2007年10月25日12時26分掲載  無料記事
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検証・メディア

軍事機密と報道規制、市民監視 憂慮すべき新聞社の権力への弱腰 池田龍夫(元毎日記者)

  私は10月13日に、「平権懇」(平和に生きる権利の確立をめざす懇談会)で「軍事機密と報道規制、市民監視」と題する報告を行った。「テロ特措法」、自衛隊の市民情報収集、「防衛省機密漏洩事件」、イラクへの自衛隊派遣と報道協定をテーマにその問題点を分析するとともに、新聞がこれらの問題をどのように報じたのかを述べた。そのなかであらためて痛感したのは、政治問題化した報道規制がらみの問題があった時に、現在の新聞社がいかに弱いか、ということである。権力機構の報道機関に対する規制、攻撃がますます強くなってきている今、市民一人一人が問題意識を持って,権力の動向をウオッチして立ち向かっていかないと、大変なことになるのではないだろうか。私の報告は以下の通りである。 
 
▽テロ特措法とインド洋給油疑惑 
 
 直近のテーマ「テロ特別措置法」問題から話を進めましょう。 
 
 福田新政権になって特に問題点がクローズアップしてきており、その狢1弾瓩鯏蠅犬燭里、江田憲司・衆院議員。神奈川から出ている無所属議員で、橋本龍太郎・元首相の秘書官だった方です。田原総一朗氏が司会するテレビ朝日「朝まで生テレビ」という番組がありますが、その8月31日深夜から9月1日早朝にかけての番組に江田さんが出演。その席で、「こういうアメリカのホームページがある」と爆弾発言したのが、いま国会で問題になっている「間接給油」疑惑なんですね。 
 
 江田さんのブログから、さわりの部分を報告しておきます。 
「自衛艦による燃料補給は、インド洋の海上阻止行動、『不朽の自由作戦』(これはアフガン向け作戦)にとどまらず、イラク戦争、『イラク自由作戦』に従事する艦船にも、間接給油されているのではないかとの強い疑念を提起した」。 
 
 ブッシュ米大統領は2001年9月11日のテロ直後に、「皆さん、一緒になってテロと戦いましょう」と演説しました。憎っくきテロを追い詰めるために各国が兵を出して下さいと。それに乗っかったのが小泉純一郎首相でした。その時に「ショー・ザ・フラッグ」という言葉が流行りましたね。当時の柳井駐米大使が、日本は湾岸戦争できちんとやらなかったため非難を浴びたので、今回は早くショー・ザ・フラッグすべきだと言ってきました。ショー・ザ・フラッグのために何がいいかということで、打ち出されたのがインド洋における給油活動だったわけです。 
 
 トントン拍子に話が進んで、11月にはもうテロ特措法は成立しました。あっという間のスピードで、2年間の時限立法が成立しました。これは憲法違反であることは明らかでしたけれども、結局、多数の力で強引に成立させて、自衛隊艦艇がインド洋に行ったわけです。いま民主党の小沢代表が、「このことは国連決議に基づくものでもないし、アメリカの戦略に協力している、しかも自衛隊を海外派兵すること自体が憲法違反である」と言っていますが、この解釈は絶対正しいと思います。けれども、インド洋給油は既成事実になってしまった。それがズルズルと、6年間も続いているわけですね。 
 
 江田さんは、米軍のホームページから得た情報に基づいて指摘しています。米国の海軍中央司令部&第5艦隊のホームページにアクセスして得た情報なのです。私はすぐ毎日新聞防衛担当の辣腕記者に連絡してアドレスを聞き、このホームページにアクセスしてみました。ところが、江田さんの問題提起のあとアクセスできず、見られませんでした。それほどアメリカ側も、ああいう事実が出ることを恐れたと思います。このあわて振りを見ても、間接給油は事実としてあったと推測されます。 
 
 「日本が提供した燃料は、不朽の自由作戦開始以来、86,629,675ガロン、7600万ドル相当。換算すると33万キロリットル、80億円になる」ということを米軍のホームページで見て、江田さんが「朝まで生テレビ」で言ったので、衝撃が走ったわけです。 
 
 江田さんはそれがイラク戦争に使われたなどと短絡的なことは言っていないのですけれども、要するに油ですから、間接給油されたら、イラクに行こうがアフガンに行こうが選別できませよね。マネーと同じですね。ロンダリングされちゃえば分からない…。江田さんも言ってます、「イラク、アフガン渾然一体となった統計の数字ではないか」と。しかし渾然一体となっちゃ困るわけですね。 
 
 シーファーというアメリカ大使が小沢氏に会った時に「情報開示します」と言っており、江田さんも「機密情報を含めた情報開示をすると言明しているのだから、国会で徹底的に真実を解明していきたい」と言ってるんですね。さらに江田さんは質問主意書を出してるんです。それに対して政府は10月2日の閣議で、どう答弁するかを決定しました。そこでアメリカに給油した合計38万5000キロリットルのうち、洋上警備に当たっている米駆逐艦への直接給油より、米補給艦への間接給油がはるかに多い実態が明らかになってきたわけです。空母キティホークに関節給油され、イラク作戦に流用されているんじゃないかと。この指摘は当たっていると思うんです。 
 
 今まで新聞は多少小出しには書いていますけれども、実際の洋上給油はこういう状況であって、こんなに無駄遣いしているというはっきりしたデータを、読者に分かるように報道してないんですよね。私も多少イライラして、防衛庁ホームページを検索したり広報部に聞いて数字などを確認しました。 
 
 私がつい最近調べた数字を申し上げておきますと、2001年12月の給油開始時から今年の8月30日までに海自補給艦が提供した給油量の合計は48万4000キロリットル、これは防衛省の発表ですが、このうちの79・5%に当たる38万5000キロリットルが米艦船向け。ですから、フランスやイギリス、いろいろ艦船に補給していますが、アメリカの艦船が圧倒的に多いんです。6年間に日本が無料ガソリンスタンドで供給した合計金額は、現段階では220億円。そのうちの162億円分がアメリカの艦船に渡っているということになるわけです。だから、いかにアメリカが得しているか…。海上自衛隊の補給艦のところに行けば、タダで燃料がもらえるわけですからね。 
 
 国連の感謝決議が出ましたけれども、感謝するに決まってますよね。タダでもらえるのだから。油がなくなってもいちいち港まで行って給油してくる必要がないわけですから。とんでもない話ですが、あまり情報開示しないからよく分からなかった。ここにきて、わりにはっきり情報が出てきました。 
 
 さらにすごい話が出てきたのが、NPO法人ピース・デポの調査ですね、代表の梅林宏道さんが精力的に追跡した結果を暴露しました。米空母「キティホーク」の航海日誌をずっと分析した結果、大変なことがあるのを見つけて、この9月20日と10月4日に記者会見をして、発表したんです。新聞各紙はいちおう掲載していますが、詳細ではありません。ただし朝日新聞の10月4日朝刊オピニオン面をご覧になると、梅林さんの署名記事でかなり詳しく報道されています。それは、こういう疑惑です。大要を紹介しましょう。 
 
 「洋上給油がピーク時の頃、2003年2月15日に海自の給油艦『ときわ』が米国の給油艦『ペコス』という給油艦に80万ガロンの燃料を給油した。そのペコスがキティホークに直行して、その日に給油していたことが判明した」。 
 
 アメリカは情報をかなり開示しますから。航海日誌から解読したわけです。キティホークはインド洋からアラビア海、それからホルムズ海峡を通ってペルシャ湾に行った。そしてイラクの南方監視作戦(OSW)と、イラク自由作戦(OIF)に従事したとの分析に信憑性があります。 
 日本政府は当初、この時の提供量を20万ガロンとしていましたが、梅林さんが記者会見で指摘した翌日の9月21日に誤りを認めて、「実は80万ガロンでした」と訂正したんです。 
 
 これは梅林さんが言っていることですけれども、ペルシャ湾に入ったキティホークがアフガンの対テロ活動に従事したと主張するのは困難だろうと。要するにインド洋からなら艦載機がアフガンに行けるけれども、ペルシャ湾まで行くとイランを飛び越えないとアフガンに行けない。だからこれをアフガンの作戦だと言うことは、ちょっと無理なんじゃないのということですね。福田政権はこの点の疑問を晴らせないと、とてもじゃないよという指摘を梅林さんはされている。私も梅林さんと全く同意見です。はっきりしない以上は給油を継続できないことになるだろうと思いますね。 
 
 10月10日の予算委員会で菅直人議員が洋上給油問題で福田首相に鋭く迫りました。03年に「20万ガロン」と答えた時の官房長官は、なんと福田現首相だったのです。その時に野党もいいかげんだったと思いますけれども、政府がズサンな説明をしながら、テロ特措法の2年延長をやったんです。これもおかしい話です。ところが今回は、菅氏に食い下がられて、福田首相も「その発言を撤回します」と言った。撤回せざるを得ないですよね。 
 
 その後、石破防衛相が立って、こういうことを言ったんです。「間接給油された米空母が、ペルシャ湾で活動していたことは認める」と。けれども、「イラク戦への燃料転用はありません」と言うわけです。「転用がありました」と言えば福田内閣が吹っ飛んじゃうから、いくら追及したって「転用しました」とは認めないと思いますよ。 
 
 日本政府はそう言い逃れるにしても、それに符節を合したように米国の国防省が10日にワシントンで日本人記者会見をして、「キティホークに給油した燃料はアフガニスタンでの不朽の自由作戦で使用されたものだけなんでしょうか」という質問に対して、「イラク戦争に転用した事実はありません」と答えています。日米両政府が口裏を合わせたんじゃないかと私は思いますけど。 
 
 国連総会で感謝決議をして欲しいと、日本外務省が働きかけたものですから、国連は感謝決議を文言として入れました。しかし、「インド洋給油ありがとう」ということは書いてないそうです。「テロ撲滅に協力していただいてありがとう」というだけの感謝決議です。これを有り難がっている日本政府が滑稽に思えます。 
 
●新聞はどう書いたか 
 
 この問題について新聞は、いちおう報道はしていますが、追究の姿勢が足りないと感じます。洋上給油を中断すると、日米関係がおかしくなるんじゃないかという、一部の新聞論調が気がかりです。 
 
 こういう議論があるんですよ。6年間の給油費額はたかだか220億円、たいした金じゃないよと。日本人はアフガンに行って戦闘してない、イラクでも戦闘をしないんだから、これは保険をかけたようなものなんで、これで済めば結構な話じゃない、と。そういう議論がまかり通るわけです。これは金額の問題じゃなくて、ひいてはイラクの市民を虐殺するところに繋がっていく、加担しているという認識がないと、80兆円もある予算のなかで220億円くらい出してやったっていいじゃないということになる。 
 これは全くおかしな話なんです。日本としてはすでにアフガン復興に協力して、給油とは別に2000億円前後の金を注ぎ込んでいるんです。そういう状況を詳しく指摘せず、疑惑を精査する努力もしないで流されていく新聞報道は、やはりおかしいのではないかと私は心配しています。 
 
 そんな時、朝日新聞10月11日の社説がわりにきちんと書いてくれたのでホッとしました。この社説ではこういうことを言ってるんです。「空母の艦載機がペルシャ湾からアフガンまで飛ぶには、イラン上空は飛べないから、一度またホルムズ海峡を南下してインド洋から行かないといけない。それもおかしな話ですね」と。それから、「そもそも空母がイラクに向かってペルシャ湾を航行すること自体が、イラク作戦のための行動であり、テロ特措法の目的から外れているように見える」と指摘しています。 
明らかにそうですね。朝日は続けて「給油を受けた米艦の6割が補給艦である」と。それがキティホークに給油されたかどうか、給油活動の全容のデータが開示されなければ判断のしようがありませんと書いてるんです。これは正しいと思うんです。 
 
▽自衛隊が市民情報収集 
 
 次は、自衛隊の市民運動監視の策動です。6月7日付「しんぶん赤旗」に掲載された大きな記事のコピーをお回しします。ご覧になっている方もいると思いますけれども、これはすごい資料です。自衛隊の情報保全隊が反戦・平和活動などをしている市民の情報収集をして、チェックリストを作っていました。「赤旗」を毛嫌いする人がいるかも知れませんけれども、問題を重視してこれだけの報道をしたことはすごいと思います。 
 
 私は、これほど悪どい情報収集を自衛隊がやってるとは知りませんでした。政治家はもちろん誰も知らないでしょう。当時の防衛庁長官は久間氏でしたが、彼も知らなかったんです。これは内部告発にちがいなく、共産党が入手した大特ダネですね。6月6日に志位委員長が記者会見してこの資料を示しました。 
 
 自衛隊に昔は調査隊があって、情報保全隊というのはそれに代わって、2003年3月27日に発足しているんです。イラク攻撃の直前で、まだ自衛隊はイラクに派遣されていませんでしたが、派遣反対運動がかなり盛り上がって来ている時期なんですね。 
 
 「週刊金曜日」の報道によりますと、情報保全隊は、市民監視が任務ではないと条文に書いてあるんですね。「陸上幕僚監部、陸上幕僚長の監督を受ける部隊及び機関並びに別に定めるところにより支援する施設等機関等の情報保全業務のために必要な資料及び情報の収集整理及び配布を行うことを任務とする」と、「情報保全隊に関する訓令第7号」に明確に記載されているそうです。ですから市民監視活動は憲法21条を侵すもので、とんでもない話ですよ。密かに約900人の保全隊員が監視しているわけですから。全国くまなく、イラク派遣を考える市民の集会などに私服で潜り込んで、カメラで撮りまくって情報を収集している、ということなんです。 
 
 「赤旗」に掲載されているは、2003年の12月から04年3月までに情報保全隊が作成した資料だけです。それでも原資料A4版166ページの克明な資料なんですね。一つは陸自の北部方面情報保全隊が担当したもので、北海道方面の情報収集を懸命にやったみたいです。陸自情報保全隊本部が作成した全国規模のものが二つ目で、二部構成になっています。 
 
 二つ目には「イラク自衛隊派遣に対する国内勢力反対の動向」という題名がついて、41都道府県289の団体・個人がリストアップされています。例えば前回ここで講演された高野孟さん、あの人の名前も載っているんです。それから「幸せの黄色いハンカチ」の映画監督、山田洋次監督の名前もリストアップされています。市民がイラク派遣反対で「黄色いハンカチ」運動を北海道でやったからですね。ですから、皆さんだってリストアップされているかも知れませんよ。こんな人までという人がリストアップされている。朝日新聞の労働組合も入っています。だから戦前の憲兵がしたようなことをやっていると、極言すればそういうことでしょうね。非常に危険な状況だと思います。 
 
 「週刊金曜日」が、マークされている個人や団体名の表をかなり詳しく掲載、註釈まで付けているんです。資料を配布しましたが、Pと書いてあるのが共産党。Sが社民党、GLが民主党とか…。市民運動はCVとか。そういう色分けをして調査しているんですよね。 
 
 防衛省の前事務次官・守屋氏は「こんなの日常的にやっていることで、たいしたことじゃない」と弁明、久間氏も「その時の資料は3週間で廃棄しました」とトボケています。900人も使って全国くまなく調べたデータを3週間で廃棄するなんて考えられないですね。とんでもないことを言うなと思います。 
 
●新聞の姿勢は 
 
 共産党の記者発表にはたくさん記者が押しかけ、志井委員長の説明を聞いているのに、一般紙の扱い方に問題意識の欠如を感じました。報道規制や市民監視などの怖さへの感覚が不足しているのではないでしょうか。イラクに派遣される自衛隊員が心配するから反対運動を煽るな、という感じで捉える向きがあるけど、これはまったく間違ったことですね。そういうマインドが、新聞総体としてあるのではないかと心配しています。 
 
 敢えて言いますと、私は当然1面に掲載していい問題だと思います。こういう市民監視を自衛隊がやっているという事実報道をすべきです。解釈は必要ないと思うんです。1面4段に扱ったのは朝日と東京。毎日は1面どころか対社面(第二社会面)扱い。いちおう4段扱いだからまあまあ許せるかな…。憲法改正でもテロ特措法問題でも、いま大手新聞は、朝・毎・東京vs讀賣・産経・日経という対立の構図になって、紙面扱いの差が歴然としてきましたね。 
 
 朝日新聞がその日に、「自衛隊は国民を監視するのか」という大きな見出しを立てた一本社説を書いていました。自衛隊けしからんという文章ですよ。これは、新聞の姿勢としては立派だと思います。その他の新聞は、論説に取り上げていませんでした。 
 
 また東京新聞は当日社会面にいろいろ書いていますが、「自衛隊の情報漏洩を調べる情報保全隊の発足は、2003年3月。自衛隊のイラク派遣をめぐり、防衛庁が現地取材の自粛を報道機関に求め、問題化したのは04年1月のこと。自衛隊は国民を見張る一方で、国民の目からは自らの実相を遠ざけようとの力学が、働き始めたのは間違いない」との指摘は鋭い。サマワ派遣は04年になってからですが、そのとき新聞は報道協定を結ばされて、サマワの宿営地に潜り込んだまま。取材らしき取材をほとんどしないまま、危険を理由の退去要請に応じて帰国してしまったのです。東京新聞が、反省をこめて踏み込んで書いた点を評価したいと思います。 
 
 これと直接関連ないことですが、市民監視の現状を実証する動きに触れておきます。私も多少コミットしている「マスコミ9条の会」が昨年暮に交流集会を開いた時の話です。小森陽一さん(『9条の会』事務局長、東大教授)と坂本修さん(弁護士で自由法曹団の前団長)との憲法討論会に、澤地久枝さんがゲストスピーカーとしてが来られました。「9条の会」の講演行脚で大宮市に行った時のことにつき冒頭で語ったことです。こういう話なのです。 
 大宮駅を降りて会場に行く道に、黒い服を着た人がウロウロしてたいという。不審に思って会場に入り、大江健三郎さんに聞いたら、「それは、公安警察が見張ってるんだと聞いてびっくりしました」という話です。自衛隊の情報保全隊がやっていることと同じで、市民は常時警察や自衛隊に監視されているようです。監視社会になってきており、ますます隠微になってきたのが現在ではないでしょうか。全く恐ろしい社会になってきたと、私は感じています。 
 
▽讀賣新聞の「機密漏洩」事件 
 
 もう一つ、これは讀賣新聞の特ダネの話です。何でこんなに大騒ぎになるのと、摩訶不思議な事件なんです。 
 2005年5月31日讀賣朝刊のスクープですから、今から2年前の話です。1面2番手の扱いで、「中国潜水艦火災か/南シナ海 海南島向け曳航/日米が監視」という、かなりおどろおどろしい見出しです。内容を読むと、あの海域に中国の潜水艦が潜っていることは分かっていることですけれども、それが海中で火災を起こしたということ。それを米国の衛星が探査して分かった。 
 
 それが日米の軍事秘密協定によって防衛庁の知るところとなり、極秘情報だったのでしょうが、防衛庁の1等空佐に食い込んでいた讀賣の政治部記者が情報を入手して、それを書いたのがこの特ダネなんです。古い話ですけれども、それが今年の2月になって機密漏洩事件としてにわかにクローズアップされてきました。 
 
 「防衛機密漏洩だ」と防衛庁がリークした先が産経新聞でした。最近の政府は、朝・毎・東京など、政府に批判的新聞社と距離を置いていますから、産経にリークすることが多くなってきたと言われています。それで産経が2月16日の1面トップでワーッとやったんですね、もちろん他紙も追いかけました。「機密漏洩」といっても、直接被害は何も出ていなかったわけですが…。私は『新聞通信調査会報』4月号に書きましたけど、防衛省は米側から相当怒られたというか、こういうものが簡単に漏れるようでは困るじゃないか、ということですよ。それを針小棒大にしてマスコミにリークして、大騒ぎのタネをまいたと思われ、讀賣新聞も按配が悪くなってしまいました。 
 この程度の記事で何だと開き直るべきだったと思いますが、讀賣は大あわてで、変な弁明をして幕を引いたんですよ。私は「日米同盟絡みの情報管理強化に真の狙いがあった」と書きましたけどね。 
 
 後日談ですが、特ダネを書いた記者がどうなっているか気になって調べたところ、政治部の敏腕記者で書き手だったそうです。しかし、この騒動で讀賣はこの記者を守りきれないで、支局に猗瑤个靴伸瓩畔垢い討い泙后 
 
 これは余談ですが、朝日新聞でもNHKとのトラブルありましたね、従軍慰安婦問題・民衆法廷放映をめぐるNHKとの争い。私は朝日側に理があると思っていますが、権力側のある種の圧力があったのか、社会部の特ダネ記者が干されちゃったんですね。夕張支局駐在になったと聞き、朝日ОBの仲介で8月に現地へ行って会ってきました。本人は全然気にしていない様子で、たくましく仕事をしている姿を見て頼もしく感じました。 
 
 政治問題化した報道規制がらみの問題があった時に、現在の新聞社がいかに弱いか、私はつくづく思いましたね。沖縄返還をめぐる「西山事件」に関心を持って追跡している一人ですが、この事件も追えば追うほどナゾが深まっています。権力機構の報道機関に対する規制、攻撃がますます強くなってきている世の中です。市民一人一人が問題意識を持って,権力の動向をウオッチして立ち向かっていかないと、大変なことになります。良識ある皆さんとの連帯を信じて進みましょう。ご清聴ありがとう御座いました。 
 
*本稿は「へいけんこんブログ」からの転載です。 


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