2012年01月26日11時58分掲載  無料記事
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市民活動

山羊を飼おう 〜学校で山羊を飼う〜

  山羊を教育の場に用いることで生徒だけでなく、教師自身も学ぶことができる。そんなレポートが新潟県三条市の今井明夫さんから届いた。今井さんは前回のレポートでも紹介したが、全国山羊ネットワークという全国組織の代表をつとめている。 
 
  今井さんによれば小学校への山羊の導入は生徒の自発的な希望から始めることが大切だという。子供たちの希望があれば今井さんは子山羊を連れて学校に出かけ、最初に山羊を飼うためのオリエンテーションを行う。この日を「子ヤギの入学」と今井さんは呼ぶ。<山羊も一緒に生徒になる>と考えるのである。この日、山羊を真ん中に、飼育のポイントや山羊と仲良くなるコツを今井さんが生徒や先生に伝授する。 
 
  エサは給食野菜を活用するが、学校農園の作物も活用する。また干し草作りも体験してもらう。冬のエサは干し草、豆がら、イモつる、クズ野菜、米ぬかなどを活用する他、乾草を買うこともある。山羊を飼うためには山羊が生きるための手伝いをすることになる。 
 
  さらには秋になると山羊の結婚式が行われる。ここで山羊の受胎の仕組みや妊娠期間の注意点を伝える。また、冬場の飼育の注意点も伝える。そして、子山羊が生まれる。子供たちは生命の誕生に立ちあう。そこには感動がある。この時、最初の授乳がうまくいくことが大切であることも学ぶ。 
 
  自分たちがエサをやって飼育した山羊のミルクを自分たちで絞って飲む。またそのミルクを使ってホットケーキを焼いたりもする。これは「繁殖して恵みをいただく」ことである。 
 
  今井さんは山羊を学校教育の場に導入したことで次のようなことを生徒たちが学んだという。 
 
 「子供とヤギの対等の関係」「ペットとちがうクラスメイト」「協働から生まれる協調性」「仲間と先生と保護者も一緒に」「毎日が発見、どうするか」「自発的な学びの始まり」「いのちのつながりを学ぶ」「自分も同じ動物なんだ」 
 
  山羊はペットではなく、クラスメートだとする。その関係は「対等」だというのである。それはどういうことだろうか。こうしたことを生徒は理屈や観念だけでなく、体験を通してつかんでいくそうである。それは自分もまた動物なんだ、ということの認識につながっていく。 
 
  生徒たちは飼育の場で観察し、気づいたことから自分たちで意欲的に調べ、学ぶようになる。それはまた教師をも変える。「教えるのではなく生徒と一緒に学ぶ」ことになると今井さんはいう。こうした山羊とともに学ぶことを「いのちの学校の実践」と今井さんは呼んでいる。 


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