2020年09月04日21時47分掲載  無料記事
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文化

人類学者のデヴィッド・グレーバー氏が死去  「ウォール街を占拠せよ」のリーダーの一人

  人類学者のデヴィッド・グレーバー(David Graeber)氏が亡くなったという記事が出回っています。「ウォール街を占拠せよ」のリーダーの一人として知られています。享年59.日刊ベリタに哲学者の森元斎氏がアナキズムの必読書を10冊挙げてくれましたが、その中にグレーバー氏の『アナーキスト人類学のための断章』もありました。以下はガーディアンの追悼記事です。現代の重要な思想家だと紹介されています。 
https://www.theguardian.com/books/2020/sep/03/david-graeber-anthropologist-and-author-of-bullshit-jobs-dies-aged-59 
  そして、以下は森氏の寄稿の中から抜粋です。 
 
  「2.デヴィッド・グレーバー 『アナーキスト人類学のための断章』以文社 
 
  『負債論』で世界中で一世を風靡した人類学者のアナキズム入門書。グレーバーもそうであるように多くのアナキストがそうであるが、大文字のアナキズム(Anarchism)ではなく、小文字のアナキズム(anarchism)が存在する。これがアナキズムだ、なんて決定版はこの世にあり得ない。様々な断片があり、様々な素材を、アナキストたちは、自らの作風で作り上げていくのみである。その意味で、生のあり方と、民主主義のあり方と、アナキズムは等しい。」(森元斎氏の「アナキズム書籍10冊」から引用) 
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=202008281521015 
 
 
※英国のポール・メイソンによる追悼文 
https://novaramedia.com/2020/09/05/an-everyday-anarchist-david-graeber-1961-2020/ 
「In Debt: The First 5000 Years (2011), published with the world still reeling from the financial crisis, Graeber delivered a materialist deconstruction of debt as a social relationship. He showed that debt, and the coercive state apparatus needed to enforce it, “is the most effective way to take a relation of violent subordination and make the victims feel that it’s their fault”.」 
 
  負債論からアナキズムまで、メイソンの文を読むと、グレーバーの行動と思想の射程について、その輪郭がわかる。格差の象徴となった1%対99%という表現を2011年の「ウォール街を占拠せよ」で掲げたのもグレーバーだったと書かれている。そして、その起源には1999年にシアトルで行われたWTOへの反対運動があったようだ。 
 
 
※グレーバーのインタビュー 
https://www.thewhitereview.org/feature/interview-with-david-graeber/ 


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