2016年07月11日00時20分掲載  無料記事
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文化

コンゴの政情について僕はフランスの外務大臣と話した  アラン・マバンクゥ(作家 Alain Mabanckou )

 僕は7月8日、オルセー河岸(フランス外務省)に赴き、外務大臣のジャン=マルク・エロー氏にコンゴ共和国の政情について訴えることができました。フランスは僕が以前フランソワ・オランド大統領に提言した方向で動いています。コンゴで行われた昨年の憲法改正と今年3月の大統領選挙が引き起こしている政情危機を脱するために、コンゴ共和国政府とフランス政府の対話がいかに必要で、緊急を要しているか、ということです。 
 
  このたびのコンゴの大統領選挙では重大な不正行為が報告されていて、フランスを含めた国際社会がその選挙結果を認めず、保留扱いにしています。コンゴ南部のPool 地域における緊迫した事態と、そしてまた多数におよぶ野党関係者らの逮捕・投獄がフランスの外相との議題の中心でした。このような状況はコンゴをますます分裂させていくことになります。今、コンゴは表現の自由が保証された民主主義社会の建設を急がねばならない時期であり、人々が結束しなくてはならない時であるにも関わらずこのような事態になっています。 
 
 外務大臣は僕がオランド大統領に話した提案の内容をよく理解してくれていました。そして、今後もともにこの議論をしていくつもりでいます。 
 
 
アラン・マバンクゥ(作家 Alain Mabanckou ) 
 
  コンゴ生まれ。パリ大学で法律を専攻し、のちに小説・エッセーを書き始める。フランスの重要な文学賞であるルノードー賞を受けるなど、その評価は高い。さらにパリのコレージュ・ド・フランス教授に今春就任し、黒人文学・植民地文学について講義を行っている。「青・白・赤(Bleu-Blanc-Rouge)」、「ヤマアラシの思い出(Memoires de porc-epic)」、最新作には「唐辛子(Petit Piment)」など 
 
J'ai ete recu ce 8 juillet, au Quai d'Orsay, par le ministre francais des Affaires etrangeres Jean-Marc Ayrault pour evoquer la situation politique congolaise actuelle. La France va dans le sens de ce que j'avais propose au president de la Republique francaise : la necessite et l'urgence d'un dialogue en vue de sortir de la crise nee de la modification de la constitution et de l'election presidentielle au Congo - election marquee par de graves irregularites qui ont conduit la communaute internationale, y compris la France, a emettre des reserves quant a son issue. L'emprisonnement de plusieurs membres de l'opposition etait au coeur de notre echange, de meme que la situation preoccupante dans la region du Pool (sud du Congo). Une telle atmosphere est de nature a aggraver la fracture entre les Congolais au moment ou il est plus que salutaire de les rassembler et de hater l'avenement d'une societe portee par la liberte d'expression et la democratisation du pouvoir. Le ministre est en possession de mes propositions que j'avais remises au President de la Republique, et nous allons poursuivre les discussions. 
 
 
※アラン・マバンクゥ氏はフランソワ・オランド大統領に宛てた公開書簡を発表した。去年10月のコンゴ共和国の憲法改正によって(3回連続大統領になれるように改めた)のべ32年間、大統領の地位にあるサス・ンゲソ氏が今春、連続3回目の大統領選に出馬することを可能にしたのだった。それについてフランスのオランド大統領が承認したことによって(のちにその判断を見直したが)その後にコンゴに起きたことを考えてほしい、という内容だった。結果的に怪しい選挙で、ンゲソ大統領が権力の座に居座ることになった、ということである。フランスの政治家がアフリカの国々の政情に無理解であることを指摘している。 
http://afrique.lepoint.fr/actualites/congo-alain-mabanckou-sa-lettre-a-francois-hollande-11-05-2016-2038584_2365.php 
 
※日本の外務省は今年3月のコンゴの大統領選挙に際して、以下のような注意を喚起する発表を行った。 
「コンゴ共和国:大統領選挙(3月20日)の実施に伴う注意喚起 
2016年02月25日 
1.コンゴ共和国では、3月20日(日)に大統領選挙が実施される予定で,3月4日から18日までが選挙運動期間となっています。 
2.昨年10月に新憲法案にかかる国民投票が実施された際,首都ブラザビルやクイール地方州都ポワント・ノワールにおいて,国民投票に反対する市民によるデモと治安当局との衝突により,死傷者が出ました。また,SMSやインターネット等の通信手段が遮断されるといった状況も発生しました。・・・」 
 
※Republic Of Congo Election 2016: Results Stalled As Citizens Take To The Polls Amid Media Blackout 
http://www.ibtimes.com/republic-congo-election-2016-results-stalled-citizens-take-polls-amid-media-blackout-2339752 
 
 
■アラン・マバンクゥ著 「黒人のすすり泣き」(Le sanglot de l'homme noir) 
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201310290930502 
 
■コレージュ・ド・フランスのアラン・マバンクゥ氏(作家) 2回目の講座でネグリチュード運動を語る 盟友ラフェリエール氏も’登場’ 
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201603302240033 


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