2011年03月30日12時24分掲載  無料記事
http://www.nikkanberita.com/print.cgi?id=201103301224573

東日本大震災

【Science Alert】 浄水器による放射性物質除去  谷岡明彦・東工大教授

  放射性物質の除去率が高ければよいというものではない。なぜなら、「水から見れば放射性物質を除去することになりますが、放射性物質からすれば浄水器の中に高濃度で濃縮されることになります」と谷岡教授は述べる。(サイエンス・メディア・センター) 
 
Q. 浄水器によって、水道水中の放射性物質は除去できますか? 
 
 浄水器のタイプや流す水量によってかなりの量が除去できるものから全く効果の無いものまであり、一概に言えません。 
 
 仮に多量の放射性物質が水道水中にあり、非常に除去率の高い浄水器を使用した場合は問題です。なぜなら水から見れば放射性物質を除去することになりますが、放射性物質からすれば浄水器の中に高濃度で濃縮されることになります。 
 
 金町浄水場のように処理システムが完備されているところでは放射性物質を吸着させた活性炭を安全に処理できますが、家庭の浄水器フィルター部で濃縮された放射性物質をそのままゴミ箱に捨てるとかえって危険ではありませんか。 
 
 現在は除去するほど危険な量ではありません。まともな浄水器メーカーは放射性物質の除去をうたう浄水器ビジネスを展開することはありませんが、なかには怪しい商品も出てくる恐れがあります。 
 
谷岡 明彦(たにおか・あきひこ)教授 
東京工業大学 大学院理工学研究科 有機・高分子物質専攻 
(物理化学、界面電気化学、高分子科学、ナノサーフェスエンジニアリング) 
 
参考リンク 
「ヨウ素についての情報整理」天羽優子准教授(山形大学 理学部物質生命化学科) 
http://www.cml-office.org/archive/?logid=545 
 
※科学的裏付けの無い効果を謳う浄水器の販売を批判してきた天羽氏によるブログ記事。 
 
浄水器以外にもヨウ素の煮沸による濃縮影響等、有用な記述有り。 
 
飲料水の安全性について 
世界保健機関(WHO)が「日本で水道水を飲用しても、ただちに健康上のリスクが生じるわけではない。それはなぜか。」と題して新しい文書を公開しています(PDF): 
http://www.who.or.jp/index_files/FAQ_Drinking_tapwater_JP.pdf 
 
◆この記事についての問い合わせは下記まで: 
 
  一般社団法人 サイエンス・メディア・センター(日本) 
 
  Tel/Fax: 03-3202-2514 
 
  E-mail: inquiry[at]smc-japan.org 


Copyright (C) Berita unless otherwise noted.
  • 日刊ベリタに掲載された記事を転載される場合は、有料・無料を問わず、編集部にご連絡ください。ただし、見出しとリード文につきましてはその限りでありません。
  • 印刷媒体向けの記事配信も行っておりますので、記事を利用したい場合は事務局までご連絡下さい。