2011年12月12日12時43分掲載  無料記事
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環境

大阪・泉南アスベスト国賠訴訟  司法の役割を放棄した 犯罪的な判決

 「弊害が懸念されるからといって、工業製品の製造、加工等を直ちに禁止したり、あるいは、厳格な許可制の下でなければ操業を認めないというのでは、工業発展及び産業社会の発展を著しく阻害するだけではなく、労働者の職場自体を奪うことにもなりかねない」。上記の文中にある「弊害」とは、労働環境および生活環境における死傷事故や健康被害を指しています。 
 
◆被害責任を本人に押しつけ 
 
 2011年8月25日、大阪・泉南地域のアスベスト被害を受けた元労働者や周辺住民が国に損害賠償を求めていた裁判で、大阪高等裁判所は元労働者ら原告の請求を棄却しました。 
 
 戦前からの国による健康被害調査があったこと、泉南地域のアスベスト産業が小規模・零細事業所で形成されたことがこの問題の背景としてあり、国の不作為責任があったことを原告らは主張してきました。 
 判決は国が戦前からアスベストの危険性の認識をしていたことは認めつつ、国の規制が著しく不合理ではなかったとし、さらに労 
働者が「防じんマスクを適切に使用することもなく(中略)各種作業に従事していた」として、被害の責任を事業者や労働者本人に押し付けたものでした。 
 
◆あらゆる公害運動への挑戦 
 
 冒頭の文言は今回の判決文からの引用であり、判決を書いた三浦潤裁判長の意思を端的に表す象徴的な個所ですが、今回の判決内容はアスベスト問題に留まらず、これまでの公害裁判や職業病裁判で被害者の方々が積み上げてきた成果に対する挑戦です。 
 原告団は11年8月31日に上告し、今後は最高裁判所に判断を委ねることになりました。今回の判決は人権を守っていく砦としての司法の役割を放棄した犯罪的な判決です。 
 (全国労働安全衛生センター連絡会議 澤田慎一郎) 


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