2011年07月01日12時21分掲載  無料記事
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核・原子力

オーストラリア先住民 ウラン鉱区開発反対を貫く  ユネスコ世界遺産委員会が国立公園編入を決定  細川弘明

  パリで開催中のユネスコ世界遺産委員会において、北オーストラリアのクンガラ Koongarra 地区を世界遺産「カカドゥ国立公園」に編入することが決定されました。これで、同地区でウラン採掘権をもつ仏・アレバ社(旧・フランス国立原子力開発機構)によるウラン採掘は不可能となりました。30年以上にわたりウラン開発に抵抗を続けてきたグンジェイッミ・アボリジニーの希望が、やっと1つ叶いました。 
 
  次は、操業中のレンジャー・ウラン鉱山の閉鎖、そしてカカドゥ国立公園への編入、そして、「凍結」中のジャビルカ鉱区の開発断念、そしてカカドゥ国立公園への編入 ── これらの実現をめざしていきましょう。 
 
  クンガラ鉱区では、日本の旧動燃(現・核燃サイクル機構)もナチュラルアナログ試験を繰り返すなど、開発に関与してきました。 
 
  グンジェイッミ先住民族法人(GAC)のプレス発表(英語)およびクンガラ地区の土地権代表者であるジェフリー・リーさん(Djok Gundjeihmi氏族)の声明(グンジェイッミ語と英語翻訳)はこちら↓です。 
http://www.mirarr.net/media/GAC_media_UNESCO_27_June2011.pdf 
 
【注釈】 
(1)クンガラの先住民族土地権をもつジョック(Djok Gundjeihmi)氏族とレンジャーおよびジャビルカの先住民族土地権をもつミラル(Mirarr Gundjeihmi)氏族は、ともにグンジェイッミ語を話すアボリジニー集団で、相互に親族関係にあり、多くの神話・儀礼を共有しています。(グンジェイッミ語の表記で dj は英語の j に近い音、h は声門閉鎖子音です。) 
 
(2)ジャビルカ(Djabulukku、英語表記ではJabiluka)、レンジャー、クンガラの3つのウラン鉱床地区は、カカドゥ国立公園の中に位置しますが、ウラン開発のために国立公園(および世界遺産)指定から除外されるという不自然な状態が続いてきました。このことは、世界遺産委員会でもこれまでたびたび問題視され議論されてきましたが、今回、クンガラのカカドゥ編入という至極まっとうな結論が出たことは、ジャビルカ開発問題の今後にも強い影響をおよぼすと考えられます。 
 
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細川弘明拝 twitter.com/ngalyak 
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