2010年08月28日00時34分掲載  無料記事
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イスラエル/パレスチナ

実りない和平交渉にいつしか口閉ざすイスラエル平和活動家  松澤 聡 

  先日、1年半以上中断しているPLOとイスラエルとの間の和平交渉が、アメリカが仲立ちする形で来月2日に再開されると発表された。東エルサレム返還を和平交渉条件に上げるPLO・東エルサレムの返還はあり得ないとし、さらには入植地拡大を止めないイスラエル。双方の求める和平に大きな開きがある和平交渉にイスラエル国内の注目度は高くない。 
 
  2000年頃に本格的に建設され始めたパレスチナとイスラエルを分断する分離壁設置以降、イスラエル軍の圧倒的な武力による制圧も手伝い、ヨルダン川西岸地区内の武力勢力による越境攻撃は減少し、長年イスラエル国民が抱いたパレスチナの反撃に対する恐怖心はなくなりつつある。イスラエル国民の関心は対イランや国内政治に向けられ、行く先の見えない和平に国民の関心は少しずつ薄れている。 
 
  イスラエルでも反戦の声は若い活動家の間で上がるが、何も変わらない政府と国民に嫌気がさし次第に胸の奥にしまってしまう、そういう多くの活動家が1948年の建国以来、現れては消えている。 
 
  ヨルダン川西岸地区・ベツレヘムで出会った男性は『今まで和平交渉で得た物はないもない、エルサレムでイスラエル側の労働許可書なしで仕事をし捕まってしまい、1年も刑務所に入れられて帰って来たら、分離壁が出来上がっていた!和平交渉は何も俺たちに与えてくれない!力も何もない俺には、もう神に祈りを捧げる事しかできないんだ!』そう言い現在の和平交渉は、パレスチナ側でも希望ではなくなりつつある事を示した。 
 
  こうした実のない和平交渉の犠牲者は、パレスチナ人である。そして、実のない和平交渉の加害者の中には、我々日本人も含まれている事を忘れてはいけない。 


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