2011年04月07日16時20分掲載  無料記事
http://www.nikkanberita.com/print.cgi?id=201104071620204

核・原子力

【たんぽぽ舎原発情報】放射能汚染水は海岸に打ち上げられて微少な塵になり、内陸も汚染する  山崎久隆  

  もう言葉も出ません。原子炉圧力容器は既に底抜け状態に近いでしょう。しかも3基とも。メルトダウンと言うよりもメルトした燃料要素が底に溜まって高温になり、インコアモニタハウジングや制御棒駆動装置案内管の溶接を溶かし、管そのものが脱落するか溶断されたのではないかと思います。14センチの鋼鉄容器の正体はざるだったわけです。そのうえ再循環系配管もこれでは持たないでしょう。4号機使用済燃料プールも早期にコンクリートが破壊されていて水が漏れていたんじゃないかと思います。そうでなければあんな燃料破損が早期に起きるとはとても思えません。 
 
  とうとう放射性物質で汚染された水を海に投棄し始めました。とてもじゃないが、まともではない。日本もロシア並みの廃液海洋投棄国になったというわけです。 
沿岸海流は南向きのようですから、すぐに海岸線に測定モニターを設置すべきだろうと思います。海岸に打ち上げられて微少な塵になり、住民が住む地域に飛んで来て、内陸も汚染されることになると思います。こういうことさえ知らない?どうにかしてくれと思います。それで「希釈される」などと、どういうつもりでしょうか。海水で薄められて検出限界以下になるとでも本気で思っているのだとしたら、そういう人間は即退場願いたい。 
 
  以下のURLはフランスの解析です。日本ではありません。 
 
http://sirocco.omp.obs-mip.fr/outils/Symphonie/Produits/Japan/SymphoniePreviJapan.htm 
 
  これで見れば、沿岸に高い濃度の汚染域があることがわかります。沖に流れていって薄められることはないという結論です。 
 
  もうそろそろ収まるか、収まるかとずるずるついに一ヶ月になろうとしていま 
す。もうチェルノブイリ原発事故を超える事態になりつつあります。世界汚染という意味ではチェルノブイリ原発のほうがまだまだ大きいですが、こちらは長期間にわたる制御不能というわけ。ウィンズケールの方が近いですね。 
 
  水が漏れているという場所も、テレビで盛んに流している小便みたいなちょろちょろ出ている廃液で済むわけがありません。この岸壁は下が砕石だというのに、いすから転げそうになりました。いやしくも放射性物質を扱う施設の土台が砕石だというのですから。普通は悪くても耐水性セメントかコンクリート護岸でしょう。うちのいなかの漁港だってコンクリです。 
 
  既に原子炉建屋もタービン建屋も底部がずたずたでしょうから、そこからしみ出した高レベル放射性廃棄物と化した海水や冷却水はその砕石土台を通り抜けて海に垂れ流し状態。見かけの小便をいくら止めても意味が無い。まして数万トンの低レベル廃液も流してしまうのだから、もうめちゃくちゃです。 
 
  どうしたらいいんでしょうか。この人たちは。内陸汚染に加え今度は海洋汚染。 
怒りに震えています。 
  やりようはいくらでもあったはずです。六カ所再処理工場や東海再処理工場で汚染されていない大型タンクを全部取り外して持ってくるとか、ダブルハル構造の使用済燃料輸送船を全部ここに持ってきて廃液タンクに使うとか、50万トンタンカーを買い取って廃液貯蔵につかうとか、建設中の原発のきれいなポンプや配管材を取り外してもってきて、タービン建屋の床からくみ上げた汚染水を圧力容器や格納容器に戻すループを作るとか、矢板をうち込むならば防波堤ではなくタービン建屋と護岸のあいだであるとか、とりわけ何で防波堤に矢板を打ち込むのかさっぱり分からない。この防波堤は閉じられた構造ではなく船が出入りするために当然海側に開いている。だから途中の防波堤が切れていようがいまいがもともと密封された海域でも何でもない。あほみたいなことになんで資材を無駄遣いするのか。 
  とにかく汚染水の流出を食い止める手段はいくらでもあったはずです。 
 
(たんぽぽ舎副代表) 


Copyright (C) Berita unless otherwise noted.
  • 日刊ベリタに掲載された記事を転載される場合は、有料・無料を問わず、編集部にご連絡ください。ただし、見出しとリード文につきましてはその限りでありません。
  • 印刷媒体向けの記事配信も行っておりますので、記事を利用したい場合は事務局までご連絡下さい。