2019年05月05日22時46分掲載  無料記事
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関生反弾圧市民情報センター

労働組合のストライキ・ビラまき・法令順守活動を『犯罪』に、労働組合を『暴力団』扱い  関生弾圧の実態

 滋賀県警と大阪府警は、関生支部が行った正当な労働組合としての要求を「ゆすり、たかり」、ストライキを「威力業務妨害」、抗議を「恐喝」、組合活動を「組織犯罪」として刑事事件をでっちあげています。工事現場で法令遵守(コンプライアンス)を呼びかけても、業務妨害として逮捕されています。昨年8月以降に、延べ64人を不当逮捕し(再逮捕も含む)、今でも多くの組合員を長期拘留しています。例えば、30分で数枚のチラシを配って、逮捕された人もいます。刑事が「組合を止めろ」と脅し、家庭に押しかけて、「だんなに組合を止めさせろ」と強要しています。まるで、戦争中の特高のやり方です。―こんな呼びかけの下に「組合つぶしの大弾圧を許さない」運動が盛り上がっています。弾圧の実体を伝えるチラシから、その一端を紹介します。(大野和興) 
 
 
◆当たり前の組合活動を犯罪に 
 
 憲法28条(団結権・団体交渉権・団体行動権の労働三権)に基づき、労働組合の活動には刑事免責、民事免責が認められています。しかし滋賀県警、大阪府警は関生支部を民事介入暴力集団扱いし、滋賀県警では刑事部組織犯罪対策課が担当して弾圧の先頭に立っています。 
 
 警察が『犯罪』としているのは、ストライキや環境破壊を繰り返す業者の前でのビラまき、建設現場での法令違反摘発=“コンプライアンス活動”など、当たり前の労働組合活動です。 
 例えば、「クレーン車のアウトリガ(転倒防止の装置)を出してない、トラックのリアバンパーが外れている、タイヤがすり減って危険、車検ステッカーの表示がない」などの法令違反や安全対策の不備を2,3名の組合員が、穏やかに現場責任者に指摘し、駆けつけた警官も業者を指導してその場で是正させるなどの活動です。 
 
 このような法令遵守・安全活動を警察は、「軽微な不備に因縁をつけ・・・」などと言って、威力業務妨害罪や恐喝罪として『犯罪』に仕立て上げ、現場にいなかった組合員も含めて逮捕・起訴しています。 
 
 他方で警察は、逮捕された組合員の家族に対して、「関生支部を辞めるように説得せよ」というような不当労働行為を平気で行っています。 
 
 関生支部の組合員たちは、当たり前の組合活動をしているだけで、何ら罪に問われるようなことはしていません。むしろ憲法や労働法に違反し、不当な長期拘束で人権を侵害しているのは警察の方です。 
 
 
◆警察とヘイト集団が連携 
 
 中小零細業者が多い生コン業界は、仕入先の大手セメントメーカーによる拡販圧力、ゼネコンによる買い叩きによって不当に低い販売価格を強制されてきました。関生支部は労働条件を改善するためには、生コン業者同士のダンピング競争を止めさせる必要があると考えました。中小企業等共同組合法に基づく協同組合を組織し、共同受注・共同販売によってゼネコンやセメントメーカーと対抗し、生コン価格の適正化を実現してきたのです。そして協同組合と集団的労使交渉を行い、労働条件の引上げや、どの生コン会社でも同じ労働条件にすることを目指してきました。 
 
 協同組合運動はゼネコンの切り崩しによる紆余曲折を繰り返しながら一定の成果を挙げ、その結果、生コン販売価格はあがりました。 
 しかし大阪広域協組は生コン価格の上昇による利益を協同組合の幹部企業で独占し、労働者には賃上げの口約束だけで実行しようとはしませんでした。これに対して2017年12月に関生支部と全港湾大阪支部は近畿一円でゼネストに突入しました。このストライキに対し大阪広域協組は「ストライキは威力業務妨害」として「関生支部と関係を持つ企業の除名」など、全面的な攻撃を開始しました。在日韓国、朝鮮人や中国に対するヘイトスピーチをくり返すヘイト集団と手を結び、関生支部を襲撃しました。 
ヘイト集団によるマスコミやSNSを利用した悪質なデマ宣伝、警察権力による不当な大量逮捕・起訴の刑事弾圧、大阪広域協組による関生支部組合員が存在する企業への出荷制限などの兵糧攻めが連動して行なわれています。 
 
 
◆憲法28条破壊、労働組合つぶし、社会運動つぶし 
 
 警察官や検事は取り調べの中で「関生をやめる気はないのか」「関生を削っていく」「労働組合は企業の外で活動するな」など関生支部をつぶすことが目的だと公言してはばかりません。弾圧の本質は、労働組合を労使協調と企業内組合に封じ込め、大資本に対抗する労使一体となった協同組合運動を解体し、戦争に反対する労働運動を破壊することです。 
 
 この攻撃は労働組合にとどまるものではありません。安倍政権の戦争する国つくりや、反原発、反基地など様々な市民運動、住民運動など、時の政権に異を唱える全ての運動に対する弾圧にもつながっています。憲法28条で保障されているはずの労働組合の活動でさえ『犯罪』にされているのです。市民運動、住民運動の行政や企業に対する申入れや抗議行動も、「脅迫、威力業務妨害」として弾圧されかねない事態となっています。 
 
 多くの労働組合や市民団体が、自らに対する弾圧として、支援の闘いに立ち上がっています。「労働組合つぶしの大弾圧を許さない!京滋実行委」は、一人でも多くの労働者、市民の皆さんがこの不当弾圧との闘いに結集することを呼びかけます。 


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