2010年08月29日10時40分掲載  無料記事
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検証・メディア

朝日新聞とは? 2

 もとより新聞は自由にモノを書くべきだ。新聞が現実をどう伝えるか、その自由は新聞社にある。そういう意味で朝日新聞が何をどう伝えるかは勿論自由である。 
 
 今朝の朝刊で朝日新聞は1面と2面を大きく割いて中間選挙を前にしたオバマ政権の苦境を伝えている。タイトルは「裏切られた中流の「夢」」である。オバマ政権が無策だったために失業状態が続き、民主党政権には裏切られた、と言うような内容の記事である。 
 
 その一方、経済面には「フェルドスタイン氏に聞く」と題する記事が出ている。フェルドスタインなるエコノミストが米景気は二番底をつける可能性があると指摘した後に、「ただ日本についてはちょっと意見があります」とあり、記者は「ぜひ聞かせてください」と答える。するとフェルドスタイン氏はこう発言する。 
 
 「日本銀行は、物価水準を上昇させることができないでいるようだ。物価が上がると思えば、人々はいまモノを買おうとする。一方で、日本には大規模な財政赤字がある。私は、日本は消費税に手をつけるべきだと思う。消費増税は経済に打撃を与える可能性があるが、例えば、1%ずつ、3ヶ月や6ヶ月ごとに上げ、それを数年続ける。その一方で、その分を所得減税すればいい。この増減税の組み合わせなら財政赤字を増やすことにはならないし、家計には「消費増税で価格が上昇する前に買うべきだ」というメッセージを送ることができる。」 
 
 果たしてどれほどの人がこの意見に納得できるだろうか。デフレ対策は必要だが、消費税の増税によるデフレ対策が効果があるとなぜ考えられるのだろうか。むしろ、「今買おう」と考える以前に、中流・下流の人々の生活が一層苦しくなって消費の質が下がる可能性が高いように思えてならない。その一方で、フェルドスタイン氏は所得減税すべきだ、と助言を与えるのである。いつか聞いた話だと思ったら、フェルドスタイン氏の紹介欄に「レーガン政権の大統領経済諮問委員長」と出ていた。 
 
 レーガン政権は大幅な所得減税を行った。それは「双子の赤字」と呼ばれる、経常収支の赤字と、財政赤字をともに大幅に積み上げた。外国から借金してまで、消費漬けになるアメリカ人の生活習慣はレーガン政権時代に形作られた。さらに工場は海外に移転し空洞化が進んだ。所得減税と言っても、累進課税の累進性を弱める所得減税こそ、その本質であり、その挙句多くのアメリカ人の「中流の夢が裏切られた」。一方、その責任は日本の貿易黒字にある、とされた。フェルドスタイン氏はそうしたレーガン政権の「大統領経済諮問委員長」だったと言うのだ。フェルドスタイン氏は現在のオバマ政権の経済回復顧問委員会の委員の1人でもある。 
 
 菅直人氏は消費税10%を突如提唱して参議院選挙で大敗したがあの時も、なぜ突如消費税増税の話が争点として浮上したのか、未だに多くの日本国民は理解できないでいるはずである。 
 
 
■朝日新聞とは? 3 
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