2011年03月22日11時36分掲載  無料記事
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東日本大震災

医労連  地震と原発被災地への緊急医療対策を政府に要請

  医療機関の労働組合でつくっている日本医療労働組合連合会(医労連)は21日、菅総理と細川厚生労働大臣に「東日本大震災の被災者救援、医療機能回復等に関する緊急対策についての要請書」を出した。要請書は立ち遅れている被災地の医療体制の整備、電気、水、ガス、医薬品、食糧、ガソリン、重油、灯油などが不足解消、などと合わせ医療・介護施設への計画停電の適用除外、放射能汚染対策に万全を期すことなど12項目をあげている。(日刊ベリタ編集部) 
 
 
 
2011年 3月21日 
内閣総理大臣 菅  直人 殿 
厚生労働大臣 細川 律夫 殿 
 
日本医療労働組合連合会 
中央執行委員長 田中 千恵子 
 
東日本大震災の被災者救援、医療機能回復等に関する 
緊急対策についての要請書 
 
  貴職の日頃のご尽力に敬意を表します。 
  3月11日に発生した東日本大震災によって、東北・関東地方を中心に多数の人命と住民の生活が奪われ、東京電力福島第一原子力発電所等の事故も加わり、医療・交通・行政などの社会機能と産業・経済は深刻な状況に陥っています。 
  この地震で被災した地域には、日本医労連の組合員が働いている病院、診療所、介護施設などが約150あります。特に、甚大な被害を被った岩手、宮城、福島の3県だけでも、約50の施設があり、建物の立ち入り禁止措置、損壊や浸水などで、医療機能に深刻な影響がでています。 
  被災した地域の施設では、外来、手術室、透析室、病棟などの使用が不能となったり、電気、水、ガス、医薬品、食糧、ガソリン、重油、灯油などが不足し、交通網も寸断されるなどの下で、多くの医療・介護従事者は、自ら被災・被曝しながらも、被災者・患者・入所者・地域住民の命と健康を守るため、昼夜を分かたぬ献身的な業務を行っています。一刻も早い被災者救援と医療機能の回復等が、緊急の課題となっています。 
  つきましては、以下の緊急対策を要請するものです。 
 
              記 
 
1、多数の者が生命又は身体に危害を受け、又は受けるおそれが生じ、避難等で継続的に援助が必要となっている全ての地域及び、大量の帰宅困難者が発生し避難所等で食品等の支給を行う必要のある全ての地域に、災害救助法の適用を行うこと。また被害の甚大さを考慮し、適用の弾力的運用に努め、被災者の救助に全力をあげること。 
 
2、東京電力福島第一原子力発電所等の事故によって、避難のための立ち退きに係る内閣総理大臣の指示の対象地域外であっても、屋内退避の指示が出されている全ての地域を対象に、原子力災害対策特別措置法の拡張適用を行う措置をとること。 
 
3、被災に伴い、被保険者証等を紛失あるいは家に残したまま避難している等の理由により、保健医療機関等に提示できない被災者に対して、保険診療を容易に受けられる措置をとり、また公費負担医療においても同様の措置をとり、周知徹底をはかること。 
 
4、被災に伴い、医師等の受診が困難な場合や処方箋の交付が困難な場合、患者に対する必要な処方箋医薬品の販売・授与を行うこと。またその措置の周知徹底をはかること。 
 
5、被災地の医療機関や介護施設等の入院患者・入所者等の受け入れについて、被災地はもちろん被災地でない都道府県においても、広域的対応で積極的に行うよう関係機関・団体等に働きかけ、周知徹底をはかること。 
 
6、被災地の人命救助、緊急医療に全力をあげ、早急にライフラインや交通の復旧・整備を行うこと。また、被災地と災害医療等を行う全ての医療機関・薬局・介護施設等に、医薬品、酸素、食材等を供給すること。 
 
7、被災地と災害医療等を行う全ての医療機関・介護施設等に、医師・看護師・保健師・介護福祉士等の医療・介護従事者の派遣を組織し、人的支援を強化すること。災害支援のための特別休暇の制度化や財政措置を行うこと。 
 
8、被災地の妊産婦、母子等への健診や母子手帳の交付の周知徹底をはかり、粉ミルク、オムツ、肌着、衣類など生活必需物資を供給すること。 
 
9、東北電力株式会社及び東京電力株式会社等による計画停電に際しては、対象地域の全ての医療機関及び介護施設等において、患者の治療と入所者等の介護に支障をきたさぬよう計画停電の適用除外措置又は緊急用バッテリーの貸し出し、ガソリン・重油等の供給等の支援措置をとること。 
 
10、災害救助法の適用及び「阪神・淡路大震災に対処するための特別の財政援助及び助成に関する法律」等と同様の立法措置をとり、全ての被災者の医療費の一部負担金、入院時食事療養費(または入院時生活療養費に係る標準負担額)、訪問看護療養費に係る自己負担額(以下「一部負担金等」という)の免除等を行うこと。 
 
11、全ての被災者の国民健康保険料(税)及び介護保険料の減免等を行い、被災地の被保険者に対して周知徹底すること。 
 
12、国・自治体・東京電力等は連携して、東京電力福島第一・第二原子力発電所の事故に関わる全ての情報を開示し、放射能汚染状況と人体等への影響と必要な対策を国民に周知すること。原子力発電所事故への対応は、IAEAや専門家等の協力を結集して行うこと。 


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