2023年09月12日11時58分掲載  無料記事
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経済

米経済の<痛みなき>インフレ鎮静化  (日本は円安 1ドル=146円で物価高騰 経済政策は大丈夫?)

  ニューヨークタイムズで経済学者のポール・クルーグマンが失業率の高騰なき、インフレ鎮静化に米経済が成功したことを示し、その原因が何であったかについて論じています※。 
 
※NYT <How Goldilocks Came to the U.S. Economy> 
https://www.nytimes.com/2023/09/11/opinion/inflation-unemployment-phillips-recession.html 
 
  記事のタイトルになっているGoldilocksというのは、イギリスの童話「ゴルディロックスと3匹のくま」の主人公だそうですが(筆者は知りませんでした)、米経済で使われる場合は「インフレなき成長を維持する絶好調な景気」(英辞郎)だそうです。インフレと失業率は経済学の教科書では、トレードオフの関係があるとされます。これはフィリップス曲線というグラフで示されるもので、短期と長期で異なるとされますが、いずれにしてもインフレを鎮静化するには失業率が高まる傾向があることを示唆するものでした。 
 
  今、米国のインフレ率は確かに鎮静化し、以下の情報源TradingEconomics ※※によるとなんと今年7月には3.2%でした。ピーク時は9%に達していましたが、1年前から鎮静化し始めたのだとされます。FEDが段階を踏んで、金利を上げてきた効果が表れています。 
 
※※ 
https://tradingeconomics.com/united-states/inflation-cpi 
  その一方で、失業率はさして上がっていないのです。TradingEconomicsによると、今年8月現在で3.8%です。これは失業率としては大きなものではありません。たとえばリーマンショックの後では9%を超えていたものです。 
https://tradingeconomics.com/united-states/unemployment-rate 
 
  クルーグマンが述べているように、確かに失業率が高まらないまま(つまり景気に水を差すことなく)インフレ鎮静化に米経済は成功しつつあるようです。クルーグマンはこれに対して、2つの経済学的な説を紹介しています。ぜひこれは関心がある方はニューヨークタイムズを購読して読んでください。非常に興味深いものです。 
 
 
 
●日本の消費者物価指数は前年比3.3%上昇(総務省統計局) 
https://www.stat.go.jp/data/cpi/sokuhou/tsuki/index-z.html 
 
●日経「消費者物価、7月3.1%上昇 11カ月連続で3%超え」 
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA175E00X10C23A8000000/ 
 「生鮮食品を除く食料は9.2%上昇した。伸びは5月から3カ月連続で横ばいで、高止まりが続いている。鳥インフルエンザの影響などで鶏卵が36.2%上がった。原材料費や人件費の上昇で外食のハンバーガーは14.0%プラスだった」 


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