2011年12月24日08時26分掲載  無料記事
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コラム

今更ながら著作権について   村上良太

  今更ながらではあるが、他の媒体の記事を「引用」したり、「要約」したりする場合に著作権に抵触するかしないかについて調べてみた。 
 
  1、記事の一部をそのまま使う「引用」はどのような条件を満たせば合法なのか? 
 
  2、記事の「要約」の場合はどうなのか? 
 
  とりあえずこの2つの疑問を明らかにしたい。そこで日本の文化庁のウェブサイトを参照することにした。そこには「著作権なるほど質問箱」なるやさしい説明が掲載されている。http://chosakuken.bunka.go.jp/naruhodo/answer.asp?Q_ID=0000351 
 「Q)他人の著作物を引用できる限度はどの程度までですか。 
 
  A)「引用」とは、例えば自説を補強するために自分の論文の中に他人の文章を掲載しそれを解説する場合のことをいいますが、法律に定められた要件を満たしていれば著作権者の了解なしに著作物を利用することができます(第32条)。この要件とは、[1]公表された著作物であること、[2]公正な慣行に合致すること、[3]報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行われること、[4]出典を明記すること(コピー以外はその慣行があるとき)です。[2]と[3]の要件については、少なくとも自分の著作物と他人の著作物が明瞭に区分されていること、引用にいてそれなりの必然性があり、自分の著作物が主で引用する他人の著作物は従たる存在であることが必要と考えられます。これらの要件を全て満たしていれば、著作権者の了解は必要ありません。 」 
 
  ここにかなりのことが集約されている。著作権法上認められた引用であれば著作権者の了解なしに引用してかまわないとある。そして引用に当たっては「報道、批評、研究」などのように他人の著作物を引用する目的の正当な範囲内で、とある。 
 
  ではその場合、引用できる分量はどのくらいまでか。さきほどの文化庁のウェブでは「公正な慣行に合致」することとある。具体的に何%までとは書かれていない。100ページの本であれば何ページまで可能なのか、といった具体的なページ数のような指標は法律に書かれていない。ただし、「公正な慣行」の範囲内でということである。 
 
  もう一つ大切なことは「自分の著作物が主で引用する他人の著作物は従たる存在であることが必要と考えられる」とある。引用が主になっているのはいけないというのである。あくまで己の文章がメインで、引用は「従」で、というのである。 
  極端なケースを想定してみる。他人の文章を100行引用してその後に「面白い」と自分の感想を1行添えただけのような場合は引用が主とみなされることになるだろう。この場合は引用を用いた文章は新たな著作物としての要件=価値を欠いており、「著作物ではない」と見なされても仕方がないと考えられるのだろう。その場合は著作物としての要件を欠くのだから、引用の要件となっている「報道、批評、研究」などの正当な理由もまた存在しないことになる。 
 
  そして忘れてはならないのは引用に関しては「出典を明記」せよということである。 
 
  ひつこくなるが、文化庁の「著作権なるほど質問箱」には「公正な慣行」や「正当な範囲」は具体的にどのくらいなのか?とする質問も掲載されている。 
 
  「Q)引用が認められる条件として、著作権法では「公正な慣行に合致」することと、「引用の目的上正当な範囲内」で行われることとの2つが挙げられていますが、「公正な慣行」や「正当な範囲」とは、具体的にはどのようなものですか。 
 
 A)「引用」とは、例えば自説を補強するために自分の論文の中に他人の文章を掲載しそれを解説する場合のことをいいますが、法律に定められた要件を満たしていれば著作権者の了解なしに利用することができます(第32条)。 
 この法律の要件の中に、「公正な慣行に合致」や「引用の目的上正当な範囲内」のような要件があるのですが、最高裁判決(写真パロディ事件第1次上告審 昭和55.3.28)を含む多数の判例によって、広く受け入れられている実務的な判断基準が示されています。例えば、[1]主従関係:引用する側とされる側の双方は、質的量的に主従の関係であること [2]明瞭区分性:両者が明確に区分されていること [3]必然性:なぜ、それを引用しなければならないのかの必然性が該当します。 」 
 
  ここで先ほどの「主従関係」が再び触れられている。引用するにしても、引用の文章が「主」になるのはよくないということである。しかも、その主従の基準は「質」と「量」の双方にわたることである。 
  もう一つ書かれているのは「明瞭区分性」である。引用とそうでない文とをきちんと区別せよ、ということである。引用するときは通常「  」でくくるとか、パラグラフを分けるとかすればよいだろう。 
 引用の許される具体的な適用基準についてもっと知りたい方はこれまでに裁判で争われた結果をまとめた判例集があるから、それを参照されたい、ということである。 
 
  それではもう一つの疑問の「要約」の場合である。こちらについても文化庁はその見解を出している。 
 
   「Q)他人の論文を自分の論文中に引用する場合に、要約して利用することも許されますか。 
 
 A)「引用」の場合には他人の著作物をそのまま改変を加えずに利用するのが原則であって、翻案にあたる要約を行って利用することはできません。 
 「引用」とは、例えば自説を補強するために自分の論文の中に他人の文章を掲載しそれを解説する場合のことをいいますが、法律に定められた要件を満たしていれば著作権者の了解なしに利用することができます(第32条)。また、要約は、著作物の内容をある程度概括できる程度にした著作物のことをいいますが、この要約を行う行為は、一般に翻案権(第27条)が働く行為とされており、著作権者の了解なしにはできません。ただし、ごく簡単に内容を紹介する程度の文書であれば、著作権者の了解は必要ないと考えられています。なお、翻訳も同種の権利(第27条)ですが、引用の場合は翻訳して引用することは自由にできることになっています(第43条第2号) 」 
 
  要約には「翻案権」なるものが伴う、とあり、著作権者の了解を要するとある。これがA博士の論文の要約です、というような要約物を公開するにはA博士の了解を取る必要があるということである。引用の場合より厳しい印象すらあるが、但し書きがある。「ごく簡単に内容を紹介する程度の文書であれば、著作権者の了解は必要ないと考えられています」ということである。 
 
  ここでもう一度、整理してみる。 
 
1)「引用」について必要なことのポイントは―佚橘正引用の必要性8正な慣行の範囲ぜ舛販未砲いて主従関係を取り違えないグ用箇所を明示する、などである。 
 
2)「要約」についてのポイントは仝饗Г箸靴突很鵑砲話作権者の了解を取る必要がある簡単な内容紹介であれば著作権者の了解は必要ない 


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