2012年01月11日21時53分掲載  無料記事
http://www.nikkanberita.com/print.cgi?id=201201112153013

核・原子力

【たんぽぽ舎発】原子炉の寿命 ―もともと20年、30年と言っていたのに―  原田裕史

 稼働40年の原子炉を廃炉にするという。もともとは30年と言っていなかったか。 
 
 原子炉の工学的な寿命として圧力容器が脆くなる現象がある。鋼鉄は温度がある温度より低くなると脆くなる(脆性遷移温度と呼ばれている)。昔、船舶が冬の海で簡単にこわれて沈没した事例がたくさんある。それで研究が進んだ。 
 
 原発のボイラーである圧力容器も例外では無く、温度が低いほど脆く壊れやすくなる。作った当初は脆性遷移温度は氷点下なのだが、運転しているとだんだん高くなってくる。 
 
 原子炉にはこの変化を知るために試験片が入れられていて定期的に取り出して脆性遷移温度も調べられているが、玄海一号などは摂氏98度となっている。こうなると非常事に液体の水を入れると、脆性破壊を起こしそうである。 
 
 そのような危険な原発をまだ動かそうとしているのが現在の原発業界であり、正気を疑う。即刻停止がふさわしい。 
 政府は運転延長を「例外」とするようだが、圧力容器用の試験片1つとっても初期の予定を超えると試験片も足りなくなるので試験片の再利用などという無茶な話も出てくる。そのような精神で原発事故など防げるはずもない。 
 
 最低限、初期予定よりは短期に廃止でなければ話にならないのだ。 


Copyright (C) Berita unless otherwise noted.
  • 日刊ベリタに掲載された記事を転載される場合は、有料・無料を問わず、編集部にご連絡ください。ただし、見出しとリード文につきましてはその限りでありません。
  • 印刷媒体向けの記事配信も行っておりますので、記事を利用したい場合は事務局までご連絡下さい。