2017年02月28日23時00分掲載  無料記事
http://www.nikkanberita.com/print.cgi?id=201702282300092

文化

音楽にかける青春  富士山の麓でのコンサート   ルドミラ・パヴロヴァー(バイオリン奏者) Ludmila Pavlová ,violinist

  2年前にインタビューしたチェコの若いバイオリニスト、ルドミラ・パヴロヴァーさんは来日公演を希望していましたが、このたび、願いがかなってとうとう実現しました。静岡県で10回のコンサートを行うためです。前回のインタビューでも少し触れましたが、コンビを組んでいるピアニストのスタニスラフ・ガーリン氏、そしてチェロ奏者のペトゥル・マリスク氏と3人でトリオを組んでの来日公演でした。オールビス三重奏団(Orbis Trio)という名前です。 
 
  演奏した曲はドヴォルザーク作曲のピアノ三重奏曲第四番ホ短調「ドゥムキー」、ショスタコーヴィッチ作曲のピアノ三重奏曲第一番ハ短調、アルノ・ババジャニアン作曲のピアノ三重奏曲嬰へ短調などでした。これらはいずれもトリオの曲です。ショスタコーヴィッチやババジャニアンの曲ではパヴロヴァ―さんのバイオリンとマスリクさんのチェロの激しい掛け合いが印象深く、ピアノのがガーリンさんがクールに二人の演奏を受け止め、バランスのよい演奏になっていたと思います。パヴロヴァ―さんは情熱的なバイオリニストだな、と改めて感じました。 
 
  3人を招聘したのは静岡県富士市で自前の音楽家招聘活動を行っているヴィルトゥオーゼ・ディ・ボヘミアコンサート実行委員会です。富士市の市役所で文化活動を担当してきた杉本篤さんが委員長をつとめ、「ボヘミア」という名前の通り、チェコの優れた音楽家を富士山麓に招聘して地元の人々と鑑賞するのです。杉本さんがこの活動を始めたのは3年ほど前になるそうですが、きっかけは同じ富士市に住んでいるチェコ人の優れたコントラバス奏者、ジリ・ローハン(Jiri Rohan)さんとの出会いがあったからだと聞きました。ローハンさんはプラハ音楽院で学んだあと、最年少でチェコフィルハーモニー管弦楽団のコントラバス奏者になったそうです。その後、様々な演奏活動ののち、縁があって富士山麓に住むようになったのだそうです。 
 
  このジリ・ローハンさんはヴィルトゥオーゼ・ディ・ボヘミアコンサート実行委員会の杉本さんとともに富士市内で音楽文化の普及活動に取り組んでいるということでした。音楽業界のプロモーターが招聘するのと違って、自前の音楽コンサートですから、そこには手作り感や、暖かさ、さらには愛情が感じられました。ジリ・ローハンさんは「富士山を見あげながらイメージしました」と言って、ドヴォルザークの新世界交響曲の第二楽章をコントラバスで演奏してくれました。聞いていると、大らかな気持ちになれます。ローハンさんという人の大きな人間的な味わいのようにも感じられました。 
 
  10回のコンサートを終えたばかりのパヴロヴァ―さんに日本公演での感想を聞いてみました。 
 
  Ludmila Pavlova 
”We enjoyed it very much. Food, Fuji, all sightseeing. The audience was great and everybody was very kind to us. Also was great Jiri Rohan who invited us, played a few pieces on doublebass with us and organised everything!” 
 
ルドミラ・パヴロヴァ― 
 「私たちは日本での日々をとても楽しみました。食事も、富士山も、そしてすべての観光も。日本の聴衆はとても素晴らしかった。みんな私たちにとても親切にしてくれました。そしてまた、私たちを招いてくれたジリ・ローハンさんにも感謝しています。ローハンさんもコントラバスで少し私たちと演奏してくれましたし、それにすべてを取り仕切ってくれたんですよ」 
 
村上良太 
 
 
■音楽にかける青春 バイオリン奏者 ルドミラ・パヴロヴァー Ludmila Pavlova 人は演奏している音楽とともに生きていかなくてはならないことを知りました 
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201508200021584 
 
■音楽にかける青春 アンナ・パウロヴァー(クラリネット奏者) ’Now I cannot imagine my life without clarinet’ Anna Paulova 
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201508010952116 


Copyright (C) Berita unless otherwise noted.
  • 日刊ベリタに掲載された記事を転載される場合は、有料・無料を問わず、編集部にご連絡ください。ただし、見出しとリード文につきましてはその限りでありません。
  • 印刷媒体向けの記事配信も行っておりますので、記事を利用したい場合は事務局までご連絡下さい。