2008年10月24日11時45分掲載  無料記事
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労働問題

京品ホテル自主営業中! 「みんなきて飲んで食べて泊まって」、支援労組がブログで呼びかけ

  黒字経営なのに経営者の都合で従業員全員が解雇通告された東京・品川の京品ホテルで、労働組合による自主運営がはじまって今日で4日目、支援労組による「京浜ホテル自主営業中!」のブログも動き出し、1Fの居酒屋は満席、社民党の福島みずほ党首も支援に駆けつけ、折から居合わせたお客さんにお礼を述べる一幕もあった。こうして解雇撤回闘争は着実に広がっている一方、経営者側は、正面玄関に「営業停止したので立ち入ったら住居侵入で警察に通報します」という「警告書」を張り出すなどの嫌がらせを続けている。(ベリタ編集部) 
 
  「自主営業中」のブログは以下で見ることができる。 
  http://keihinhotel.blog49.fc2.com/ 
 
  最新記事は、「自主運営居酒屋「いの字」に自腹で突撃してみました (10/24)」。おいしそうな料理を写真で紹介して、次のように締めくくっている。 
 
ー途中からカウンター含めて完全満席になる繁盛振り。「いの字」には、このホテルの宿泊客だけでなく、近隣の住民や会社帰り、他のホテルの宿泊客などから幅広く愛されてきたそうです。それも当然のお味とリーズナブルな価格を今回しっかりと堪能できましたが、「廃業」と会社側が「公言」しているお店に来てくださるお客さん、そういうお客さんに安心安全の空間と食を自主営業で断固提供し切っている従業員のみなさん、そういう諸々も含めて味わわせていただいた夜でした。ありがとう、そしてともに闘うぞ♪ (いずみ) 
 
  以下、労働組合側が「裁判所およびリーマン子会社(民事再生中)監督弁護士に提出した要望書」を紹介する。この京品ホテル経営者側のホテル廃業。従業員解雇がでたらめからよくわかる。 
 
 
要望書 
 
2008年10月21日 
東京地方裁判所民事第20部 御中 
監督委員 弁護士 多比羅 誠 殿 
 
全国コミュニティユニオン連合会 
会長 鴨 桃代 
労働組合東京ユニオン 
執行委員長 渡辺 秀雄 
東京ユニオン京品支部 
支部長 金本 正道 
 
 
  私たちは、サンライズファイナンス株式会社が京品実業株式会社に対して保有している債権の回収について、下記の通り要望いたします。 
             記 
 
  1、関係者の概要 
  労働組合東京ユニオン(以下、組合という)は、東京を中心に中小零細企業・サービス業で働く労働者で組織する個人加盟の合同労働組合である。 
  組合の結成は1979年8月で、現在約900名の組合員が加入している。 
  正社員だけではなく契約社員・パートタイム労働者・派遣労働者など非正規労働者の労働問題に幅広く取り組んでいる労働組合である。 
  全国コミュニティユニオン連合会(以下、全国ユニオンという)は、2002年11月に結成された東京ユニオンの上部団体である。 
 東京ユニオン京品支部(以下、支部という)は、京品ホテル従業員および京品ホテル内で営業する京品実業が経営する飲食店と、株式会社京品グリルがテナントとして営業しているレストランの従業員によって2008年5月1日に結成された東京ユニオンの下級機関である。組合員は、約70名である。 
 
  京品実業株式会社は、品川駅高輪口駅前でホテル業及びホテル内で飲食店を営業している資本金1000万円の株式会社であり、従業員数は正社員・パートタイマー合わせて約120名である。代表取締役は小林誠氏である。 
 
  サンライズファイナンス株式会社(以下、債権者という)は、事業者向け貸金業を主な事業内容とし、リーマンブラザーズ系の法人としてみられている資本金5億円、代表取締役はトーマスピアソン氏で、京品実業の唯一の債権者である。 
 
  株式会社LCホテルズ(以下、買い主という)は、2008年2月に設立された資本金100万円のいわゆるペーパーカンパニーであり、代表取締役は鈴木総一氏である。 
 
  2、組合結成と労使紛争の経過 
  2008年5月1日、組合は、京品実業に対し支部結成を通告し、5月8日に第1回団体交渉が開始された。 
 
  会社は、2008年10月20日をもって事業を廃業する。昨日廃業と売却を決定したので、今ここで話すことにした。営業譲渡ではなく、会社を解散して此処をがらんどう状態にして売却する、書い手は決まっているが相手方との守秘義務があるので言えない。従業員は全員解雇となる。廃業して全社員解雇することが相手方との約束だ。従業員達の雇用については、とりあえず10月20日までは雇用する。その間に次の就職先を検討しなければならないだろう。と述べた。 
 
  2008年5月14日の第2回団体交渉においても、廃業、従業員の全員解雇は変わらない。12月末に京品実業は解散する。テナントで入っている京品グリル、ワカバ産業も12月末に解散ことになる。と述べた。 
 
  2008年6月4日の第3回団体交渉においては、テナントで入っている京品グリルとワカバ産業とは賃貸借契約を締結しているが、両社の店舗廃業は別の会社になっているので知らない。 
 昨年の12月決算では、売り上げは10億円、営業利益は7〜8千万円あったがサンライズファイナンスに全額利息として支払ったので経常利益はゼロ、累積債務は元本50億円、利息は10億円の合計60億円だと説明した。 
 
  2008年6月17日の第4回団体交渉においては、廃業に至った経緯については具体的な説明をしない。組合から要求のある5年分を賃借対照表、損益計算書などの決算資料を提示して説明することはしない。と述べた。 
 
  2008 年7月15日の第5回団体交渉において、会社は、債権は全てサンライズファイナンスに一本化されている。京品実業とワカバ産業の賃貸借契約は10月20日で終了する。小林社長以外の地権者にも1千万円から2千万円のはんこ代等が入る。立ち退き料はない。会社と小林管理は12月に清算する。会社は、地権者を含めてサンライズファイナンスが売却する手続きに同意しているが、売却先、売却額も知らない。売却についてはサンライズファイナンスに委ね、小林社長には権限はない。地権者8名と京品実業及び債権者で協議して10月20日の従業員全員解雇を決定した。と述べた。 
 
  以上のような、説明の経過を、組合は、説明が極めて不十分納得できるものではないとして、10月20日の廃業、全員解雇は認められないので撤回を求め、権限のある債権者や地権者に対し交渉を申し入れることを通告した。 
  会社は、組合がおやりになることを止めることはできないので、どうぞ、おやりください。と述べた。 
 
  組合は、会社が10月20日で、京品ホテルを廃業し、従業員全員解雇を地権者全員、会社、債権者と協議して決定し、売却についてはサンライズファイナンスに委ね、社長には変更する権限もない、と説明したことから、唯一の債権者であるサンライズファイナンスが従業員の全員解雇に深く関与し、むしろ、この決定を主導的に進めたものであるとして2008年7月24日団体交渉を申し入れた。 
  サンライズファイナンスは、京品実業の労働問題に関与する立場にないので組合の団体交渉の申し入れその他の要請に対応する理由はなくその意思もない。と団体交渉の申し入れを拒否した。 
  組合は、2008年8月22日にも、再度の団体交渉申し入れを行ったが、サンライズファイナンスは、同趣旨の理由で再び団体交渉申し入れを拒否した。 
  組合は、9月5日、団体交渉開催を求め要請に出向く旨通知したが、サンライズファイナンスは、それに対し抗議するとの書面を送付してきた。 
 
  3、東京都労働委員会への不当労働行為救済申立 
  組合は、京品実業の廃業と組合員全員解雇と、サンライズファイナンスの団交拒否が労働組合法第7条の不当労働行為にあたるとして、2008年9月12日東京労働委員会に対し不当労働行為救済申し立てを行った。 
  また、会社や債権者に対して抗議行動を展開している。 
 
  4、売買契約の不当性 
  サンライズファイナンスは、京品実業小林誠代表取締役一族が所有する土地及び京品実業が所有する京品ホテルの建物について、2006年10月から2007 年7月にかけて次々と債権の譲渡を受け、2007年7月には全ての債権の譲渡を受けた唯一の債権となった。これによりサンライズファイナンスは、ホテルの廃業、従業員の全員解雇、土地・建物の売却など重大な経営h脳新の決定に大きな影響力を行使できる実質的な使用者となった。 
  したがって、組合が京品実業に対し10月20日の京品ホテルの廃業、従業員の全員解雇撤回を求めたのに対しても、この決定は、債権者と京品実業と8名の地権者の間で合意されたことで、変更することはできない。売買契約の詳細については相手方との守秘義務があるので説明できない、と言い続けている。 
  また、株式会社LCホテルズは、今年2月に設立されたばかりの資本金わずか100万円のなんら営業実績もないペーパーカンパニーであって、推定50億円ともいわれる買収資金調達についても大きな疑問を持たざるを得ない。 
  京品実業とLCホテルズとの間で締結されたホテルの廃業、会社解散、従業員全員解雇を条件とする売買契約は、現にそこで働き生活を営んでいる労働者に重大な不利益を与える売買契約であり、この契約は債権者サンライズファイナンスの債権回収とそれによってサンライズファイナンスが得る巨額の利益を最優先に考えた反社会的な売買契約である。 
 
  5、債権回収についての要望 
  京品実業は、昨年度決算、一昨年度決算でいずれも営業利益を計上しており、債務の整理の方法によtっては充分経営を続けてゆけると考えられる。 
  また、京品実業には120名の従業員が働いており、皆ホテルや直営の飲食店で働き生計を立てている。 
  この売買契約が履行されることにより、債権者、売り主、買い主には多大な利益がもたらされる一方、何の考慮もされていない利害関係人である従業員は、多大な不利益を被るのである。 
 
  私達は、このような、労働者の犠牲の上で成り立つ売買契約を容認できない。 
  私達は、労働者の働く権利と生存権を脅かす債権回収は中止すべきであると考える。 
  サンライズファイナンスは、労働者の権利を守り京品実業の経営再建のため、全ての債権を放棄すべきであると考える。 
 
以上 


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