2011年09月24日14時35分掲載  無料記事
http://www.nikkanberita.com/print.cgi?id=201109241435076

医療/健康

日本でもポリオ流行の危険が!?中国・新疆ウイグル自治区でのポリオ流行でWHOが警報 

  日本でもポリオ流行の危険が!? 
  中国・新疆ウイグル自治区でのポリオ流行でWHOが警報 
 
  9月20日。WHOが中国、新疆ウイグル自治区でのポリオ流行にアラームを発した。 
 
Global Alert and Response (GAR) 
Confirmed international spread of wild poliovirus from Pakistan http://www.who.int/csr/don/2011_09_20/en/index.html 
 
  その趣旨は、中国でのポリオ発生を伝えるだけでなく、アジア、中東地域へのポリオ流行の広がりを懸念してのものとなっている。 
 
  そして、CNNが続報を伝えている。 
  「新たなポリオの流行が中国を襲った」 
http://edition.cnn.com/2011/09/21/health/china-polio-outbreak/index.html 
  CNNによれば、中国当局によって確認された患者は10名。うち、1名は死亡。9名は治療中だという。この流行の原因となったのは隣国、パキスタンからのもたらされたウイルスだ。 
 
  ポリオ・ウイルスの感染力は非常に強い。だが、ポリオ発症を外見的に確認できる患者の数は少ない。感染力は強く、発症率が低いウイルスだ。だだ、甘く見てはいけない。 
  ポリオが発症すれば治療法は無い。筋肉麻痺が患者を襲う。それが手足の麻痺であれば一生治る可能性は無く、呼吸のための筋肉が犯されれば死が待っている。 
  そして、発症を逃れた多くの不顕性の感染者は最長6週間あまりの間、糞便を通じてポリオ・ウイルスを拡散し続ける。本人には何の症状もでていなくても、感染源となり続けるということだ。 
 
  だから、CNNの取材に対してWHO北京事務所の担当者がこう語ることになる。 
 
  "Although other areas in China or other countries are not immediately at risk due to the geographic distance to the affected province, the polio virus can travel great distances and find susceptible populations, no matter where they live," Helen Yu, from the WHO's Beijing office told CNN. 
 
  さらに、 
 
  "No matter how long a country has been polio-free, as long as global polio eradication has not yet been achieved, the risk for importation remains and constant vigilance is required." said Yu. 
 
  要約するなら、 
  たった今、ポリオウイルスが地域を越えて拡散する恐れは無い。しかし、ポリオ・ウイルスは長大な距離を移動することが可能であり、免疫の無い人々に感染することが可能である。 
 
  自分の国で野生種のポリオが根絶されていたにしても、海外から入ってくるポリオウイルスに対する危険があり、警戒を怠ってはならない。 
 
  さて、私たちの国は警戒をしているのか? 
  この春のポリオワクチンの定期接種率は大幅に下がった。 
  東京港区では、この春初めてワクチンを接種する予定の子どもの内、5割しか国のワクチン接種を受けていない。 
その大きな理由は、国が勧める生ワクチンでは、ポリオを防ぐためのワクチンでポリオになるリスクがあると母親たちが知ってしまったからだ。 
  そして、生ワクチンとは別に、世界標準のワクチン、ワクチンでポリオになることのない不活化ワクチンが存在することを知ってしまったからだ。 
 
  国のポリオワクチン政策が「世界標準より劣る」ことを知ってしまった母親たちに、行政はなすすべがなく、今、秋の定期接種を迎えようとしている。 
  しかも、厚生労働省は5月末、「来年度には不活化ワクチン導入が叶う」と伝わるような情報発信をして、つい最近までそれを放置していた。保健所や医師のもとには、「安全なワクチンが来年入るならどうしたらいいか」という問合せが既に多数来ている。 
  問い合わせるまでもなく、「ポリオになる危険性のある生ワクチンではなく、今は自費で払わねばならない不活化ワクチンが来年になれば手に入るなら」と、ワクチンを打ち控える動きがもう始まっている。 
 
  ワクチンがあるのに、使えるのに、ポリオに対する免疫を持たない子が増え始めていると私は現状を捉えている。 
しかも、急速に。 
 
  国は、厚労省は、自治体の予防接種担当者は、はっきりと理解しなければならない。 
  生ワクチンは、既に母親たちに否定されている。 
  理由は、世界標準のポリオにならないワクチンではないから。 
  この全く正当な母親たちの拒否理由に「あなた方が全く医学的に反論はできない」ということすら母親たちは知っているのかもしれない。 
 
  そして、中国での流行が報告され、その拡大が懸念されている今、子どもの命への責任を負うあなたたちが本当に取るべき方向は何なのかと。 
 
  答えは、既に出ている。 
  国産ワクチン導入の前に、海外で当たり前に使われている不活化ポリオワクチンを、緊急輸入せよ、なのだ。 
 
真々田弘 (フリーランス・テレビ屋) 
 
■「ポリオ不活性化ワクチンを導入しよう」 
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201107292340505 


Copyright (C) Berita unless otherwise noted.
  • 日刊ベリタに掲載された記事を転載される場合は、有料・無料を問わず、編集部にご連絡ください。ただし、見出しとリード文につきましてはその限りでありません。
  • 印刷媒体向けの記事配信も行っておりますので、記事を利用したい場合は事務局までご連絡下さい。