2010年07月14日22時44分掲載  無料記事
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検証・メディア

サルコジ政権を揺さぶるネット新聞「Mediapart」

  今朝の朝日新聞に「サルコジ政権VSネット新聞 〜疑惑報道めぐりバトル〜」という見出しの記事が出た。今、フランスの政界を揺さぶっている大富豪リリアンヌ・ベタンクールさんの脱税疑惑をフランスのネット新聞が追及していることを報じている。さらに2007年の大統領選の時にサルコジ陣営が問題になっているベタンクールさんから秘密献金を受けた疑惑も同ネット新聞が追及している。 
 
  このネット新聞は「Mediapart」で、サイトのアドレスは以下だ。 
http://www.mediapart.fr/ 
同サイトによると、月額9ユーロ(現在およそ1000円)あるいは年間90ユーロの有料ネット新聞である。2007年12月に フランソワ・ボネ(Francois Bonnet),ジェラール・デポルテ( Gerard Desportes),ローラン・モーディ(Laurent Mauduit) 、エドウィ・プレネル(Edwy Plenel)の4人のジャーナリストとマリー=エレーヌ・スミエジャン(Marie-H醇Pl醇Qne Smi醇Pjan) 、 ゴドフロイ・ボーヴァレ(Godefroy Beauvallet)の2人がネット新聞創刊の意志を宣言し、翌年、記事の配信が始まった。 
 
  発刊の辞によると、近年の新聞(紙媒体)の危機と、一方で拡大を続けるウェブ媒体が潜在力はありながらもまだ改善の余地が大きいことを背景に、新しいネット新聞を構想したという。広告は掲載せず、有料購読制で経費を賄う。 
 
  「有料購読制こそ記事のクオリティと新聞の独立を保証する唯一のものだ」 
 
  と断じている。現在、約65000人の購読会員を集める目標だ。さらに軌道に乗れば全職種込みで40人から45人の社員を雇う構想である。25人ほどのプロフェッショナルの記者は様々な年齢、様々な専門分野、様々な経歴の持ち主にしたいという。 
 
  代表のエドウィ・プレネル(Edwy Plenel)氏は元ルモンド紙記者で「レインボー・ウォーリア号事件」の調査報道で有名だ。1985年7月にニュージーランドのオークランド港で、ムルロア環礁の核実験に反対していたグリーンピースのレインボー・ウォーリア号がフランスの情報機関DGSEにより爆破された事件である。 
 
  プレネル氏には「五百年後のコロンブス」(晶文社刊・飛幡祐規訳)という著作がある。コロンブスが訪れた地域が現在どうなっているかを検証した優れたルポルタージュである。西欧中心の歴史観や人種偏見に対して厳しい批判の目を持つ。 
 
  Mediapartの中にプレネル氏のブログがある。6月には同ネット新聞が「CBニュース・メディア大賞/最優秀インターネットサイト部門」を受賞した話も書かれている。 
http://www.mediapart.fr/club/blog/edwy-plenel 
 
  Mediapartはベタンクールさんの脱税疑惑だけでなく、2007年の大統領選挙の際にベタンクールさんからサルコジ陣営が秘密裏に40万ユーロの献金を受けた疑惑についても報じている。 


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