2011年04月28日14時56分掲載  無料記事
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東日本大震災

暴走する原発  福島・三春の滝桜の下で人びとが集い、地域との農のこれからを考える集まりを開催

  日本三大桜のひとつに数えられる福島県三春町の滝桜。樹齢千年といわれる古木が今年も妖艶な花を咲かせたが、訪れる人は極端に少ない。暴走する福島第一原発から50キロ圏内にあるためだ。三春の女たちは例年桜を見に来る人たちに自分たちが手作りした農産物やその加工品を買ってもらって、くらしを立ててきた。その道が放射能によって絶たれ、捨てるしかない。そんな思いをみんなで共有しようと滝桜が見ごろとなった4月23日、首都圏や隣の山形県から100人ほどの人たちが集まり、花見をし、話し合い、買い物をした。(大野和興・西沢江美子) 
 
  4月23日はあいにくの雨。でも、雨の中の滝桜はいっそう妖艶で、とてもきれいだったと東京からの参加者は喜んでいた。参加者はとても多彩だった。その前の週の土曜日、「野菜の気持ちが分かってほしい」と野菜にふんして都内をデモした反原発の若い人たち、福島原発が爆発した直後、子どもを連れて九州まで避難したお母さん、いろんな大学で教えている、学者・研究者たち、自然食の店とレストランを営むマスター、国際協力を熱心に進めているNGOの人たち、山形や千葉の農家、さらには福岡県で有機野菜や加工品の直売や宅配を行っている市民資本の事業体、などなど仕事も暮らし方も年齢も多彩だった。 
 
  この一行を迎えてくれたのは、農協女性部を軸に、三春で長年農村女性の運動に取り組んできた人たち。彼女たちは、長年の学習運動で原発を学び、「オール電化の家づくりはやめよう」と、くらしのなかから地道な運動を積み上げ、一方で環境を考えた農業生産・直売・農家加工を軸に「地産地消」の取り組みを長年進めてきておいた。原発事故は、そうしたこれまでの努力と成果を一瞬にして吹き飛ばした。 
 
  23日は滝桜を見た後、町の施設であるさくら湖自然観察ステーションで、地元との交流を行った。交流会には、この催しに協力してくれた町と農協から、鈴木義孝町長と富塚正JAたむら専務理事が参加、町や農協ががいま抱える悩みや課題、これからの町づくりの方向、農業のこれからなどについて説明すると同時に、活発な質疑討論が行われた。 
 
  交流会の後、農協の直売所に移動し、地元の農家や女性グループがつくった農産物、加工品、花などの買い物をした。JA直売センターの渡辺忠好店長は「こんな時期にこういう取り組みをしてくれて、とても元気が出ました。地元の農家に代わってお礼を申し上げます」と語っていた。 
 
  滝桜花見まつり〜三春の里から新しい一歩を!〜の呼びかけ人は以下の通り。 
会沢てる(三春・農業、前県JA女性協議会会長) 
松本 八重子(JAたむら女性部長) 
高田 善一(郡山市認定農業者協議会会長) 
中村和夫・喜代(郡山市・有機農家) 
佐久間 仁一(うつくしまNPOネットワーク 理事長) 
川崎吉巳(山形・置賜百姓交流会、農民) 
西沢 江美子(農業ジャーナリスト) 
大野 和興(農業ジャーナリスト) 
谷山 博史(NPO法人日本国際ボランティアセンター代表理事) 
秋山眞兄(NPO法人APLA共同代表) 
内田聖子(NPO法人アジア太平洋資料センター事務局長) 
高橋 清貴(恵泉女学園大学教員) 


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