2011年03月20日12時35分掲載  無料記事
http://www.nikkanberita.com/print.cgi?id=201103201235410

東日本大震災

郡山市長、政府に福島第一原発の廃炉を申し入れ

   福島県郡山市の原市長は19日の記者会見で、事故を起こした福島第一原発の廃炉を政府に申し入れたことを明らかにした。原市長は次のように述べた。「国と東京電力は、郡山市民、福島県民の命を第一とし、原発「廃炉」を前提に対応しているものと考えておりましたが、国・東京電力は、今後の産業・経済を優先し、「廃炉」を前提としたアメリカ合衆国からの支援を断ったことは言語道断であります。私は、郡山市民を代表して、さらには、福島県民として、今回の原発事故には、「廃炉」を前提として対応することとし、スリーマイル島の原発事故を経験しているアメリカ合衆国からの支援を早急に受け入れ、一刻も早く原発事故の沈静化を図るよう国及び東京電力に対し、強く要望すると同時に、この件に関し、海江田経済産業大臣に直接電話で要請いたしました」(日刊ベリタ編集部) 
 
郡山市のウェブサイトに掲載された記者会見の模様ー 
 
原発事故に対する市長記者会見(3月19日午後2時〜) 
3月19日、午後2時から郡山市災害対策本部(開成山野球場内)にて、原発事故に対する市長記者会見を行いました。 
 
≪郡山市災害対策本部 本部長 原 正夫 郡山市長より≫ 
  今回の災害にあたりましては、全国各地から温かいご支援をいただき、心から感謝と御礼を申し上げます。 
  郡山市民の避難状況につきましては、懸命な復旧活動の結果、当初の約1万人から約3千人に減少をしております。 
しかし、原発の事故に伴い、県内各地からの本市への避難者数は、5,000人以上となっており、避難されてきた方々は、大変不便をしております。 
  特に、病気の方々に対しましても、本市の医療関係機関に懸命な対応をしていただいておりますが、医療品等に不足が生じつつある状況にあります。 
  大震災発生以来、私は、職員はじめ関係者の方々と市民の安全・安心の確保のため、全身全霊を持って対応してまいりました。 
  原発事故に関しましては、今日まで、国と東京電力の事故に対する対応のあり方について正確に情報を把握することができませんでしたが、本日の新聞報道を見て大変驚きました。 
 
  国と東京電力は、郡山市民、福島県民の命を第一とし、原発「廃炉」を前提に対応しているものと考えておりましたが、国・東京電力は、今後の産業・経済を優先し、「廃炉」を前提としたアメリカ合衆国からの支援を断ったことは言語道断であります。 
  私は、郡山市民を代表して、さらには、福島県民として、今回の原発事故には、「廃炉」を前提として対応することとし、スリーマイル島の原発事故を経験しているアメリカ合衆国からの支援を早急に受け入れ、一刻も早く原発事故の沈静化を図るよう国及び東京電力に対し、強く要望すると同時に、この件に関し、海江田経済産業大臣に直接電話で要請いたしました。 
  また、佐藤県知事、佐藤県議会議長及び渡辺いわき市長などと電話連絡をとり、市民あげて、さらには県民の方々と一緒に国と東京電力に強く訴えたいと思います。 
 
  お集まりの報道機関の皆さまにおかれましては、この趣旨をご理解いただき全国民の皆さまに、さらには、全世界の皆さまにこのメッセージを報道していただきますようよろしくお願いいたします。 
 
質疑 
Q 海江田経済産業大臣にはどういった内容を要請したのか。また、地震発生から一週間が過ぎたが、このタイミングに要請を決めたきっかけは? 
<原市長> 県民の安全安心、そしてこれからの日本を考えた場合、原発事故を完全に封じ込めることが大事。現在、国、東京電力はいろいろな手立てをしているが、今現在の状況での手立てのため、今後万が一大きな余震が来た場合、これを継続できるか、という危険な状態にある。そのことを大臣に、政府の方針としてしっかり取り組んでいただきたいと訴えた。具体的には、福島第一原子力発電所の廃炉を前提とした対応、そして、アメリカ合衆国の支援の受入れ。我々はこれまでの原子力事故を経験してこなかった。そもため、スリーマイル島原子力発電所事故を経験し、ノウハウのあるアメリカの協力を得ながら対処すべきと考える。 
 きっかけは、今日の新聞を見て、国と東京電力の対応が正しくはないと思い、私なりの判断で行動をとった。 
 
Q 海江田大臣に要請したのは今日(3月19日)のいつごろか? 
<原市長> 11時ごろ。 
 
Q 海江田大臣からの反応は? 
<原市長> 要請があったことをしっかり受け止めて対処していきたいとのこと。 
 
Q 県知事やいわき市長などにも話をしたということだが、他に賛同されている自治体は? 
<原市長> 福島市長、田村市長、須賀川市にも電話をして、国に働きかけをしましょうと訴え、ぜひやりましょうと賛同いただいた。他の自治体は郡山市以上に不便をしている。郡山市は他の自治体と比べ順調に皆さんのご協力をいただいている。 
 
Q いわき市長も、県知事も賛同されたのか? 
<原市長> はい。いわき市長は物資が入ってこなくて大変だと言っている。いわきへの物資は郡山を中継しているが、運送サイドがいわき市までは運べないということなので、いわきの人が郡山まで取りに来ている状況。 
 
Q 他に電話した方は? 
<原市長>増子参議院議員、根本前衆議院議員、斎藤自民党県連幹事長、熊谷市議会議長を通じて県市議会議長会、郡山商工会議所に対して働きかけをするようお願いした 


Copyright (C) Berita unless otherwise noted.
  • 日刊ベリタに掲載された記事を転載される場合は、有料・無料を問わず、編集部にご連絡ください。ただし、見出しとリード文につきましてはその限りでありません。
  • 印刷媒体向けの記事配信も行っておりますので、記事を利用したい場合は事務局までご連絡下さい。