2009年12月07日16時23分掲載  無料記事
http://www.nikkanberita.com/print.cgi?id=200912071623261

反貧困

年末年始を乗り切るための情報  住宅・雇用対策などどんどん活用を  湯浅誠

  12月に入り、今年も残すところ1ヶ月を切りました。完全失業率は7月の5.7%から10月の5.1%へと漸減していますが、季節調整値の範囲内。そもそも「完全失業率」にカウントされない失業者数も数多くあることは、周知のとおりです。過去最悪と言われる雇用状況は変わりません。去年のような劇的な「派遣切り」は起こっていないものの、雇用状況の悪化に伴い、生活が苦しくなっていく人たちの数が増えていくのは理の当然であり、行政レベル・民間レベルで年末に向けてさまざまな取組みが求められています。 
 
1)都道府県別基礎データをご覧ください。 
 10月23日発表の「緊急雇用対策」では、今年後半に雇用保険給付が終了する人たちの数を算出することにしていました。その数の他、完全失業者数、有効求人倍率、第二のセーフティネット利用者数、短期利用可能な公的賃貸住宅戸数など、この年末に向けて、対策を考える際に参考になるデータを並べました。活用し 
ていただければ幸いです。 
http://www.lifelink.or.jp/hp/onestop.html 
 
2)年末臨時開庁を自治体に求めてください 
 去年(2008年)、派遣切りの拡大を受けて、全国のハローワークの一部(全国53箇所+東京・大阪・愛知のキャリアアップハローワーク)が臨時開庁しました 
 
(臨時開庁したハローワークの一覧はこちら)http://www.mhlw.go.jp/houdou/2008/12/dl/h1219-7a.pdf 
 
  厚労省は、今年も29日30日の臨時開庁を予定していますが、それとは別に、12月29日30日に自治体の福祉事務所等が臨時開庁した場合には、そこにハローワーク職員を派遣することも考えています。つまり、自治体が年末臨時開庁を決定すれば、ワンストップサービス的な取組みができます。 
 去年は東京都立川市が臨時開庁しましたが、今年もすでに、札幌市・京都市・千葉市が29日30日の臨時開庁を決定している模様です。関連する新聞記事はこちら→ 
http://www.lifelink.or.jp/hp/onestop.html 
 
  各地で、自治体が臨時開庁して、この厳しい年末を越えられる支援を行うよう、働きかけていただければ幸いです。 
 なお、11月30日にワンストップサービスデイの試行実施に参加したハローワーク・自治体リストはこちら→ 
http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/employ/onestop01.html 
 
3)住宅確保(短期利用可能な住宅)を自治体に求めてください 
3 −1)公営住宅・雇用促進住宅 
  国交省、厚労省が、公営住宅・雇用促進住宅の目的外利用・短期利用を可能にする決定をしています(つまり、自治体が決めれば、自治体に住民票が設置してなくても利用可能、また1〜2ヶ月の短期利用(シェルター的利用)も可能という決定をしている、ということです)。 
 
  自治体が「○○の公営住宅や雇用促進住宅を短期利用向けに確保する」と決めれば、それが可能になります。 
 
  公営住宅・雇用促進住宅の短期利用可能な物件リスト(11月現在。変動します)はこちら→http://www.lifelink.or.jp/hp/onestop.html8 
 
雇用促進住宅に関する元データはこちら→ 
http://www.e-d-a.or.jp/cgi-bin/index.html 
 
  また、公営住宅・雇用促進住宅の空き物件データは、ハローワークで閲覧可能になっています。 
 たとえば、北海道には総計4415戸の公営住宅・雇用促進住宅・URが空いており、UR以外は短期利用が可能です。そのうち、札幌市には786戸があります。たとえば札幌市が、そのうち1割の80戸を「短期利用向けに借上げる」と決定すれば、80戸が年末の年越し用に利用できることになります。 
 
  なお、この場合、雇用促進住宅の借上げ費用は札幌市が負担することになりますが、その費用は厚生労働省の「セーフティネット支援対策等事業費補助金(補助率10分の10)」で賄われます。その実施要領はこちら→ 
http://www.kobe-fuyu.sakura.ne.jp/090708/090708_homeless-jigyo_jissi-yoryo.pdf 
 
3−2)元社員寮、ビジネスホテル、カプセルホテル、民間シェルター 公営住宅・雇用促進住宅などの公的賃貸住宅でなくても、自治体が借上げた場合には、上記の「セーフティネット支援対策等事業費補助金」が使えます。民間が用意しているシェルターであっても、自治体が利用契約を結び(サブリース契約など)、「自治体がやっている事業である」という体裁を整えられれば、補助金を使えます。先のPDFのP8下の(オ)が民間シェルターを借上げる際の根拠になります(1室から可)。 
  新聞報道によれば、札幌市は今年12月から来年3月まで5部屋5人分を確保し、必要なら拡大する方向で検討しているようです。 
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/politics/202455.html 
 
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湯浅誠(反貧困ネットワーク事務局長) 
 
○NPO法人自立生活サポートセンター・もやい 
www.moyai.net 
03-3266-5744(火曜11〜21時、金曜11〜17時) 
○反貧困ネットワーク 
www.k5.dion.ne.jp/~hinky/ 


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