2011年10月18日14時48分掲載  無料記事
http://www.nikkanberita.com/print.cgi?id=201110181448392

国際

<99%の貧民>が国連に殴りこみ! パレスチナと西サハラの独立闘争 文:平田伊都子 写真:川名生十

 国連本部のあるニューヨークで、<99%の貧者>を名乗るアメリカ市民が、金持ちの象徴であるウオール街の占拠を目指している。 そして数KMと離れていない国連本部でも<99%の貧者>に属するパレスチナと西サハラが合法的に正当な殴りこみをかけた。 
 パレスチナは正式なパレスチナ国家の国連加盟を、西サハラは国連が約束した<国連西サハラ住民投票>の早期実施を国連本部に迫ったのである。 
 パレスチナと西サハラの反植民地運動は、前者がアラブ民族に対するユダヤ民族の、後者がアラブ民族に対するアラブ民族の支配という相違点がある。 が、その反植民地運動が長期にわたっていること、難民問題をかかえていること、国連が多数の解決決議案を出したのにその国連が行動に移していないこと、欧米大国が自分たち自身の欲得のため解決を遅らせていることなど、、、限りなく類似点がある。 
 パレスチナ人と西サハラ人の国連アタックは、国連が約束を果たすまで続くことを国連は知っているのだろうか? 
 
<国連総会第四委員会> 
 
 2011年10月3日、第66回国連総会第四委員会が開かれた。 国連総会の下には代表的な6個の委員会があって、それぞれが専門的な重要課題に取り組み決議を出し、総会に提出する。 国連総会第四委員会は<脱植民地化と特別政治問題>を担当している。 かっての東チモールも第四委員会が携わり、現在は西サハラ紛争を扱っている。 
 国連総会第四委員会の立場は、1960年12月に国連総会が出した決議1514に基ずく。 
その決議1514<植民地独立付与宣言>は、外国の征服、支配、搾取に対する従属は基本的人権の否定であり、国連憲章に違反し、世界平和と国際協力の推進に障害になると明言している。 さらに「未だに独立を達成していない全ての地域において、これらの地域の住民が自由に表明する意志と希望に従い、、一切の条件あるいは留保なしに、全ての権限を彼らに委譲するための手段がただちに講じられねばならない」と、述べている。 そして1985年の総会では西サハラなどをその地域に指定し、「総会は国連憲章および植民地独立宣言に基づく非植民地化の過程の援助と促進を事務総長に委託」と謳っている。 
 
西サハラ難民亡命政府ポリサリオの西サハラ独立運動はこの宣言を礎にしている。 
1975年からポリサリオ西サハラ独立運動組織は植民地支配をするモロッコ王国と戦ってきたが、1991年に国連は国連西サハラ住民投票を提案し、両軍は受諾し停戦した。 この投票とは、西サハラ住民が<モロッコ帰属か西サハラ独立か>を決めるというものだ。 しかし、1990年代半ば、西サハラに石油、天然ガス、希少金属などが確認され、天然資源に乏しいモロッコ王国は西サハラに固執した。 モロッコ王国は未開の西サハラ天然資源を担保に欧米を抱き込み、国連投票を拒否し始めた。 投票をすれば西サハラ住民が独立を選び、モロッコ王国は西サハラ植民地を失うからだ。 かくして20年経った今も投票は行われていない。 
 
<モロッコ王国刑務所の西サハラ政治囚人> 
 
 モロッコ王国刑務所に繋がれている西サハラ政治囚人の数や、行方不明になった西サハラ活動家の数は正確に分からない。 モロッコ占領地.西サハラとアルジェリアにある難民キャンプに分断されている西サハラ亡命政府にはその実数が掴めないし、国連も調査を避けている。 当事者である植民地宗主国のモロッコ王国は、絶対に公表しない。 若干の改正をやったとはいえ、モロッコ王国が基本的に独裁王制であることには変わりない。 
モロッコ本土であれ植民地西サハラであれ、王制にたてつく者や悪口を言う者は、即、逮捕。 時代錯誤な不敬罪もまかり通っているのだ。 被占領民の西サハラ住民がいかに非人道的な扱いを受けているか、、筆者はモロッコ占領地.西サハラでしっかり見た。 
 
 2011年10月15日、二人のスペイン人弁護士がモロッコ王国サレ刑務所に収監されている一人の西サハラ人政治囚人を訪ねた。 二人はガンデラ.カレッラとアンドレス.マリンといい、正式面会状を携えていた。 しかし、面会状に目を通すことすらせず、刑務所は説明もせず二人を門前払いにした。 この悪名高い拷問刑務所で数十人の西サハラ政治囚が虐待されているという噂があり、その実態を明らかにするため人権擁護弁護士たちは受刑者たちのリーダーであるシディ.アハマド人権活動家に会おうとしたのだった。 
 
 平和デモや平和活動でモロッコ占領当局に捕まった西サハラ被占領民は、一言の釈明も許されずモロッコ王国軍事裁判所で闇の内に裁かれ、闇の内に刑務所に送られ、闇の内に葬りさられている、、 
 
<モロッコに国連制裁を!> 
 
「2010年12月23日にモロッコ刑務所で虐殺されたサイード.デンバプの遺体を、速やかに家族に返せ。家族は未だに葬儀も行えないでいる」と、2011年10月14日にアブドル.アジズ西サハラ難民亡命政府大統領は国連に訴えた。 モロッコ王国が彼の遺体を渡さないのは、拷問による虐殺がばれるからだと大統領は非難している。 
 その上でアブドル.アジズ大統領は、「モロッコ占領地.西サハラでは西サハラ被占領民に対して、モロッコ占領軍と警察により、外出禁止、拘束、逮捕、虐待などのテロ行為が日常茶飯に行われている」との書簡を、国連事務総長に送った。 そして、「モロッコ王国は国連人権法を尊重せず、占領住民である西サハラ人の人権を無視し虐待を続けている。 
しかも、国際法や国連憲章に違反し、国連が保障している西サハラ人の民族自決権を侵犯し続けている。 モロッコ王国の暴虐は、脱植民地化を放置し不朽の民族自決権と民族独立を蔑ろにしている、国連の責任でもある。 国連は国際法を犯す非人道的なモロッコ王国に国連制裁をくわえるべきだ」と、アジズ大統領は国連事務総長に要請した。 
 
 これまで、国連制裁の要請は欧米大国、特にアメリカの専売特許だった。 それが、国連に加盟していない被植民支配地域の西サハラが要請したのだ。 欧米大国に逆らって国連正式加盟を要請したパレスチナに次ぐ、画期的な国連本部殴り込みだ。 
 モロッコ王国による西サハラ被占領住民に対する人権侵害を国連が認めたら、日本はモロッコに対するODA援助を打ち切ることになる。 日本のODA援助には四原則があり、それにそぐわないとODA援助はできない。 四原則とは、〔閏膕修梁タ福基本的人権および自由の保障が施行されている、軍事的用途に使われない、7鎧支出や大量破壊兵器などの開発や製造に使われない、ご超と開発が両立している、と、この4点を言う。 非人道的モロッコ王国は,旅爐飽稟燭垢襦 
 
<99%の貧者アフリカも決意表明> 
 
「モロッコに経済制裁を科そう」と、2011年10月13日にPAPパンアフリカ会議がEUを初めとする国際諸団体に呼びかけた。 PAPパンアフリカ会議はAUアフリカ連合の傘下にある。 AUアフリカ連合はポリサリオ西サハラ難民亡命政府を正式な国家として認めている。 現在、南スーダンや西サハラなどアフリカ55カ国の内、54カ国がAUアフリカ連合に参加している。 モロッコ王国のみが、AUが西サハラの正式加盟を承認した1984年の時点で脱退している。 「貧乏国の集まりに興味などない」とモロッコ王国は嘯いている。 が、馬鹿にしてはいけない。 数は力なり、、99%の貧者アフリカは、国連193カ国の内、28%も占めているのだ。 
 さらにPAPパンアフリカ会議は、「モロッコ占領地.西サハラに於ける無防備な西サハラ住民の人権を守るように、拘束、追放、虐待、虐殺の危険から西サハラ住民を救うように」と、欧米の法的機関に訴えた。 そしてPAPパンアフリカ会議はポリサリオ西サハラ難民亡命政府の独立闘争への支持継続を、アフリカ諸国に促した。 
 最後にアルジェリア政府の長期間に渡る西サハラ民族に対する崇高な人道支援に感謝の意を表して、10日にわたった会議を閉じた。 
 
<100%の貧者は国際社会に訴え続ける> 
 
 アルジェリアの難民キャンプに約20万人、モロッコ占領地.西サハラに約10万人、計約30万人の西サハラ少数民族は100%貧者である。 しかし、この<100%の貧者>は36年間、自らの民族自決権と独立権を国際社会に訴え続けてきた。 
 
 2011年10月17日、モロッコ占領地.西サハラの首都ラユーンで西サハラ青年の釈放祝賀会が行われた。 主催した人権団体は「政治的、経済的、社会的、人道的な西サハラ人の権利回復を目指し、平和的な抵抗運動を続けていこう! モロッコ占領軍や占領警察を恐れずに通りに出て世界にアピールしよう」と、呼びかけた。 5年にわたる不法収監から釈放されたエルワリ.アマイダン青年は、「獄ではたびたびの拷問にあったが僕は転向しなかった。西サハラの独立を目指す民族自決権を盾に、ハンガーストライキで仲間と一緒に闘い続けた。ポリサリオが西サハラ民族を代表する唯一の組織であることを信じて、政治闘争を続けていく」と、エルワリ青年は出席者に誓った。 
 
 モロッコ王国の西サハラ被占領住民に対する弾圧と国連西サハラ住民投票への妨害はますます熾烈になってきた。 しかし<100%の貧者>西サハラ民族は、国連本部の前に西サハラ国旗を翻らせるまで独立運動を続けるに違いない、、 
 
 
文:平田伊都子 ジャーナリスト 写真:川名生十 カメラマン 


Copyright (C) Berita unless otherwise noted.
  • 日刊ベリタに掲載された記事を転載される場合は、有料・無料を問わず、編集部にご連絡ください。ただし、見出しとリード文につきましてはその限りでありません。
  • 印刷媒体向けの記事配信も行っておりますので、記事を利用したい場合は事務局までご連絡下さい。