2008年03月17日16時58分掲載  無料記事
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橋本勝21世紀風刺画日記

第91回:中国は戒厳令下で五輪するつもりか

 8月8日からはじまる北京五輪。だがその開催に、何やら赤信号とまではいかないが、黄信号がともろうとしている。マラソンの世界記録をもつエチオピアの選手が、大気汚染を理由に、出場を辞退したり、大会セレモニーの芸術顧問をするはずだったスピルバーグが、ダルフール紛争への中国の姿勢を批判してやめたり、また中国食品への危惧、中国国内の人権状況への国際的な厳しい目と、難題山積みである。 
 
 さらにここにきて、憂慮すべき事態が起きている。中国のチベット自治区のラサで、僧侶や住民の抗議デモが起こり、これを政府側が武力弾圧、多くの死傷者がでているらしい。長年中国により占領され、宗教、文化が抑圧され苦しい生活を強いられたことへの、不満や怒りが噴出。そして五輪という世界的に注目を集めるときにあわせてのアッピール行動といえる。それに中国が、チベットの人にとっての聖地であるヒマラヤ山脈の世界最高峰のチョモランマ(エベレスト)を、聖火リレーのコースにしようとしたことへの反発も、ひとつの動機になっているといわれている。 
 
 中国政府は、インド亡命中のダライ・ラマ一派の扇動によるものという見方をしているが、ダライ・ラマ14世はあくまでも非暴力での行動をよびかけている。もしも中国がさらに強硬な弾圧を実施し、犠牲者の数が増えるなら、北京五輪をボイコットしようとする国際的動きが出るかもしれない。そして平和の祭典のはずなのに戦車が走り回る中での、戒厳令下の五輪開催なんていう悪夢が現実化するかもしれない。(橋本勝) 


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