2008年12月29日16時14分掲載  無料記事
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イスラエル/パレスチナ

国際協力NGO・JVCが伝えるガザのようす 「泣き叫ぶ人々、乗用車で怪我人を運ぶ人々、血にまみれた路上、レポートをしながらも僕の手は震えている」

  パレスチナで医療や子どもの栄養改善をターゲットに活動する国際協力NGO・日本国際ボランティアセンター(以下JVC)に現地から入った情報によると、ガザでは医療関係者はフルの活動しているが、医薬品も医師も徹底的に不足、死傷者は増える一方の状況にある。救急車の燃料も足りない。政府の病院では亡くなった人々をお墓に運ぶまで冷蔵庫に入れているが、そのキャパが足りず、多くの遺体が外に並んでいる。以下、JVCパレスチナボランティアチームの活動日記「パレボラブログ」からの転載。(ベリタ編集部:大野和興) 
http://palevdiary.blog36.fc2.com/ 
 
《アブ・クーサ氏(ガザ) 28日15:00頃 携帯電話にて》 
 
  攻撃は今も続いており、戦闘機の音が絶え間なく続いている。 
現在ガザのPMRS(JVCとともに活動しているパレスチナのNGO「パレスチナ医療救援協会」)の全てのクリニックは、24時間体制で働いている。全ての医師、スタッフを動員し、空爆の被害を受けた人も含めて通常の3倍もの患者を受け入れている。 
 
  政府の病院は医薬品また医師も不足しており、どんどん患者が運び込まれてくる。PMRSのクリニックでも、かねての封鎖により医薬品が入ってこないため100種類以上の医薬品が不足している。医薬品の搬入は相変わらず厳しい。また、ボランティアも全て動員して通りに出て人の救護にあたっているが、救急車の燃料が足りないことも不安の1つ。 
 
  政府の病院では亡くなった人々をお墓に運ぶまで冷蔵庫に入れているが、そのキャパが足りず、多くの遺体が外に並んでいる。 
 
 
12月27日 ガザ空爆 
2008/12/28 16:56| 現地より 
 
《イテダル(ガザ)28日8時頃 携帯電話で》 
 
  家族、友人、AEI(Ard El Insan=人間の大地。栄養失調の子供のケアを行うローカルNGO)のスタッフ、皆とりあえずは無事。 
AEI の栄養センター(JVCは栄養失調児に対して治療のための栄養食配布の支援をしている)は、ガザ、ハンユニスともに今日から閉まっている。食べ物が底をついているガザで、栄養失調のケアが必要な子どもたちは増えている一方、一日も早くセンターを再開したいけれども、両センターともに電気がない。 
 
  昨日は空爆が始まってすぐに、その時センターにいた母親と子どもたちを帰した。AEIのセンターに人々が押し寄せているということは現在ないようだが、治療に通っている子どもたちの中に犠牲になった子がいたかどうかもわからず、スタッフも皆心配している。 
 
  今も戦闘機が飛んでいる音がして、ガザの人たちは恐怖で一睡も出来ない夜を過ごした。昨日の空爆は急襲だったけれども、人々は3日前くらいにマーケットから全てのものが消えて、本格的に、何か恐ろしいことが始まるという予感はしていた。 
 
  シュファ病院の近くのモスクが完全に破壊され、シュファ病院も被害を受けたと聞いているけれども、医療品など全てが不足する中、人々の手当てに追われている。路上で倒れる人々、空爆が続く中もその人々を助けようとする人々で、路上は騒然としていた。 
この状況の私たち、子どもたちを救えるのは神だけだ。 
 
《モナ(ガザ)27日18:00頃 携帯電話で》 
 
  全く急な出来事で、何が起こったかわからなかった。オフィス(彼女は国際NGOで働いている)はクリスマス、年末休みに入っていて、空爆が始まった時は友人を訪問していた。家族、友人ともに無事。家には電気がなく寒いが、いつまた空爆があるかわからない。以前妹の家の近くで爆撃があった時に、爆風で窓が全て割れたことがあった。またそれが起こるかもしれないので、窓を全開にしている。 
 
  今もガザ市内で煙が上がっているのが見える。また、煙の匂いもする。家にいてラジオを聞き続けることしかできないけれども、じっとしていても安全ではない。娘は既に寝てしまった。電気も来ておらず戦闘機の音を聞いて怯えることしかできない。なんとか気丈にとは思っているけれども、ガザの人たちがどれだけ持ちこたえられるか。明日どうなるかと考えると眠ることができない。 
 
  (西岸、東エルサレムでもストライキやデモなどの動きがあると伝えると)いつも私たちガザの人々は孤立させられているから、人々が私たちと思いを共にしていると聞いて、少し心強く感じる。 
 
《イブラヒム(ガザ)27日18:30頃 携帯電話に通じたが、ランドラインに切り替え》 
 
  家の周辺は大きな今のところ大きな被害は受けておらず家族も無事だが、学校の子どもたちの下校時間と重なったので、多くの子どもたちが犠牲になったのではないか。皆が恐怖におびえている、ただただ、安全に過ごすこと、自分の子どもを守るために何ができるかしか考えられないが、ガザのどこも、もはや安全ではない。 
(電話中、向かいの家に電気がついたのを見て、家族の人を走らせましたが、ジェネレーターを動かしていたとのこと。落胆した様子で電話口に戻ってきました) 
 
  ここ3日間、家には電気が全く来ていない。病院は医療品と電力の不足に加えて次々と運び込まれる負傷者で溢れている。 
 
《ユセフ(ガザ)27日21:00頃 携帯電話で。メディアで働く彼は、ここ数日徹夜で仕事中》 
 
  疲れた。こんな悪夢は今まで目にしたことがない。ガザの人々は怒りというよりも、まだショックの状態にある。イスラエルが攻撃の準備をしていると皆が聞いていて、近いうちに攻撃があるだろうと予想はしていたが、ここまで大規模になるとは誰も思っていなかった。 
 
  泣き叫ぶ人々、乗用車で怪我人を運ぶ人々、血にまみれた路上、レポートをしながらも僕の手は震えている。今も10機の戦闘機が頭上を飛んでいる音がする。ガザの封鎖による貧困と飢餓で、人々はすでに憔悴しきっていた。この空爆でどれだけ人々が精神的にダメージを受けたか、犠牲者や負傷者の数では計り知れない。イスラエルの狂気を誰が止められるのか。無力なガザの人々のために、祈ってほしい。 
 
 
  西岸各地では昨日からラマッラー、ヘブロン、ベツレヘムなどを中心にデモやストライキが行われ、今日も各地でデモが予定されています。また、東エルサレム周辺でも、衝突が起きているようです。西岸、東エルサレムでも混乱が飛び火する可能性もあります。 
こちらの様子も追ってお届けしたいと思います。 


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