2006年03月22日23時17分掲載  無料記事
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検証・メディア

文春側代理人は姿見せず 浅野教授の「セクハラ」名誉毀損裁判口頭弁論始まる

  【京都22日=三木眞】「週刊文春」の事実無根の記事によって名誉を毀損されたとして、同志社大学の浅野健一教授が発行元の株式会社文藝春秋(東京都千代田区)に対して損害賠償などを求めた訴訟の第1回口頭弁論が22日、京都地裁(中村哲裁判長)で開かれた。 
 
 文春は昨年11月24日号で《「人権擁護派」浅野健一同志社大教授 「学内セクハラ」を被害者が告発!》との大見出しの記事を掲載。浅野氏は虚偽記事だとして、同社と文春の鈴木洋嗣編集長及び石垣篤志・名村さえ両記者の計4者に、1億1000万円(1000万円は弁護士費用)の損害賠償と、同誌に謝罪広告と新聞広告欄に謝罪文を掲載するよう求めている。 
 
 この日の口頭弁論では、原告側は浅野氏と若松芳也・堀和幸・小原健司各弁護士が出席したものの、文春側は代理人の喜田村洋一、林陽子、藤原家康の各弁護士が全員欠席した。 
 
 中村裁判長は被告代理人が欠席したため、被告側が事前に提出していた答弁書を読み上げたことにするという「陳述擬制」扱いとし、被告側に対し、次回の口頭弁論までに抗弁書を出すよう求めた。この後、第二回の口頭弁論を5月10日と決めただけで閉廷した。 
 
 答弁書(3月22日付)は、原告が文春記事によって損害を受けたことに対して「いずれも不知ないし争う」としている。また「記事には公共性・公益性がある」「記事の内容は真実。少なくとも真実と信じるについて相当の理由を有していた」と主張している。 
 
 原告代理人の3弁護士は支援者に対して、「今回出た被告側の答弁書はジャブ程度。4月末ごろまでに文春側の抗弁書が出るので、それに対する反論など本格的な論戦は第3回口頭弁論がある6、7月ごろからになるだろう。多くの方々からアドバイスをいただきたい」と述べた。 
 
 民事裁判の場合、第一回期日は裁判所と原告だけで決めるため、欠席は認められる。しかし浅野氏は、「私に関することが大学内の委員会で審理されている事実に『公共性、公益性』があると主張する大出版社の代理人3人が全く姿を見せないというのは極めて無責任だと思う。社会的責任を感じないのかと考える」と語った。 
 
 浅野氏の裁判を支援する市民、学生ら20数人が傍聴し、208号法廷はほぼ満席となった。鹿砦社社長の松岡利康氏=名誉毀損刑事事件で公判中=も傍聴に駆けつけ、日刊ベリタの取材に対して「奇しくも私と浅野教授両方が裁判闘争を抱えることになったが、表現の自由という点で、共闘していきたい。浅野教授には是非とも頑張っていただきたい」と語った。 
 
 ある同志社大学の学生は「浅野教授の潔白を信じている。精一杯応援したい」とコメントした。また、平和運動をしている市民は「メディアは政権政党より大きな権力を持っているとさえ思える状況で、報道の自由とは何のためにあるかを本訴訟で浮き彫りにしてほしいと願っている」と述べた。 
 
 被告側が出した答弁書によると、文春側の代理人は、東京千代田区にあるミネルバ法律事務所所属の喜田村、林両弁護士らであることが分かった。喜田村氏は自由人権協会系の“リベラル”な弁護士で、『報道被害者と報道の自由』(白水社、1999年)の著者として知られている。このほか、従軍慰安婦問題を取り上げたNHK・ETV特集番組をめぐってバウネットジャパンがNHKなどを訴えた裁判(東京高裁で審理中)で、NHK代理人を務めている。 
 
 またNHKが月刊「現代」(講談社)を訴えたジャカルタ特派員やらせ爆弾漁訴訟でもNHK代理人だったほか、浅野氏が最初に取り上げた文春のロス疑惑報道で報道被害を受けた三浦和義さんの刑事、民事の弁護人を弘中惇一郎弁護士らとともに務めていた。 


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