2018年10月22日10時52分掲載  無料記事
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文化

日仏討論会「戦争の記憶を比較する:特攻隊神話とレジスタンス神話」 アンスティチュ・フランセ関西ー京都 稲畑ホール 10月25日(木)

   今月25日にアンスティチュ・フランセ(関西ー京都)日仏討論会「戦争の記憶を比較する:特攻隊神話とレジスタンス神話」(10月25日(木) 17:00 〜19:30)を企画しています。ウェブサイトには、次のように書かれていました。 
 
  「第二次世界大戦期の記憶をめぐる国内の対立は、日仏いずれにおいても、神話をめぐって展開されている。英雄/犠牲者としての特攻隊神話、ヴィシー症候群を癒すためのレジスタンス神話。特攻の記憶を研究する福間良明氏とヴィシー症候群の名付け親であるアンリ・ルソー氏という日仏の二人の専門家をお迎えして、歴史認識問題にも連なる戦争の記憶の問題を考えてみたい。」 
 
  アンリ・ルソー(Henry Rousso)氏はルッソと表記されることもあるようですが、フランスの著名な歴史家ということです。このたび、来日して歴史の問題などを論じるようです。東京でも日仏会館などで講演やシンポジウムが予定されています。ここで書かれている「ヴィシー症候群」というのは英語ではヴィシーシンドローム(Vichy Syndrome)で、ルソー氏には”The Vichy Syndrome: History and Memory in France Since 1944 ”(ヴィシー症候群 :1944年以後の歴史と記憶)と題する著書があります。これは英訳されたものですが。 
 
  アマゾンのサイトでこの本”The Vichy Syndrome: History and Memory in France Since 1944 ”(ヴィシー症候群 :1944年以後の歴史と記憶)の紹介欄には次のようなことが書かれています。誇り高いフランス人にとってナチに占領された日々は戦後の解放後にも暗い影を落としてきたもので、ナチへの協力とか、敗北などの苦い記憶に満ちています。それゆえ、フランス人は自己を保つべく、ある記憶は持ち続けようと決め、ある記憶は隠そうと決めたという。筆者は未読なので、これ以上わかりませんが、フランスでは戦後、レジスタンス神話というものがあり、確かにナチに占領されはしたが、勇敢なレジスタンスが存在した、ということでそこに自分を重ねる、というような人が少なくなかったようです。実際にパリの街を歩いてみると、あちこちの通りに対ナチ・レジスタンス活動で命を落とした市民の名前がプレートなどに刻まれています。 
 
  そうしたフランス人の自己欺瞞に挑戦した映画が、たとえばルイ・マル監督の「ルシアンの青春」でしょう。ここにはナチに協力した一人の青年の日々が描かれています。ルイ・マル監督は「さよなら子供たち」という映画では逆にナチ占領下でリスクを冒してもユダヤ人の子供をかくまう神学校の校長なども描いています。ルソー氏が書いているようにフランス人にとってこのテーマは歴史の重いテーマであることは間違いないようです。 
 
 ★Henry Rousso vous presente son ouvrage "Face au passe / essais sur la memoire contemporaine" aux editions Belin a l'occasion de Livre Paris 2016. 
「過去との対峙」と題する本を出版した時に行われたルソー氏のインタビュー映像。mollat書店の映像サイトで紹介されています 
https://www.youtube.com/watch?v=l7amhvxzla0 
  以下が今回のシンポジウムに関するアンスティチュ・フランセのリンクです。詳しくはリンクを参照してご確認ください。 
http://www.institutfrancais.jp/kansai/events-manager/resistance/ 


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