2019年06月14日15時20分掲載  無料記事
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関生反弾圧市民情報センター

「今次関生弾圧の経過と本質と滋賀の警察について」  稲村 守(かんなま勝手連・しが)

 複数の信頼できるマスコミ関係者によると、今回の滋賀県警の弾圧に発する2018年7月以来の国家権力による関生弾圧は、警察が10数年前から近畿ブロックで、連帯ユニオン関西地区生コン支部に狙い定めて弾圧の検討を積み重ねていたものだと言う。 
 
 それで滋賀県警は警備課:公安警察ではなく、暴力団対策の刑事部組織犯罪対策課が出動して、「おれらは公安みたいに甘ないで」と言い、「本部(警察庁)からの指示だ」と言い、「労働組合は企業内でやるもんだ」とも言い、「これでコンプライアンスはもうできへんやろ」とまで放言している。これらの関生組合員逮捕時の現場刑事のセリフは、問題の本質を分かりやすく端的に示しているものとして永嶋弁護士に紹介され、あまりにも有名になっている。 
 
 これは推定の域を出ないが、10数年間の検討・準備をふまえ、第3次安倍政権で「花開き」、2018.4.11彦根警官業務中の警察の拳銃での上司射殺事件をはじめとするセクハラ・パワハラ・交通事故等々の様々な滋賀県警の不祥事をごまかし、またその「弱点」のゆえに東京の本部の指示を断れなかったのではという見方もある。 
 この私の「不祥事ごまかし」説は、2019.4.11のこの前代未聞の「彦根交番射殺事件一周年」の日の武委員長の再々再逮捕によって、滋賀県警自体が立証してくれた。別に、私の偽造した陰謀史観ではない(2019.4.11前に私は反弾圧実行委のFBで主張している)。その「おかげ」で、本年4.11の晩のびわ湖放送テレビは彦根交番事件にふれず、武委員長再々再逮捕一色となった(NHK大津放送局のテレビはそうもいかず、両方とも報道したが、「薄める」ことはできた)。 
 
 また、なぜ関生か、滋賀か(狙われたのは?)ということでは、中小生コン経営の協同組合運動と労働運動を両輪として、まさに経団連会長が述べているように、“資本主義の根幹を揺るがす”運動を関生支部が展開して大手ゼネコンの収益第一主義に対決し、そこをレイシストグループが介在して問題を深め、広めてきたことがある。そして、関生支部が京阪神・近畿などの階級的労働運動や沖縄連帯・反原発・護憲などの大衆運動の先頭に立って、辺野古現地にまで生コン車の大デモンストレーションを展開してきた、これが安倍政権の官邸中枢まで伝わり、本年6月末の大阪G20対策をさせたと言われてきた。 
 
 2019年6月2日の京丹後米軍Xバンドレーダー基地撤去現地集会で、関生支部・坂田副委員長がこれらの活動を報告され、滋賀からの初参加の労働組合員から、「沖縄・辺野古も、Xバンドも反原発も安倍政権打倒も参院選も関生弾圧もすべてつながっていたんだ。そのことがよく分かった」と思いを帰路バス車中で報告していただき、こちらも改めて関生弾圧の本質に思いをはせたということがあった(反弾圧実行委のFB掲載)。 
 
 滋賀が狙われたのは、京阪神と比べて関生支部は頑張ってはいるが、独自の闘いとなっていて、地域労働運動との結合が他と比して若干手薄であった感は否めないし、市民運動は滋賀の私たちの弱さでもあるが、今まで滋賀県内での接点はあまりつくれてなかった。そこが狙われた感もあるし、この点は警察側の「けがの功名」かもしれない。 
 
 昨夏、初期の大津警察署前抗議行動でこのことを直感して(地元が少ない)、びわこ放送KKへの「ニュース女子」報道差止申し入れ行動の緊急必要性もあったので、滋賀の反原発のなどの仲間と相談し、“かんなま勝手連・しが”結成に至った。それと言わずもがなで誰も今まで触れていないが、関生支部を狙うことによって、支援の可否をめぐって、「野党共闘」や「総がかり行動」を分断できるかもという副産物も、安倍政権は(元左翼・革新の類の人間による「ご注進」などで)狙っていたのだろう。 
 
 そして現在、6月末のG20で弾圧は止まるのか、はたまたそれのために関生以外の労組・市民団体にも弾圧が及ぶのかは予断を許さないし、大津地裁で進行している湖東生コン協組「事件」公判は来年の2月14日の公判日程まで決定されている。残り6名の関生組合員の奪還がいつになるのか、滋賀でさらなる逮捕もささやかれ、追起訴(ついついつい・・)も公判のたびに滋賀地検はほのめかしているし、去年日野町事件で再審決定出したとかいう裁判長は終始ひとりで出てきて、主体性のない、警察・検察言いなりの恥ずかしい状態を隠そうともしていない。 
 
 そんなこんなの通奏低音に28年前まで京都府民であり、京都で今も労働運動にはかかわって総評地方オルグ45年の不肖・小生が感じているのは、滋賀県の警察の市民(労働者・労働組合も含めてか)をなめ切った態度である。 
 これは京阪神では少なくとも表面上はあんまりないことであり、はっきりと違いを明言できる。痛感したのは、3年前、5月連休5日間で750人にご参加いただいた“原発全廃・びわこ一周デモ”のデモ申請時である。県都・大津署とあいば野のある高島署を除いた県内各地の警察署の市民運動のデモ申請への対応は、ひどいの一語に尽きた。最初からデモ申請など認める気もないという態度で、「あさって来い」とか、「地図がないから3時間後にせよ」とか、「ちょっと待って」と4時間待たすとかはざらで、あれでは気の弱い市民運動のメンバーならもうデモなど全く断念するだろうし、電話予約なしにデモ申請手続き全てを15分で終われた勤務先最寄りの京都市の中京警察署が、こよなく民主警察のように思えた。 
 
 それでいて、県内各地の警察署はこちらが行く前から、私たちが2万枚を越えて印刷し配布しているびわ湖一周デモのチラシは持っていたし、県警本部と事前に連絡を取り合ってもいたのである。当然、正直言って、共産党や社民党や当時の民主党・民進党などの政党と、連合や全労連の県・地域組織の日常の活動の根本的問題も感じたが。2011.5.8から大津市内で積み重ねた“脱原発市民ウォークin滋賀”の私たちの積み重ねがなければもっともっと困難を極めただろう。びわ湖一周デモはその毎月のデモの50回記念で実施したのである。毎月のデモ申請担当のOさんの、県内各警察署の警備課に人事異動されていた元大津署員の知り合いがそれぞれいたので、まだいろいろ前向きに仕事をさせることができたのだった。 
 
 反弾圧実行委員会のFBにも掲載しているが、先週6月5日の滋賀県警・大津地裁への中央平和フォーラム・関生支部・連帯ユニオン本部・反弾圧(大阪)実行委員会・同京滋実行委員会(かんなま勝手連・しが)の中心メンバー7〜8人が署名提出行動を行った際の前代未聞のひどい対応は、滋賀では日常茶飯であり、これら「お上」に逆らうものなど日ごろ県内ではありえない、想像もつかないという(相手の)感じなのである。 
 大津地裁の承認印によってではあるが、午前3時に組合員宅に強制逮捕・家宅捜索で幼子は泣きわめく、関生組合員の妻は自分の下着が入っているタンスまで勝手に見ず知らずの男性捜査員に開けられて心の病に陥る、取り調べ中もしつこく刑事が不当労働行為をし、妻にまで「完全黙秘などしてたら一生出て来れないぞ。あんたからもだんなに労働組合をやめるように言え」など、時計が74年前に戻ってしまったようなことが、今もなお続けられている。 
 
 この間の関生弾圧事件公判の大津地裁傍聴者はすべて感想で言われるが、法令順守の大手ゼネコンなどの作業現場回りの関生支部によるコンプライアンス活動など、何の問題もないのに、そして改めないからビラを路上で数十分、数枚撒いただけで威力業務妨害罪容疑だとか、恐喝容疑だとかで不当逮捕・勾留など信じられない。いかに紳士的に法違反事項の指摘・要請行動をしていたかは検察自体が証拠で明らかにしてくれている。相手側証人もすべてそう言っている。 
 
 だから、琵琶湖大橋で50数歳の市民を、よそ見していた自転車の警官が衝突して殺し、70万円の罰金で終わり、所属長のコメントも無しなどいうことは断固告発し、市民宣伝で訴える必要があると思う。毎週土曜日の市民宣伝ではこちらがびっくりするくらい、一般市民が警察抗議の署名をしてくださっている。これをさらに広げ、10か月以上も不当勾留されている残る6名の仲間を早期奪還したい、その一念である。他意はない。いろいろ舌足らずな失礼の段はお許しいただきたい。 
 以上 
 
 
勝手連ニュース20号20190611.docx 


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