2011年06月23日12時51分掲載  無料記事
http://www.nikkanberita.com/print.cgi?id=201106231251414

核・原子力

【たんぽぽ舎】2.4号機燃料プールはどうやって溶融を免れたか  山崎久隆

  原発震災発生後、数日たった後だろうか。突然「4号機の燃料プールが溶融している」という恐ろしいニュースが流れたのは。その後、プールに水があることが「わかり」、溶融はしなかった「らしい」との情報が流れる。恐怖におののいたりほっとしたり、この原発が一番振り回してくれたのだが、今でも潜在的に一番危険なことには変わりが無い。原子炉建屋が倒壊寸前だからだ。(たんぽぽ舎「地震と原発情報」その101) 
 
  燃料溶融を免れた理由は「損傷」だった。本来あってはならない、燃料プールと機器借り置きプールの間にある「プールゲート」の破壊があったため、水が燃料プールに流れ込み、溶融を免れたという。皮肉なことだ。 
  これで謎の一端は解けたようには思う。しかしまだ建屋爆発の原因がわからない。3号機から漏れ込んだ水素だけでこんなにも破壊されるものなのかどうか。 
 
  4号機のプールが空だと最初に言い出したのはヤツコNRC委員長だったと思う。そもそも電力も政府も言葉を濁すだけではっきり語らない。しかし計算すれば誰でも簡単にその結論に達してしまう。燃料の崩壊熱は数時間で1500トン以上の燃料プールの水を全部蒸発させるほどの威力があると。そのうえ建屋の破壊はまさしく燃料メルトダウンをした結果であるような状況を示していた。 
 
  これが全く異なっていたことについては、今はほっとして良いのかもしれないが、山のような問題を引き起こしている。 
 
  ざっと上げただけで次の通り 
 
(1)日本の原発は二基の原子炉建屋やタービン建屋が構造として共有するタイプが多い。これが事故を深刻にする方向に働くことがあると分かったこと。 
(2)燃料プールは原子炉本体よりも遙かに冷却能力が脆弱であることが露呈したこと。(プール用ECCSが必要だった) 
(3)一端燃料溶融を始めたら、プールについてはなすすべが無いこと(3、4号機は建屋の天井が飛んだが1,2号機は今も直接注水は出来ない) 
(4)格納容器外には新燃料も含めて運転中の炉心よりも遙かに大量の燃料があり、その核的管理は制御棒が組み合わさっていないので、むしろ炉内よりも難しいこと。 
(5)にもかかわらず、リラッキング(狭いプールを有効活用しようと、詰め込みを行うこと)のように、そもそも燃料プールがドライアウトしてしまうような過酷事故が想定されていないなかで、危険なことが各地で行われていること。 
(6)これらの見直しが行われない限り、再稼働どころではなく、安全確認さえ到底出来ないはずであること。 


Copyright (C) Berita unless otherwise noted.
  • 日刊ベリタに掲載された記事を転載される場合は、有料・無料を問わず、編集部にご連絡ください。ただし、見出しとリード文につきましてはその限りでありません。
  • 印刷媒体向けの記事配信も行っておりますので、記事を利用したい場合は事務局までご連絡下さい。