2009年01月15日20時39分掲載  無料記事
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労働問題

東京地裁、自主営業従業員に立ち退きを命じる仮処分 緊迫する京品ホテル周辺

  東京地裁は15日、京品ホテルで自主営業している従業員に対し、立ち退きを命じる仮処分を決定した。京品ホテルは東京・品川駅前に一等地にあり、年間1億円の黒字を出す健全経営だった。このホテルを経営者が一方的に閉鎖し、従業員の全員解雇を通告、従業員は労働組合に加入し、自主営業を続けていた。それに対し経営側は東京地裁に立ち退きの仮処分を申請、今回の決定になったもの。従業員側は労働組合東京ユニオンに加入、あくまで執行を阻止する構えで、地域住民も支援する意向。(大野和興) 
 
 
 
  今回の仮処分を前に労働組合は1月9日に行われた争議支援集会を開き、力を張って、執行を阻止すると宣言している。現在、近所の住民たちも支援にかけつけており、経営者が執行を強行する場合には、住民たちも阻止のためにかけつけて、行動を起こすとしている。 
 
  京品ホテルは、品川駅前、第一京浜沿いにあり、もし本当に執行しようとすると、交通を遮断しなければならず、大変な騒ぎになると思われる。民放テレビ局は、クルーがずっと京品ホテルに泊まりこんで、密着取材をしている。 
 
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解雇撤回!自主営業継続を掲げ実力で闘おう! 
 
東京地方裁判所の決定に対する声明      2009年1月15日 
 
全国コミュニティ・ユニオン連合会 会長鴨 桃 代 
労働組合東京ユニオン 執行委員長 渡 辺 秀 雄 
 
  本日、東京地方裁判所民亊19部蓮井裁判官より、京品ホテルから東京ユニオンと組合員の立ち退きを命ずる仮処分の決定が出された。しかもこの決定は「事業の決定は、事業者が自由に行い得るものであり、これを従業員において争うことができない」と言い切り、たとえ偽装解散であろうと、また本件のように2年間の黒字経営 
の中での小林社長とリーマングループによる不当極まりない売却劇であろうと、労働者はこれに従えという。「仮に解雇が解雇権を濫用したものとして無効であるとされても、使用者が事業を廃止した場合に、これを再開するよう請求する権限は従業員にはない」とまで言う。 
 
  これでは世界大不況に突入した日本社会で、吹き荒れていく会社整理やリストラに対して、労働者は何の異議申し立てもできないことになる。 
 
  全国ユニオン及び東京ユニオンは、この決定を不服とて「異議申立」をすると共に、行っている自主営業は、京品ホテルの理不尽な廃業と不当解雇に抗して行っている正当な組合活動であり、今後も断固として続けていくことを声明する。このような不条理な決定に屈せず、労働者と家族の生存権をかけ、ユニオンは闘い続ける。 
 
  京品実業の小林誠社長は自らの放漫経営で作った60億円以上の債務の清算のため、従業員とその家族を犠牲にして「理不尽な売買契約」を締結した。 
 
  労働組合に対しては、経営危機に至った経過や売買契約の内容について一切開示することなく団体交渉を一方的に打ち切り昨年10月20日の廃業と従業員全員解雇を強行したのである。しかし、昨年11月21日、リーマンの意を受けた京品ホテルの買主・株式会社LCホテルズは、「当社が京品実業らとの間で京品ホテルにつき売買契約を締結していたことは事実です。しかし、当社は既に売買契約を解除しており買主としての立場にはありません。」と東京ユニオンに通告してきた。更に、昨年12月22日には改めて「今後も売買契約を復活させる意思はない」と断言している。裁判所はこの点もなんら斟酌していない。 
 
  労働組合東京ユニオンとの間で誠意を尽くした話し合いで合意を得ない限り、私達を京品ホテルの建物から強制的に立ち退かせようとも、なんら本件解決の枠組みはできない。 
 
  京品実業は、仮処分の審尋のなかでも、何一つ解決策を提示することをせず、ひたすら立ち退きの「決定を出してくれ」と裁判所に迫るばかりだった。 
 
  今回の、仮処分の決定は京品ホテルにおける労使紛争の解決には全く寄与することはない。むしろ、労使紛争を泥沼化させていくものにしかならない。 強制執行が行われ、京品ホテルの建物が債権者リーマンの手に渡れば、港区の歴史的建造物にも指定されているこの建物は、取り壊されてしまう。そのことは、地元住民の利益に 
も反する。短期間に、地元住民を含む5万人以上の人々が「京品ホテルの存続を求める要請書」に署名を寄せてくださったことからも明らかである。 
 
  全国ユニオン及び東京ユニオンは、今回の不当な決定に屈することなく、全国の働く仲間と地元の住民の皆さんのご支援を得て、強制執行があろうとも、これをはねかえし、労働者が人として働き生きて行くための大切な職場を守っていく決意である。 
 
 
 
 
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