2012年01月26日21時15分掲載  無料記事
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核・原子力

枝野経産相が27日17時までに「経産省前テント」の撤去を命令 市民側は「脱原発の拠点、撤去はしない」と反論

 東京・霞が関の経済産業省の正門わきに9月に市民団体がテントを張ってから約4カ月。経産省前テント村は、脱原発の拠点の1つとして全国から訪れる人びとに情報発信してきた。枝野経済産業相は1月24日の記者会見でテント村の撤去を命じたと発表した。その理由として.謄鵐汎發濃藩僂垢訶典い魘ゝ襪垢襪燭瓩糧電機のぼやがあり、かつテント内でコンロなどの火器を使用していることで火災の危険があり放置できない、国有地を占拠している、の2点をあげている。市民側は原発の再稼働を中止するなどの具体的な動きがない限り撤去しない、と述べている。命令書の期限は27日午後5時だ。(上林裕子) 
 
 原発事故半年たった9月の「経産省を人間の鎖で取り囲もう」のイベントには全国から2000人が参加、経産省のある一角を人間の鎖でぐるりととりまいた。10月末から11月にかけて「原発いらない福島の女たち」、「原発いらない全国の女たち」が経産省前での座り込みを実施、期間中に3700人が座り込みに参加した。テントは、全国から訪ねてくる人たちに情報を伝えるための情報基地になった。隣に女性たちのためのテントが張られ、参加する女性たちが休憩したり情報交換する場になった。 
 
 事故から10カ月以上たっているが政府は原発再稼働や原発海外輸出にエネルギーを注ぎ、福島の子どもたちは相変わらず汚染地域の中で暮らし続けている。変わらない状況に12月からは原発いらない福島の女たちが再び「未来を孕む女たちのとつきとおかのテントひろば・フクシマ村」をスタートさせた。今年9月までの長い時間の緩やかな座り込みだ。このためにテントは、人々と出会うための大事な拠点となっている。経産省前を訪れた人々がテントの中で話し、情報交換し、時にはそれが勉強会になったりする。 
 
 福島の現状は10カ月経っても変わらない。政府が昨年12月に収束宣言を出したことに対し、福島県議会は「当県の実態を理解していない」「避難者の不安・不信をかき立てる結果となっている」と収束宣言の撤回を求める意見書を出している。本来なら政府が率先してやらなければならないこと、加害企業である東京電力が全力を挙げてやらなければならないことが何一つなされていない。12月26日に福島や茨城の農家が「年内に賠償金を払え!」と東電前で要請行動を行った。農産物被害については何一つ払われていない、と怒りを隠さない。 
 
 子どもたちを放射能から守りたい一心で、事故以来福島の親たちは文部科学省と何度も交渉し、やっと年間20ミリシーベルトという基準を「1ミリシーベルトをめざす」と言わせたのは、吹きさらしの文科省の玄関前で、親たちは雨の中地べたに座ってねばった成果だった。 
 原発事故を知って子どもを守るために県外や県内の被ばくの少ない場所に避難した人たちも初めは賠償の対象にすらならず、何度も文科省と交渉を重ね、集会で訴えた。やっと賠償金が支払われることになったものの、避難にかかった費用を到底カバーすることはできず、地域によっては全く対象にならないところもあった。 
 
 多くを求めているわけではない、原発事故前の普通の暮らしに戻りたいと願っているだけなのだ。原発事故が人々の普通の暮らしを奪い去ったことを、政府や東電はどう理解しているのか。「とつきとおかのテント村」を実施している原発いらない福島の女たちが年末28日に東電本社に要望書を持って行った時も、東電側は代表者をも建物の中に入れず、門の中で受け取る、とした。「福島から訪ねてきてこの対応は何なのか。加害企業としての自覚はあるのか」と詰め寄る参加者に東電側は「ここで要望書を出さないのなら我々は帰ってしまうよ。どうするんだ、出すんですか、出さないんですか」と横柄な態度で応対した。 
 
 人々の生活そのものを根こそぎ壊し、そのことに対する痛みも全く感じている様子もなく収束宣言を出す政府。間もなく事故から1年になるのに、未だに自分達の暮らしを取り戻すことができないでいる福島の人々。特に福島の親たちは自分達の子どもを被ばくさせてしまったことに深い後悔と自責の念を感じている。この禍根はしかし、福島の親たちのみに負わせてはいけない。私たち全ての大人が、負わなければいけないのだ。 
 
 その思いを持って人々は経産省前テント村を訪れる。子どもたちの未来にこれ以上の禍根を残さないために「脱原発」を願って。 


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