2011年06月04日07時08分掲載  無料記事
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核・原子力

今年の夏も原子力なくても電力は大丈夫!」

【たんぽぽ舎原発情報】たんぽぽ舎に今朝、「原子力なくても電力いらない」はわかるけど、さすがに今年の夏は、福島原発が止まっているからだめなんじゃないの?よっぽど節電しないと?というお問い合わせの電話がありました。大事な点なので、もう一度復習しておきましょう。 
 
  現在日本では、電力の約30%が原子力で供給されているので、ほとんどの日本人は、原子力を廃止すれば電力不足になると「思い込まされて」います。 
  しかし、実際には、 
・原子力発電の発電能力は、日本全体の発電所能力の18%にすぎない。 
・原子力が発電量で約30%になっているのは、原子力発電所の稼働率だけを上げ、火力発電所の多くを停止させているから。 
・現在原子力が生み出す電力を、すべて火力発電でまかなっても、なお火力発電所の設備利用率は7割にしかならない。 
・電気は貯めておけないので、水力の渇水、定期検査の休止中の発電所分も考慮すべきと推進派は言うが、過去の実績からも、最大電力需要が火力と水力発電の合計以上になったことすらほとんどない。 
・真夏の数日、そのまた数時間の電力使用のピーク時には、工場の操業時間の調整、自家発電からの融通、労働者の年次休暇の消化(統計ではクーラーの温度設定の調節などで充分に乗り切ることができる。 
       (たんぽぽ舎「地震と原発事故情報38より要約」 
 
  さらに、震災後の火力発電の復旧はとても早く、何万人の人々から家を奪い、被ばくさせ、今もって放射能を垂れ流している福島原子力発電所とは比べるべくもないものです。 
 
・被災した東京電力広野火力発電所(5基、計380万Kw)(福島県広野町)は、今年7月中旬にも全面復旧し、それに伴い揚水発電も稼働する。 
・また、浜岡原子力発電停止後の、中部電力からの電力融通分が心配されましたが、中国電力からの融通をとりつけ、西日本からの100万Kwの融通を受ける点は変更がない。この結果、東電は供給不足が深刻な東北電力に最大140万Kwを融通さえする。そうなれば、真夏のピーク時にも電力は不足しない。(たんぽぽ舎地震と原発事 
故情報その66・東京新聞5/12朝刊、地震と原発事故情報その70、5/13デイリーニュース ) 
 
  さらに、東電発表では今夏の需要も供給力もおおよそ5500万Kw程度です。5500万Kwというのはおおよそ一昨年の夏のピークの数字です。一昨年はリーマンショックにより需要が落ちましたが、一般の人の感覚では「よっぽど節電しないと」というレベルではないでしょう。これに現在、経団連等で、企業の持っている自家発電の稼働が要請されています。通常自家発電装置は発電単価が高いので止まっていますが、今夏はコストが多少かかっても稼働する見込みです。その分東電の需要が減りますし、一部の自家発電は東電に供給できます。 
 
  もちろん、電力を無尽蔵に使ってよいということではありません。電力を過剰に使い、過度に快適な生活に依存してきた市民一人一人のライフスタイルに思いをはせ、これからのエネルギー供給体系について、市民ひとりひとりが知恵を出していくことが必要なのではないでしょうか。 


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