2009年08月01日00時15分掲載  無料記事
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遺伝子組み換え/ゲノム編集

体細胞クローン家畜食品の評価書案に85%が疑問・反対 食品安全委員会は消費者の多数意見を無視 

  食品安全委員会がクローン家畜食品に出した「安全」という評価に集まった336件のパブリックコメントの85%がクローン食品への「不安」や「安全性への疑問」を寄せているにもかかわらず、同委員会はそれをほとんど無視して、「安全路線」を突っ走っていることがわかった。これに対して日本消費者連盟は8月31日集約を目標に「クローン家畜食品に反対する署名活動」を展開、クローン家畜食品が食卓に上るのを阻止したいと訴えている。以下『消費者リポーNo.1441』から。(大野和興) 
 
◆パブコメを無視し「安全」繰り返す食安委 
 
  2009年3月12日に食品安全委員会(以下。食安委)が出した「体細胞クローン家畜由来食品は従来の家畜と差がなく安全」という評価に対し、消費者の8割超が疑問や不安を持っていることが明らかになりました。 
 
  食安委はこの評価書案に対して、09年4月10日までの約1か月間、パブリックコメントを募集。その結果を、6月8日の新開発食品専門調査会で公表しました。それによると、336件寄せられたパブコメのうち、疑問や反対を訴えたものは285件(85%)にのぼり、食安委の評価に賛同したのは51件(15%)でした。 
 
  パブコメには、「食品としての安全性に疑問」「死産が多いのに安全とする根拠が不明」「安全性や健全性の定義が明確でない」などの疑問や意見がありましたが、8日の専門調査会で検討されたのは、回答書の文言修正のみ。評価書案の再審議と言いながら、実際は安全性評価を見直すどころか、自分たちの結論をいかに正当化するかに終始しました。 
 
  回答の内容も、「従来の繁殖技術による牛・豚と比べて差異は認められない」「出生異常は多いが、成長した家畜は問題ない」とこれまでの主張を繰り返すだけ。消費者の疑問や不安に真摯に向き合おうという姿勢すら感じられませんでした。 
 
  パブコメ制度は本来、公的機関が政策や制度などの決定に際し、広く公衆に意見を求め、それを考慮したうえで最終決定する仕組みです。確かに、集めた意見を反映させなければならない制度ではありませんが、これでは「意見を問いた」というアリバイ作りに利用されただけと言わざるを得ません。 
 
◆表示の義務化を実現しよう 
 
  専門調査会は再度、「クローン家畜食品は安全」と食安委に報告し、09年7月にも最終的な評価書が食安委で採択される見通しです。いよいよ、クローン家畜食品が食卓にのぼる日も近くなってきました。 
 
  日消連はクローン家畜食品に反対する署名活動を行っています。体細胞クローン家畜食品が安全であるという評価の撤回や、生命倫理・生物多祥性・動物福祉という観点からの検討、受精卵クローンも含めた食品への表示義務化を求めます。 
  たび重なる署名のお願いで恐縮ですが、ぜひ、ご協力をお願いします。署名集約期限は09年8月31日です。集めていただいた署名用紙は日消連までお送りください。 
  私たちの食卓を守るため、家畜に不必要な負担を強いないために、ぜひ一人でも多くの方に署名をお願いします。 
 
(綴織美千世) 


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