2010年10月11日17時41分掲載  無料記事
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みる・よむ・きく

ドン・キホーテ 2  〜24時間朗読マラソン〜   村上良太

  5年前の2005年は「ドン・キホーテ」正編(第一部)の出版400年周年だった。その年はスペインのみならず、世界中で様々な「ドン・キホーテ」の記念行事が行われた。中でも極めつけはアメリカ東部、ニュージャージー州のドリュー(Drew)大学で行われたマラソンリーディングだろう。「ドン・キホーテ」正編を10分または20分交代で、代わる代わる24時間ぶっ通しで朗読するのである。 
 
  朗読の参加者は教職員、学生、卒業生、ゲストなどであり、言語は英語とスペイン語のどちらでもかまわない、ということだ。しかも、1分の朗読につき、朗読者に1ドルの報酬が与えられるよう広く寄付を呼びかけている。10分読めば10ドル(今なら800数十円)になる。友人を自由に連れてきてよし、会場には飲食物の持ち込みもOKだと書かれている。ネット検索で見つけた呼びかけなので、本当に実施されたのかどうかわからないが、マラソンリーディングの予定日は2005年4月22日の午後1時から翌23日の午後1時までとなっていた。 
 
  「ドン・キホーテ」の続編(第二部)が出版されたのは1615年なので、2015年になったら続編のマラソンリーディングも行われるのだろうか。この催しを呼びかけたのは同大学スペイン語科のエレイン・バン教授と英文科のサンドラ・ジェイムソン教授である。こうした読書法は体力を消耗するが、みんなで集まって読書の限界にチャレンジすることでパワーアップを狙うのだろう。しかも、1日で古典の大作が読了できるのである。文学と言うと一見ひ弱な営みの印象があるが、本を大量に読める基礎体力がないとつとまらない。この催しの良さは世代を超えて参加できるところにもある。サイトの呼びかけにはこうある。 
 
  「すべてのスペイン語と英語の読者・聴衆に開かれています。 
   笑い、泣き、そして自ら楽しんでください!」 
 
  このマラソンリーディングはウィキペディアによると、アメリカのUCLAの英文科で行われてきたプログラムだそうだ。教職員、卒業生、地域住民、さらにしばしばセレブたちも訪れて24時間ぶっ通しで1冊を読むのである。テキサス工科大学など、他の大学でもこの読書法は取り入れられているようだ。 
 
■ドリュー大学のマラソンリーディングの告知サイト 
http://www.depts.drew.edu/engl/events/marathon/ 
■1998年4月にマドリッドで行われたマラソンリーディング 
キューバから亡命した作家カブレラ=インファンテがトップバッターをつとめたようだ。「亡き王子のためのハバーナ」などの作品のあるカブレラ=インファンテはセルバンテス賞を受賞した。TVなどを使ってラテンアメリカなどとも中継し、マラソン読書の参加者は数百人に及ぶという。 
http://news.bbc.co.uk/2/hi/europe/81963.stm 
■2008年にマレーシアでも「ドンキホーテ」の読書マラソン 
http://findarticles.com/p/news-articles/new-straits-times/mi_8016/is_20080422/marathon-don-quixote-reading/ai_n44398563/ 
村上良太 


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