2012年03月19日09時58分掲載  無料記事
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コラム

ペンギン大脱走 鬼塚忠

「葛西臨海水族館からペンギン脱走中」 
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2012030502000029.html 
 そんなニュースが流れてきた。 
 とても夢のあるニュースだ。 
 
  私は千葉県浦安市に住んでいる。 
  隣町は、舞浜で、巨大なテーマパーク、ディズニーランド。そしてその隣は葛西臨海公園だ。その公園は巨大で、そのなかの一角に葛西臨海水族館はある。 
  そこから逃げたペンギン。柵を越えることなど不可能だという。それがまた空想をそそる。 
 
  「きっと人間より高度な頭脳を持ってるのではないか」とか、「ペンギンには、外に出なくてはいけない理由があった」とか、「すぐ横のディズニーシーで遊ぶのだろうか」とか。夢はどんどん広がる。 
 
  そう思うのだけれど、テレビなどでは、水族館の事情や、逃走経路を報じていた。テレビは夢がない。 
  子供の頃に「海のトリトン」というアニメがあって、海のなかを旅するヒーローものだった。そんなことが思い出される。 
  ペンギンは、これから好きなだけ旅が出来そう。 
  うらやましい。 
 
  私も20代は旅に明けくれた。貯めたお金で世界を放浪した。アジア、中近東、アフリカ、ヨーロッパ。自分の知らない景色を観、知らない人に会い、知らないものを食らう。 
 その時はずっと旅をしたかったけど、どこかでブレーキがかかっていた。遊びも30までだ、と。働かなくてはいけない、と。 
 ペンギンには、どこまでも逃げて欲しい。 
 
  鬼塚忠  作家・出版エージェント 
  「アップルシード・エージェンシー」代表 
http://www.appleseed.co.jp/ 


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