2008年05月17日13時21分掲載  無料記事
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戦争を知らない世代へ

戦中・戦後の粉骨砕身への報いが「後期高齢者」とは… 中谷孝(元日本軍特務機関員)

  私事であるが1920年生まれの私は88歳の米寿である。戦場を生き延び今日があることは、確かにめでたいことではあるが、後期高齢者と呼ばれ国家からその存在があまり喜ばれていない実情を見ると、寂しくもあり腹も立つ。戦中・戦後の青春時代にお国の為に粉骨砕身してきたはずの私たちは、いまや政府にとって無駄飯食いの厄介者に見えるらしい。 
 
 高齢者は60余年前、戦争で廃墟になった日本の復興の基礎を築き、健康保険料も納め続けてきた。その間、朝鮮戦争などの幸運もあったが、嘗て戦場でひたむきに戦った戦士は、平和国家建設に懸命に働いた。 
 
 数年後、国連加盟も認められ国際社会に復帰した日本の姿には世界中が驚嘆した。 
 
 戦後日本の基礎を築いたその人たち、即ち今の老人の存在が、健康保険を食い潰す目障りな存在だと云って保険料の高額徴収をはかる政治家たちは、地獄に堕ちるべきである。 
 
 健康に自信のあった私であるが、昨年から定期的に医者通をして数種類の薬を飲むようになった。今後何年間かは、健康保険を食い潰しながら生きることになるだろう。然し戦後60年間納め続けた保険料も大きな額である。今更老人に、もっと保険料を負担させる云う発想には断固抗議する。健保の財源不足の額は、他の国家予算の無駄を省くことで充分賄える額にすぎがない。 


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