2018年10月03日19時54分掲載  無料記事
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文化

ニューヨークタイムズで文芸評論を長年執筆したミチコ・カクタニ氏が自身の家族の物語を投稿 日系人の強制収容の記憶とトランプ時代

  ミチコ・カクタニという名前はニューヨークタイムズの文芸評論を書く記者として長年、よく知られた存在でした。ピューリッツァ賞も受賞しています。日系人なのでミチコ・カクタニと書きましたが、日本の順序にすればカクタニ・ミチコです。ツイッターを見ると、彼女の最新刊に今年7月に出版された"The Death of Truth: Notes on Falsehood in the Age of Trump" (真実の死:トランプ時代の嘘に関するメモ)があります。事実の裏付けがなされた客観的な情報よりも、信憑性の疑われる主観本位の話が幅を利かせるトランプ大統領の時代の今、どうやってこの状況から抜け出すかを描いていると紹介されています。 
 
  7月17日、ミチコ・カクタニ氏の文章がニューヨークタイムズの2ページを使って掲載されました。何を書いたのか、というと彼女の母親の日系人一家が1942年に住み慣れた家を退去させられ、ユタ州の収容所に閉じ込められることになった歴史です。若い女性だった母親とその姉妹、そして母方の祖父母の4人が収容所のバラック小屋の前で撮影した記念写真も掲載されています。アメリカ西海岸では12万人の日系人が収容所に入れられたと書かれています。キャンプへの移動を命じられてから、わずか10日で持ち物を売り払って支度をしなくてはならなかったそうです。そして家族には13453という番号が与えられた、と。アメリカ政府の問題ですが、戦争を起こした当時の日本政府にも原因があります。 
 
  カクタニ氏は「歴史は繰り返す」と書いています。トランプ政権になって、外国人の子供が両親と引き離される事態が起きています。しかも、第二次大戦時代と違って、戦争が起きているわけではなくても、そうした悲劇が繰り返されているのだ、と。それがもたらしている悲しみの意味をカクタニ氏は自分の家族の物語を綴ることで表現しています。記事のタイトルは"I know what incarceration does to families". ( 強制収容が家族にもたらすものを私は知っている)です。この記事が出たのは彼女の最新の本が出版されたのと同じころのようです。 
 
 
村上良太 
 
 
※The Death of Truth: Notes on Falsehood in the Age of Trump   by Michiko Kakutani 
https://www.goodreads.com/book/show/36978232-the-death-of-truth 
 
※Michiko Kakutani on Her Essential New Book ‘The Death of Truth’ 
https://www.rollingstone.com/culture/culture-features/michiko-kakutani-on-her-essential-new-book-the-death-of-truth-666137/ 


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