2020年03月12日22時57分掲載  無料記事
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増大続ける防衛費、来年度予算案に対し「武器より暮らしに回せ」の声

2月28日、来年度予算案が衆議院を通過し、今年度内の成立が確定した。過去最大の総額102兆6580億円となった来年度予算案を見ると、新型コロナウイルス対策のための予算が計上されない一方で、防衛費は8年連続で増加して5兆3000億円を超えた(今年度の当初予算比で559億円増加)。野党が共同提出した新型コロナウイルス対策予算を含めた組み替え動議は予算委員会で否決されたが、来年度予算案の問題点を追及する市民により、3月5日、参議院議員会館において「武器爆買いより暮らしに回せ!大軍拡予算案の組み替えを求める院内集会」が開催された。主催は「武器より暮らしを!市民ネット」。 
 
院内集会では「ピープルズプラン」編集長の白川真澄さんが講演。「安倍政権が進める『全世代型社会保障』改革は、普遍主義的なサービス拡充には向かわず、世代間対立や分断を煽るだけ。社会保障サービスのための自己負担額も軒並み引き上げられるなど、『自己責任型社会』が安倍政権の目指す社会像であり、安心できる社会保障に向けた財源確保のための議論を市民の側から提起する必要がある」と訴えた。 
また、軍事評論家の前田哲男さんは増加を続ける防衛費について、「予算規模を小さく見せるため、本来なら当初予算に計上すべき装備調達などの費用を補正予算として計上する形が安倍政権下で常態化している。また、宇宙開発機構(JAXA)や海上保安庁などの“かくれ予算”や、軍事ローンである『国庫負担行為』といった“かくし予算”も防衛費が肥大化・恒常化する原因」と批判し、米軍との領域横断作戦として宇宙・サイバー・電磁波分野にまで広がっていく大軍拡への対峙を呼びかけた。 
集会に参加した立憲民主党の本多平直衆院議員、共産党の赤嶺政賢衆院議員も予算案の問題点を指摘し、集会発言者からは政府の新型コロナウイルス対策の不手際に対する批判も集中した。 
 
空前の予算規模となった来年度防衛費。防衛予算が増大を続ける背景には、アメリカを中心とした海外からの「兵器爆買い」もあり、こうした動きに対する市民からの反発は根強い。 
来年度予算案の中には、射程500kmの長距離巡航ミサイル「JSM」の購入費が計上されているが、この憲法違反の疑いのある兵器購入に反対するため、市民団体「武器取引反対ネットワーク」は3月9日、同ミサイルの輸入代理店である伊藤忠アビエーションに対する抗議行動に取り組んだ。 
同ネットワーク代表の杉原浩司さんは、「新型コロナウイルス対策に対する予算措置も不十分な中、武器爆買いのために莫大な血税が使われようとしています。その武器の中身も、憲法に基づく専守防衛の理念を公然と踏みにじるもので許されることではありません。市民として粘り強く反対の声をあげていきたい」と訴える。 
(抗議行動の詳細については杉原さんのブログ参照) 
【報告】伊藤忠アビエーションは憲法違反の長距離巡航ミサイルJSMの輸入をやめろ!3.9本社前抗議 : 杉原こうじのブログ 
 
今後、「武器より暮らしを!市民ネット」の呼びかけ団体の1つである「大軍拡と基地強化にNO!アクション2019」も、3月15日に「大軍拡予算に反対する防衛費デモ&集会」を予定している。 
防衛省デモ:15:30〜16:30(15:00 外堀公園集合) 
集会:18:15開始(18:00開場)、会場・文京区民センター3C 


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