2008年10月07日09時57分掲載  無料記事
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喜多幡佳秀のアジア&世界

農場労働者がファーストフード・チェーンとの争議に勝利

  自由貿易の波に乗って世界を席巻するアメリカ農業は、メキシコを始めとする移民労働者の過酷な労働に支えられている。その移民労働者とこれまた安さと簡便さで世界を席巻するアメリカジャンクフード業界とのたたかいが、激しさを増している。以下はその一端――。 
 
 
  フロリダ州イモカリーのイモ力リー労働者連合(CIW)は、バーガーキングとの争議に勝利した。5月末に、バーガーキングはCTIWのすべての要求を受け入れた。 
 
  CIWによると、バーガーキングとの合意により、バケツー杯(14・5㎏)のトマトの収穫に対する賃金が45セントから77セントに引き上げられる。現行賃金では、最低賃金を稼ぐために1日2・5トンのトマトを収穫しなければならない。 
 
  CIWは05年に、タコベルに対する4年間にわたる闘争の末に、賃上げとCOC(企業行動基準)の実施等の要求を勝ち取った。また、今年4月にはマクドナルドに対する1年にわたるキャンペーンの結果、賃上げ等を勝ち取った。今回は3年間で3回目の勝利である。 
 
  しかし、その後、バーガーキングの仕入先の農園主の抵抗によって、合意の実施は遅延されている。 
 
  この州のトマト農園主の大半が参加しているフロリダ州トマト栽培者交流会(FTGE)は、CIWとファーストフード・チェーンの間の合意を受け入れることを拒否し、FTGEの決定に違反した会員には罰金を諜すことを決定した。しかし、FTGEのレギー・ブラウン副会長は、批判の高まりや納入先(ファーストフード・チェーン)からの圧力のために、罰金の導入を見合わせると言明した。 
 
  この闘争の中で、CIWは地域から広範な支持を得た。学生たちがレストランで抗議行動を行い、宗教関係者が会社に手紙を送った。株主に向けた働きかけも行われた。メディア対策や上院議員に対する働きかけも成果があった。(レイバーノーツ)ウェブ版7月号より) 
 
<参考> 
イモカリー労働者連合:米国でフロリダ州のトマト農場などで働くメキシコやグアテマラ移民ら2500人超で組織する。 
 
バーガーキングとは:バーガーキングコーポレーション。アメリカ全州と65カ国に11,100店舗以上を構える世界で2番目のファーストフードハンバーガー。2006年には、ニューヨーク証券取引所に上場した。 
 
タコベル: カリフォルニア州アーバイン市に本社を置く。アメリカ合衆国の大手ファーストフードチェーン。メキシコ料理を主体とする食品を提供。アメリカ本土で6500を超えるフランチャイズ店舗を経営、中南米、アジア、ヨーロッパでも店舗を展開する。 


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