2007年03月18日09時48分掲載  無料記事
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日中・広報文化交流最前線

「日中文化スポーツ交流年」が開幕 井出敬二(在中国日本大使館広報文化センター長)

●多彩なイベント 
 
 2007年は日中国交樹立35周年ということで、「日中文化スポーツ交流年」と定められた。北京では3月12日からの1週間、「開幕週間」と銘打って様々なイベントが行われている。3月12日に日本大使主催による大使公邸での開幕レセプション、13日に日本大使館と中国対外文化集団公司共催でポップミュージック・コンサート「日中スーパーライブin北京」、15日から文化庁と中国ラジオ映画テレビ総局共催の日本映画祭、16日は日本の音楽グループRin'公演、18日、19日は日本の劇団による演劇「杉原千畝─命のビザ」公演などが行われている。 
 「日中文化スポーツ交流年」のロゴ、キャッチフレーズも決まり、3月12日に発表された。 
 
 温家宝総理は4月に訪日される予定だが、中国の文化関係者達は、このタイミングに合わせて日中文化交流を盛り上げようといろいろな計画を立てている。 
 文化交流には、盛り上がっていく良い潮時というものがあるようだ。 
 
●「文化交流」のタイミング 
 
 ここ数年、中国・フランス間、中国・ロシア間で大規模な文化交流が行われている。ミッテラン大統領、プーチン大統領が北京を訪問し、それぞれの開会式を盛り上げた。フランス、ロシアともに、文化行事には、国家資金の投入と共に多くの企業スポンサーが付いている。ロシア年では、ロシアの石油会社の宣伝も北京の町に多く掲げられた。 
 2007年は中韓両国でも交流年に指定されている。 
 中国側からは、07年秋に江蘇省南通市で、日本、中国、韓国の三カ国の芸術家(音楽家など)を集めた大規模文化交流イベントを開催したいとのアイデアも出されている。 
 
 北京で文化交流を行う時に、気を付けるべきタイミングがある。 
 一年の内で、北京の人たちが職場にいないために準備ができなかったり(2月の春節、10月の国慶節)、大型会議等でホテルに空き室がなくなったり、規制のために多数の人を集めにくい時がある(3月上旬の全国人民代表大会の開催期間)。また日中関係の歴史から「デリケート」とされる記念日がいくつかあり(7/7(盧溝橋事件)、9/18(柳条湖事件)、12/13(南京))、これらの日には文化行事を行いにくかったり、中国人の客を集めにくい状況もある。 
 
 筆者は2004年のいわゆる日中関係に「デリケート」な日に、どうしても日本から来た文化関係者の日程の関係で、文化行事のレセプションを開催せざるを得ないことがあったが、結局、その日が「デリケート」だからということで、レセプションに来なかった中国人もいた。大学で文化事業を開催する時には、勿論大学の試験や休みの日には、学生は参加できない。そう考えると、中国で文化交流をする良いタイミングというのは、一年の中でも結構限られてしまう。 
 
 更に文化事業を実施するためには、中国側当局から許可を得る必要がある。特に不特定多数の大勢の人間が集まるイベントは許可取り付けに時間がかかる。文化部、公安、消防局などが関係する。従って、文化行事を開催するにあたっては、許可取り付けの時間も十分に見込んでおかないといけない。 
 
●2008年北京五輪に向けて 
 
 北京でこれから文化交流をする場合、2008年のオリンピックを念頭に置いておく必要がある。既に05年から、様々な文化行事がオリンピックに向けてという位置づけでなされている。日本人で2008年までの間に北京で文化行事を行いたいと考えている人は、是非、北京五輪関係の文化行事の予定を確認し、その枠組の中で行うのか、否かを決めるべきである。もしその枠内で行うのであれば、中国政府、北京市からの便宜を受けることもできるかもしれない。(つづく) 
 
(本稿中の意見は、筆者の個人的意見であり、筆者の所属する組織の意見を代表するものではない。) 


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