2007年09月19日21時28分掲載  無料記事
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橋本勝21世紀風刺画日記

第65回:戦争のさらなる進化、民営化

 9・11の同時テロから6年が過ぎた。9月13日、ブッシュ米大統領は、米軍増派作戦は一定の成果を上げ、イラクの治安も好転してきたので米軍を削減すると言明した。だが削減といっても、増派前の数に戻すということにすぎない。ブッシュの任期中、イラク戦争は解決するどころか泥沼化するばかりであろう。この際、テロとの戦いを「世界の安全」「自由」「民主主義」などということではなく、「お金」という視点から問い直すべきだ。 
 
 戦争ほど儲かる商売はない。死の商人というとまず兵器産業が思い浮かぶように、確かに兵器は巨大な利益を生む。だが戦争は、その他の様々な分野にも莫大な利益をもたらす。米軍がフセイン政権をぶっつぶしたところから始まった復興事業とやらも、米国の企業が儲けるために行われたといっても過言ではない。その代表的なものが、チェイニー米副大統領と関係の深いハリバートン社だ。そしてイラク戦争の最大の要因といえるのが石油の利権だが、ブッシュ米大統領が石油企業との結びつきが強いことは言うまでもない。 
 
 さて、イラク戦争は新たな戦争ビジネスを活発化している。殺し合いという戦闘行為そのものの民営化である。正規の兵士だけでは手が回らない警備などの危険な仕事を、民間の会社にやらせるのである。彼ら民間の「兵士」に犠牲者が出ても、それは戦死者にはカウントされない。これは戦争を遂行するために少しでも犠牲者を少なく見せたい政府としても好都合である。危険な仕事だが、1日7万円から10万円、月収200万円にもなる高収入にひかれて、希望者はいっぱいいる。彼らには軍の規則は適用されないという問題もあるが、汚い仕事をさせるために、軍は黙認してもいるのだ。戦争をするための人材派遣会社の好景気は、当分続きそうである。(橋本勝) 


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