2011年08月23日16時42分掲載  無料記事
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中東

「リビア、反体制勢力は分裂」、「戦いはこれで終わるだろうか?」とコックバーン記者

 リビアでは反体制派軍が首都トリポリ入りし、英テレビのインタビューなどで、複数の市民や反体制派軍関係者らが、「これで自由になった」「カダフィ大佐の40数年の支配が終わった」と喜びの声を上げている。しかし、喜ぶのはまだ早いかもしれない。英インディペンデント紙の中東専門記者パトリック・コックバーンが、「幸福感漂うが、抵抗軍側は分裂している」と題する記事(22日付)の中で警告を発している。(ロンドン=小林恭子) 
 
 リビアの反体制派勢力はこれまで、北東部ベンガジを根城にして力を拡大させてきたが、数ヶ月前から英メディアが発していた問いが、「一体、誰が指導者になるのか」「カダフィ政権の後を継ぐ準備は万端なのか」であった。それに対して、非常に希望に満ちた市民たちが「大丈夫」「ちゃんとしている、心配しなくて良い」と答えていたのが印象に残っていた。 
 
 コックバーン記者の記事は以下。 
 Despite the euphoria, the rebels are divided 
http://www.independent.co.uk/news/world/africa/despite-the-euphoria-the-rebels-are-divided-2341792.html 
 
 同記者の記事から、若干抜粋する。 
 
 「リビアの将来の鍵を握るのはカダフィ体制がどのように崩壊するかによる。果たして逃亡するのか、姿を消してまた戦うのか、あるいは逮捕されるのか、最終的には殺されるのか?」 
 
 「カダフィに戦い返すほどの力が残っていないとしても、抵抗勢力にもそれほど力があるわけではない。北東部ベンガジから侵攻途中、3月には負けていたのが、NATOの空爆で助けられた経緯があるからだ。今回、トリポリに入ることができたのも、NATOから戦略上の支援を受けていたからだ」 
 
 「現在、反体制派組織『国民評議会』(TNC=Transitional National Council)が、世界の30カ国(米英を含む)から、リビアの正式政府として承認されているという驚くべき事態が生じている。しかし、首都に入ってきた反体制派軍がこの組織を正式な政府と見なしているかというと、疑問だ。ミスラタで長い間戦ってきた反体制派軍の戦士の中には、『従う気はない』という人もいる。反体制派勢力は大きく分裂している」 
 
 「数週間前(7月末)には、反体制派の軍司令官アブドルファッターフ・ユーニス・オベイディ氏が、武装集団に襲撃を受け、拷問をされた上、殺害されている。TNC幹部は、ユーニス指揮官の死因を十分に調査できなかった、TNCの『臨時内閣』を解散させている。これはおそらく、指揮官が属する『オベイディ』(Obeidi)族が指揮官の死について説明を求めたからだろう」 
 
 「カダフィが負けたのは確かだが、果たして勝ったのは誰なのか?」 
 
 「半年ほど前に、リビアの一般市民を守るという名目で、フランスと英国が軍事介入したが、これはすぐに『体制交代のための軍事行動』に変わっていった。一旦介入が始まったら、NATOはカダフィが政権を退くまで、軍事手段に訴え続けるしかなくなった。もしNATOの助けで、反対派勢力がここまでカダフィを追い詰めたのなら、カダフィ政権崩壊後も、NATOはリビアの新体制の下で何らかの役割を果たすのだろうか?」 
 
 「思い起こせば、イラクのサダム・フセイン大統領だって、それにアフガニスタンのタリバン勢力も、国民には不人気だった。しかし、だからといって、フセインやタリバンに代わって政権を取れる野党勢力が存在していたわけではなかった。イラクでもアフガニスタンでも、まもなくまた戦いが発生し、外国の軍隊は占領軍と見なされるようになった」 
 
 「外国の軍事力によって、リビアの反対派勢力はここまで来たーーイラクやアフガニスタンのときのように」 
 
 「カダフィが去るだろうことは分かったが、これがリビアの中で本当に戦いが終わったことを意味するのかどうかは、まだ分からない」。(ブログ「英国メディア・ウオッチ」より) 


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