2011年06月05日14時57分掲載  無料記事
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市民活動

埼玉県三郷市の小さなカフェ

  埼玉県三郷市に小さなカフェがこの春オープンした。カフェの名前は「MILC」。これは以下の4つの頭文字だ。 
 
M みんなで 
I いっしょに 
L 学び(ラーニング) 
C 楽しみ(コミュニケーション) 
 
  カフェを立ち上げたのは高次脳機能障害の家族会「ナノ」を主催している谷口眞知子さんたち。かつて高次脳機能障害といえば、交通事故などの特殊なケースと思われていたが、脳血管障害などの後遺症で発症することがわかっている。そのため高次脳機能障害を患う人は高齢化に比例して増えているのである。 
 
「食べ物や約束が思い出せなくなった」 
「話がかみ合わなくなった」 
「暴力的になったり、暴言が多くなった」 
「お金遣いが荒くなった」 
「気が散って、一つの事を続けられなくなった」 
「うまく話せなくなった」 
 
  事故や病気の後で、こうした状態が起きていれば高次脳機能障害の可能性がある。これは脳の機能障害だから、気持ちを入れ替えれば治る、とか、根性を入れ替えれば治る、といったこととは違うのだ。こうした場合にはこれまで高次脳機能障害の家族とともに暮らしてこられた方々の貴重な経験が活かせる。 
 
  しかし、当事者自身が高次脳機能障害であることを知らないケースが少なくない。というよりも多くの場合、知らないのが実情である。なぜなら、医療関係者ですら、その実態を知らないことが多いからだ。そこでナノでは埼玉県から、カウンセリング事業を受託し、地域に潜在している高次脳機能障害の人々の掘り起こしと支援作業をおこなってきた。 
 
  今回、カフェを立ち上げたのはこうした取り組みの延長線上にある。障害と地道に長く取り組んでいくためには地域の協力が欠かせない。そのためにナノでは「①地域の方々とのつながりを大切にしていきたい②いろいろな方々と共にいられる場所を作りたい。」と願ってきた。その表れがカフェだという。 
 
  谷口さんは今回オープンしたカフェ「MILC」では高次脳機能障害者の家族だけでなく、さまざまな人が集える場にしていきたいという。コーヒー、紅茶、ハーブティー、ジュースがスイーツつきで300円。ランチにはパスタもある。 
 
  高次脳機能障害の話だけでなく、原発のことなど今、世の中で起きているさまざまな出来事を話す場所にもなっている。また、手作り作品を展示できるスペースもあるかと思えば、「エコクラフト」などのさまざまな講座も開かれている。「みんなで いっしょに 学び 楽しみ」この言葉はこれからの地域にとってとても大切な言葉になるだろう。 
 
三郷市戸ヶ崎2-374 Cafe MILC 
電話・FAX 048-956-2224 


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