2012年01月14日23時13分掲載  無料記事
http://www.nikkanberita.com/print.cgi?id=201201142313116

環境

メキシコ湾の原油流出事故の顛末 〜魚の美味しさをPRするBP〜

  2年前の2010年4月20日にメキシコ湾で原油を採掘していたブリティッシュペトロレアム(BP)は海上の採掘施設が爆発炎上を起こし、海底油田から原油の大量流出を伴う大事故を起こしてしまった。事故で11人の労働者が亡くなっている。これはBBCのウェブサイト(2010年6月15日)の記事の紹介である。 
http://www.bbc.co.uk/news/10317116 
  この記事には爆発の経緯と、漏出を防ぐための措置が日を追って図解されている。それは20枚以上に上る。1つ1つクリックしていくと、その経緯がわかるようになっている。原油が漏出している海底は水面から1.5キロの海底である。 
 
  BPは海上に浮かび出てくる原油を化学物質で固化したり、できるだけ封じ込めたりしながら、一方、海底では何とか漏出の元になっている装置を封鎖しようとしていた。その試みは何度かの失敗を経ている。たとえばキャップをしてみたが、サイズがゆるくて漏出が止められなかったこともあったが、後にサイズを合わせたキャップを用意して投入した。8月5日にセメント類を海底の設備のパイプに注入して固め、漏出口を塞ぐことに成功する。 
 
  1つだけでなく、様々な手段を同時並行的に打っていったことがわかる。まさに試行錯誤だろう。米政府の科学者たちは最終的に漏れ出た原油の総量は490万バレルと見積もったという。この数字はどのくらいの量か。 
 
  1日当たりの原油生産のランキングでみると、2010年の統計で1位のロシアは日量1027万バレルである。2位のサウジアラビアは1001万バレル、3位の米国が751万バレル、4位のイランが425万バレル、5位の中国が407万バレル、6位のカナダが334万バレルである。ということはメキシコ湾に流出した原油はロシアの1日の採掘量の半分くらいということになる。 
 
■採掘現場の地図 
http://www.bbc.co.uk/news/10309001 
■BPはウェブサイトでメキシコ湾の美味しい魚をPR 
http://www.youtube.com/bp#p/u/2/PB3B5MxS_Nc 
  メキシコ湾の漁民たちや周辺の海鮮料理店は風評被害を受けたのだろうか。BPは必死で環境復旧活動に努めていることをPRしているほか、魚介類の美味しさを盛んにPRしている。 
 
  PRの中でBPは200億ドルを投じてメキシコ湾周辺の環境と経済を復旧するための基金を設立し、法的に要求されたクリーンアップの費用は全額払い(当たり前だが)、10年間、科学者や環境保全活動家が参加する資金5億ドルの研究プロジェクトを立ち上げたとしている。さらにアメリカのコーストガード(沿岸警備隊)の指導の下、メキシコ湾周辺の数千の生物の汚染モニタリングをしているという。 
 
  このユーチューブを使ったビデオ映像ではメキシコ湾で生まれ育った黒人の女性が「我々(私達とBP)はメキシコ湾にコミットしています」と語りかけている。 
http://www.youtube.com/bp 


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