2011年07月30日11時35分掲載  無料記事
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難民

マレーシアの難民の3分の1が強制労働に従事、70%が絶望感 NGOの調査で判明

  世界で初めてとなるオーストラリアとの難民交換に乗り出すことになったマレーシアだが、現在同国に滞在する難民や亡命希望者は精神的に決して安住できるような状況にないことが、同国の非政府組織(NGO)がこのたび実施した調査で浮き彫りになった。強制労働や失業により、絶望感や不安、ストレスに苛まれている人たちが少なくないという。(クアラルンプール=和田等) 
 
 「ヘルス・イクイティー・イニシアティブ」が首都圏に住むビルマ人難民および亡命希望者1037人を対象に実施した調査の結果、調査対象者の3分の1が強制労働を強いられ、全体の70%が絶望感や不安を感じ、41%がストレス症状を示していることがわかった。同組織のシャルナ・ベルギス幹事は「強制労働はすべての部門でおこなわれているが、とくに建設、農業、プランテーション部門で比率が高い。逆に失業状態にあることが深い絶望感や不安、ストレスを誘発していることがわかった」と指摘している。 
 
 絶望感を感じているかの質問に対して、軽い絶望感を感じると回答した人は全体の21.4%、中程度の絶望感を感じるが33.5%、深い絶望感を感じるは8.7%、かなり深い絶望感を感じるが5%だった。 
 
 不安については、軽度が11.1%、中程度が29.4%、重度が14.1%、かなり重度が14%となっている。 
 
 ストレスを感じる度合いでは、軽度が18.8%、中程度が15%、重度が5.8%、かなり重度が1.5%だった。 
 
 この結果を受け、ザビエル・ペレイラ幹事は「強制労働をなくしていく対策や介入措置をこうじなければ、絶望感や不安、ストレスが長期化し、精神面での恒常的な変調を招いて、健康に深刻な影響をおよぼすことになる」との警告を発した。 
 
 また弁護士会移民・難民・出入国管理問題小委員会のラマチェルバム委員長は、「未登録外国人、とくに難民が非正規で不確実な身分に置かれることで、医療や精神面に好ましくない状況が生じることになる」との懸念を表明。マレーシアに存在する難民や亡命希望者9万人以上の正規雇用を法的に認めていない現状を是正し、正規に働くことができるようにすべきであると政府に提起している。 


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