2017年09月25日23時29分掲載  無料記事
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移民大国ニッポン

【パブコメ】「国家戦略特別区域法及び構造改革特別区域法の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備に関する政令(案)」に関する意見を提出しました

 移住者と連帯する全国ネットワーク(移住連)は、「国家戦略特別区域法及び構造改革特別区域法の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備に関する政令(案)」に関する意見募集にあたり、2017年9月11日付で以下のパブリックコメントを提出いたしました。 
 
【「国家戦略特別区域法及び構造改革特別区域法の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備に関する政令(案)」に関する意見】 
 
特定非営利活動法人 移住者と連帯する全国ネットワーク 
 
《意見》 
1.はじめに 
 本件政令案に関する意見募集は、1週間ほどの極めて短い期間で実施された。 
 しかし、当団体が意見を述べようとする「農業支援外国人受入事業」については、その指針案が同時期にパブリックコメントに付され、1ヶ月の募集期間がおかれている。 
 「農業支援外国人受入事業」については、本件政令案のみならず指針案と相俟って検討されるべきところ、本件政令案のみ短い期間で実施されたことは極めて不適切であったと言わなければならない。 
 
2.政令案第19条について 
<意見> 
 本条2号に規定する「陳列又は販売」の作業を削除すべきである。 
<理由> 
 本条は法第16条の5第1項に定める「農業支援活動」の定義に関わり「付随作業」を定めるものであるが、示された政令案は「農作業」を中核とする「農業支援活動」の範囲を無限定にしかねない極めて広範な作業を含むものとなっている。 
 従って、「農作業」と一定の密接な関係を有する作業に限定すべきであり、少なくとも本条2号に規定する「陳列又は販売」の作業を削除すべきである。 
 また、「家事支援外国人受入事業に係る解釈」で示されているように、「付随作業」に従事する時間を「各月の就業時間の3割以下にとどまること」とするなど、時間的上限を設けるべきである。 
 
3.政令案第20条について 
 本条は「農業支援外国人」の要件を定めるものであるが、本条2号にいう「必要な知識及び技能」が具体的にどのようなことをさすのか、また、本条3号にいう「必要な日本語の能力」がどのようなレベルを要するのか、本条だけでは明らかではない。 
 そこで、「家事支援外国人受入事業に係る解釈」と同様に「農業支援外国人受入事業に係る解釈」が出されることを想定して、以下に意見を述べる。 
 
(1)本条2号「必要な知識及び技能」に関して 
 今年の通常国会における政府答弁では、「農業支援外国人」は、「強い農業の実現のため、経営規模の拡大、多角化・高度化に対応できる即戦力」として、「専門知識・経験を有する熟練作業者として、現場の状況に応じて作業手順を自ら考え、施肥や農薬散布等の栽培管理、収穫・出荷調整等の作業が行える者」とされた。 
 そして、「知識経験は、農業機械の操作、農薬の取扱い、施肥設計、土壌の種類の判断など農作業に必要不可欠な項目について、試験などで一定以上のレベルであることを評価確認する方向で検討する」とされていた。 
 従って、「必要な知識及び技能」に関する試験がどのように実施されるのかが問題となる。この点に関する「解釈」がどう示されるかが重要であり、「解釈」に関してもパブリックコメントが行われるべきものと考える。 
 
(2)本条3号「必要な日本語の能力」に関して 
 「家事支援外国人受入事業に係る解釈」においては、日本語能力試験のN4程度が必要とされている。 
「農業支援外国人」においては、「即戦力」あるいは「専門知識・経験を有する熟練作業者」として想定されているのであるから、少なくとも「家事支援外国人」を超える日本語能力が必要と考える。 
 
(3)技能実習との関係について 
 今年の通常国会における政府答弁では、「農業支援での受入れと技能実習とは、目的も対象となる外国人材も明らかに異なる」とされながら、「技能実習を修了して帰国した者も含まれ得るが、少なくとも技能実習修了後、1年以上は母国で農業に従事して技能移転等を図ることが、基本となるのではないか」とされた。 
 技能実習制度の技能移転という目的を失わせないためにも、技能実習修了後、母国で1年以上、実際に農業に従事したことを要件とすべきである。 
 また、技能実習2号修了時に受験する技能検定3級に合格していることのほか、農業支援外国人に課される知識・経験の評価に関する試験の合格も要件とされるべきである。 
 
4.政令案第21条について 
<意見> 
 本条は「特定機関」に関わる基準を定めるものであるが、本条3号の「農業支援外国人受入事業を適正かつ確実に遂行するために必要な能力が十分であること」との記載を、「農業支援外国人受入事業を農業の特性を踏まえて適正かつ確実に遂行するために必要な能力が十分であること」とすべきである。 
<理由> 
 「特定機関」に関しては、「農業支援外国人受入事業に関する指針案」で明記されているように労働者派遣事業者が予定されているところ、派遣事業者の多くは農業部門での経験が少ないと思われる。 
 しかし、農業はその性質上天候等の自然条件に左右されるほか、就労場所も散在しており、派遣事業者による管理もかなりの困難が想定される。従って、単に派遣事業者としてだけではなく、農業分野で必要とされる能力を有する者とすべきである。 
                      以 上 
 
<PDF版> 
170909−国家戦略特別区域法政令(案)に関する意見 
http://migrants.jp/wp-content/uploads/2017/09/5ff703f8934b254fb57c327af6ba2c69.pdf 
 
<意見募集(パブコメ)> 
「国家戦略特別区域法及び構造改革特別区域法の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備に関する政令(案)」に関する意見募集 
https://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=095170950&Mode=0 
 
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【移住連の本】 
 
日本・世界の移住者の今が分かる日本で唯一の情報誌『Mネット』 
(年6回発行) 
 
<Mネット 2017年8月号(第193号)> 
特集 「収容・送還をめぐる現状と課題」 
● 非正規滞在・収容・送還をめぐる現状と課題 
(弁護士 児玉晃一) 
● 収容・送還に関する統計資料 
(移住連省庁交渉より) 
● 入管収容施設の被収容者死亡事件 
(弁護士 駒井知会) 
● 元非正規滞在者へのインタビュー 
〔闘病生活を送るシングルマザー・ノイさん(仮名)のこれまでと現在〕 
● 入管被収容者面会支援の現場から 
(「難民・移住労働者問題キリスト教連絡会」事務局長 佐藤直子) 
● 仮放免されている家族への新たな攻撃 
〔RINK(すべての外国人労働者とその家族の人権を守る関西ネットワーク)草加道常〕 
● チャーター機による集団送還 
  −過去6回の実施から見える送還の実態と課題− 
(「移住者と連帯する全国ネットワーク」事務局長 山岸素子) 
● 難民申請者の「裁判を受ける権利」 
(弁護士/チャーター便送還国賠訴訟弁護団 小川晢史) 
● 大村入国管理センター訪問活動から 
(「長崎インターナショナル教会」牧師 柚之原寛史) 
● 東京入管局長との交渉概要 
(社会福祉法人「日本国際社会事業団」常務理事 石川美絵子) 
 
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