit l'empeche de travailler autant que de faire la sieste. (…) La nuit est le moment ou l'ecoute prend toute la place. Dans le silence de la nuit, chaque bruit doit annoncer son nom, se faire reconnaitre ; c'est aussi laisser parler sans contrainte les voix en lui... A Felice, il dit''lorsqu'on ecrit il n'y a jamais assez de silence autour de vous, la nuit est encore trop peu la nuit.'' ' 
 
■作家、エッセイストのピエール・パシェ氏(Pierre Pachet、1937−2016)は今月の21日に亡くなった。 
http://pierrepachet.blogspot.jp/ 
 
■リベラシオンの追悼記事’L'ECRIVAIN PIERRE PACHET POSE SA PLUME’ 
http://next.liberation.fr/culture-next/2016/06/21/l-ecrivain-pierre-pachet-pose-sa-plume_1461019 
  作家・エッセイストのピエール・パシェは文芸評論家のモーリス・ナドーが主催した文芸誌「カンゼーヌ・リテレール」で健筆をふるったことで知られている。 


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